バルカン山脈
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バルカン山脈
ブルガリアのコム峰近くのパノラマ映像
所在地 ブルガリア、 セルビア
位置.mw-parser-output .geo-default,.mw-parser-output .geo-dms,.mw-parser-output .geo-dec{display:inline}.mw-parser-output .geo-nondefault,.mw-parser-output .geo-multi-punct,.mw-parser-output .geo-inline-hidden{display:none}.mw-parser-output .longitude,.mw-parser-output .latitude{white-space:nowrap}北緯42度43分 東経24度55分 / 北緯42.717度 東経24.917度 / 42.717; 24.917
最高峰ボテフ峰(英語版)(2376 m
延長530 km
幅15km - 50 km
種類花崗岩、片麻岩、石灰石
プロジェクト 山
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バルカン山脈の地図。図の中央を東西に貫き、北西方向に伸びているのがバルカン山脈である。

バルカン山脈(バルカンさんみゃく)、あるいはスタラ・プラニナ[1]ブルガリア語セルビア語:Стара планина / Stara planina、「古い山」の意)は、バルカン半島東部の山脈である。スターラ山脈とも呼ばれる。山脈は、ブルガリアセルビアの国境をなすヴルシュカ・チュカ峰(ブルガリア語版)(ブルガリア語:Връшка чука / Vrashka chuka、セルビア語:Вршка чука / Vr?ka ?uka)から東に560キロメートルにわたって延び、黒海岸のエミネ岬(英語版)(Нос Емине / Nos Emine)まで続いている。ブルガリア中部で最も高く、最高峰はブルガリア中部の中央バルカン国立公園(英語版)(Central Balkan National Park、1991年創設)にあるボテフ峰(英語版)(Връх Ботев / Vrah Botev、2376メートル)である。山脈はバルカン半島の名前の由来ともなっている。バルカン山脈は、ブルガリアの歴史の中で重要な役割を果たしてきており、ブルガリアとブルガリア人の形成と発展に大きく関与している。

かつてはハイモス山(英語版)(Haemus Mons)と呼ばれていた。ハイモス(ギリシャ語ではアイモス Α?μου)とは、トラキア語で「山脈」を意味する「*saimon」に由来していると考えられている。このほかにバルカン山脈は、アエモン(Aemon)、ハイミモンス(Haemimons)、ヘム(Hem)、エムス(Emus)や、スラヴ語のマトルニ・ゴリ(Matorni gori)、トルコ語のコジャ・バルカン(Koca Balkan)、あるいは単にバルカン(Balkan)などの呼び名がある[2]
動植物

バルカン山脈はその動植物相にも特徴がある。コジャ・ステナ自然保護区(ブルガリア語版)(Козята стена / Kozyata stena)地域にはウスユキソウが生息している。中央バルカン国立公園の特徴的な風景は、急峻な崖や生い茂る植生などであり、バルカン半島でもっとも高い滝もある。チュプレネ(ブルガリア語版)(Чупрене)やコジャナ・ステナなどの重要な自然保護区があり、ヒグマオオカミイノシシシャモア(バルカンシャモア)、シカなど、ヨーロッパで見られる大型動物種の多くがここで見られる。また、ヨーロッパユキハタネズミ(英語版)、ジリス、シロハラヒメメクラネズミ(英語版)、オオヤマネベヒシュタインホオヒゲコウモリなどの小型の哺乳類やハンエリヒタキオオアカゲラシロエリハゲワシクロハゲワシヒゲワシセーカーハヤブサなどの鳥類も生息している[3]

ブルガリア国内の中央バルカン国立公園は1977年以降にユネスコ生物圏保護区に指定されており[3]、一部は世界遺産の「カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林」に指定されている[4]
地理右中央上方を走るのがバルカン山脈。その南にかたまっているのがピリン山脈、リラ山脈、ロドピ山脈シプカ峠の記念碑中央バルカン山脈セルビアのバルカン山脈ライ山小屋(ブルガリア語版)(Рай)より中央バルカン山脈を望む。中央に見えるのは、バルカン半島でもっとも高いライスコ・プルスカロ(英語版)( Райско пръскало / Raysko Praskalo)の滝バルカン山脈の渓谷の中を流れるイスクル川(Искър / Iskar)コジャ・ステナ自然保護区

地質学的にはバルカン山脈は新しい山脈であり、アジアからヨーロッパにかけて続くアルプス・ヒマラヤ造山帯の一部を成している。バルカン山脈は大きく2つに分けられ、東西に伸びる主部と、主部の西端から北西方向に伸びる前バルカンから構成される。前バルカンは北に進むにつれて次第に低くなってドナウ平原に埋没し、一方で東西に伸びる主部はセルビア・ブルガリア国境から黒海へと続き、山脈の南に沿って11の渓谷が連なって下バルカン渓谷が形成されており、渓谷はバルカン山脈とその南のスレドノゴリエ(ブルガリア語版)(Средногорие / Srednogorie、スレドナ・ゴラ山脈ヴィトシャ山などから成る)とを隔てている。

バルカン山脈はおよそ30の山塊から成っている。山脈は大きく3つの部分に分けられる:

西バルカン山脈 - セルビア国境のヴルシュカ・チュカ峰からアラバコナク峠(英語版)(Арабаконак / Arabakonak)までの190キロメートル。最高峰はミジュル峰 / ミジョル峰(英語版)(ブルガリア語:Миджур / Midzhur、セルビア語:Ми?ор / Mid?or、2169メートル)。

中央バルカン山脈 - アラバコナク峠からヴラトニク峠(英語版)(Вратник / Vratnik)までの207キロメートル。最高峰はボテフ峰(英語版)(2376メートル)

東バルカン山脈 - ヴラトニク峠からエミネ岬(英語版)までの160キロメートル。最高峰はブルガルカ峰(ブルガリア語版)(Българка / Balgarka、1181メートル)。東バルカン山脈は全体では最も低い。

バルカン山脈は分水嶺を形成しており、その北の川はドナウ川へ、南の川はエーゲ海へと流れている。しかし、ブルガリアで最長の川であるイスクル川(Искър / Iskar)はバルカン山脈を横切って南から北へ流れており、その周りには急峻なイスクル渓谷(Искърски пролом / Iskar prolom)が形作られている。バルカン山脈を水源とし、北方向にドナウ川へと注ぎ込んでいる川には、ティモク川(英語版)(Тимок / Timok)、アルチャル川(英語版)(Арчар / Archar)、ロム川(英語版)(Лом / Lom)、ツィブリツァ川(英語版)(Цибрица / Tsibritsa)、オゴスタ川(Огоста / Ogosta)、スクト川(英語版)(Скът / Skat)、ヴィト川(英語版)(Вит / Vit)、オスム川(Осъм / Osam)、ヤントラ川(Янтра / Yantra)、ルセンスキ・ロム川(英語版)(Русенски Лом / Rusenski Lom)がある。また、山脈はカムチヤ川(英語版)(Камчия / Kamchiya)、トゥンジャ川、ストリャマ川(英語版)(Стряма / Stryama)[3]の水源ともなっており、この川は直接黒海へと注いでいる。ブルガリアの他の地域ほどではないが、ヴルシェツやシプコヴォ(ブルガリア語版)(Шипково / Shipkovo、トロヤン市)、ヴォネシタ・ヴォダ(ブルガリア語版)(Вонеща вода / Voneshta Voda、ヴェリコ・タルノヴォ市)などの温泉街がある。

山脈には20の峠と2つの渓谷がある。バルカン山脈を横断する舗装された道路がある場所は以下の通り(西から順に):

ペトロハン峠
(英語版)( Петрохански проход / Petrohanski prohod): ソフィア - モンタナ

イスクル渓谷( Искърски пролом / Iskarski prolom): ソフィア - ヴラツァ(鉄道も通過)

ヴィティニャ峠(英語版)(Витиня / Vitinya): ヘムス高速道路(英語版)(Hemus motorway、A2)、ソフィア - ボテヴグラト(英語版)


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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