対戦格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズの登場人物については「バルログ (ストリートファイター)」、「マイク・バイソン」をご覧ください。
バルログ(Balrog)は、J・R・R・トールキンの『指輪物語』や『シルマリルの物語』などの創作に登場する怪物である。シンダール語で「力強き悪鬼(Demon of Might)」を意味し、「ウドゥンの焔(flame of Udun)」とも呼ばれる。クウェンヤでの呼称はヴァララウコ(Valarauko、複数形はヴァララウカール、Valaraukar)。これらは複数名の総称であり、全体でどれくらい存在したのかは明らかでない。元々は火を心とするマイアールであったが、メルコール(後の冥王モルゴス)に誘惑され、ヴァラールから離反した。サウロン、竜らとともに最も強大なモルゴスの配下として描かれている。とくに上古のエルフ族の天敵という部分が強く、歴史の中で様々な惨劇が生まれることとなった。 体内に業火を宿し、全身に煙と影を纏う大きな人のような姿をしている。瞳も恐ろしげな炎の如く輝きを放っており、鼻腔からは炎が吹き出されている。怪力の持ち主で両手にそれぞれ武器を携えており、全てのバルログは共通して片手に炎の鞭を持っていた[1]。もう一方の手に持つ武器は個々に異なるようで、モリアのバルログは火の舌のような大剣を得物にしていたが、バルログの王ゴスモグは黒い鉞(まさかり)を得物にしていた[2]。また指輪物語の中では巨大な翼のような黒い影を差し伸ばしたり、翼を壁から壁に届くほど広げたといったような描写がある。 バルログたちはエルフの誕生以前に、エル・イルーヴァタールの「アイヌアの音楽」に不協和音を奏でたメルコールに追随してヴァラールを離反し堕落、冥王モルゴスの配下となった。モルゴスの最初の敗北のあとは、アングバンドでモルゴスの帰還を待っていたが、ランモスでウンゴリアントにモルゴスが襲われた際、モルゴスの叫び声を聞きつけるや、すぐさま主のもとに馳せ参じてウンゴリアントを撃退した。 ダゴール=ヌイン=ギリアスでは、フェアノールの軍勢により敗走したモルゴス軍の救援としてアングバンドから出撃し、突出して孤立したフェアノールを包囲した。そして炎に包まれ手疵を負ったフェアノールを首領のゴスモグが襲い、ついに致命傷を与えた。ニアナイス・アルノイディアドではゴスモグともう一体のバルログが連携してノルドールの上級王フィンゴンを討ち死にさせている。ゴンドリン ゴスモグ(Gothmog)は、バルログの首領であり、アングバンドの総大将であった。知られる中で、最初のバルログの王(Lord of Balrogs)である。鞭のほかに特徴的な戦斧を得物としており、普段よりバルログを率いただけでなく、多数の戦いにおいても祖竜グラウルングと共に暗黒軍全体の要となった。ゴスモグにはトロールの護衛も付き従っていた。このとき、フェアノール、フィンゴン、泉のエクセリオンなどの強力で著名なエルフらがゴスモグの犠牲になった。しかし最後は、ゴンドリンの没落時にエクセリオンとの一騎討ちで相討ちとなり滅んだ。なお、同戦にてグロールフィンデルと戦ったバルログも敵と共に谷に落下して果てた。
概要
歴史
ゴスモグ火龍の一体(おそらくゴンドリンの獣)に跨りエルフの都を攻めるゴスモグ
トールキンの初期の構想では、ヴァラールには子供がいたことになっており、モルゴスにはウルバンディ(Ulbandi)もしくはフイスルイン(Fuithluin)という名の鬼女(女オーガ)との間に儲けたコソモト(Kosomot) またはカリンボ(Kalimbo)という息子がいたとされていた。[3][4][5]しかしこのヴァラールに子供がいるという設定は破棄され、モルゴスの息子も設定の破棄と共にゴスモグの名に変えられた。
ルンゴルシン