バナパスポート
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ALL.Net(オールネット)は、セガ フェイブ(2015年3月までと2020年4月から2024年3月まではセガ、2015年4月から2020年3月まではセガ・インタラクティブ)が提供するネットワークサービスである。アーケードゲームインターネットでつなぐことにより、通信対戦や、全国ランキング、プレイデータの保存を可能にする。NTT-MEが構築した[1]。セガ フェイブが展開しているアーケードゲーム用ICカード「Aime」と、バンダイナムコアミューズメントが展開しているアーケードゲーム用ICカード「バンダイナムコパスポート(旧バナパスポート)」についても本項で記載する。
概要

ALL.Netは「Amusement Linkage Live Network」の略で、セガグループの登録商標である[2]

ALL.Netの起源は『バーチャファイター4』と同時にリリースされた「VF.NET」まで遡る。セガのネットワーク対応機種第2弾となる『セガ4人打ち麻雀MJ ネットワーク対戦Ver.』リリース時は、VF.Netに接続することを取扱説明書に記載した。VF.NETはALL.Netの一つとしてサービスが続いていたが、2016年2月29日にサービスを終了した[3]

最初期はまだ光回線が整備されておらず、ISDNを通じてネットワークが構築されており、その後光回線を通じ大容量の通信がやり取りできるようになった。その恩恵を受ける形で、多くのカードを駆使してゲームを進めていく『三国志大戦』などのオンラインでのリアルタイム対戦を実現出来るようになった。ISDNを通じたサービス提供は2015年6月30日を以って終了し、同年7月1日以降は光回線のみとなるサービスとなった[4]。ISDNでは三国志大戦などの大容量通信が必要とされるゲームなどの接続は出来なかった。MJシリーズのみなど低容量の通信の場合はISDNでも問題なく接続できた[5]

一部地域で通信品質の悪化が見られてセガと関係各社が調査すると、通信量増加に伴い回線事業者とALL.Netのサービス仕様がマッチングしないことが判明し、ALL.Net回線をIPv4 PPPoEからIPv6 IPoE (+ IPv4 over IPv6) へ変更する[6]

ALL.Netは、当初はセガとバンダイナムコアミューズメント(2018年3月まではバンダイナムコエンターテインメント[7])のゲームのみ導入されていた。2015年6月から、カプコンの一部アーケードゲーム、および韓国のゲームメーカーであるアンダミロ社の『Pump It Up 2015 Prime Japanese Edition』も導入する。

以前は日本国内のみのサービスだったが、2008年に香港で実証実験し、2010年から2015年まで『三国志大戦』(初代)が香港・シンガポール・台湾・中国・韓国とのネットワーク対戦が可能となっていた。2016年現在、複数のゲームタイトルで、香港・シンガポール・台湾・中国・韓国・タイ・マレーシア・インドネシアと接続されている。ランキング等の配信は全ての国で、ネットワーク対戦は一部の国で行われている。

コナミアミューズメントと共同で行うマルチ電子マネーサービスの回線は、コナミのe-AMUSEMENT共々、ALL.Netを使用する[8][9][2]

サミーが開始した「AW-NET」は、ALL.Netと異なり、サミーがゲーム事業をセガに移管した後も個別に運営され、セガがサービスを終了した。
サービス内容

ALL.Netが提供しているサービスは、ゲームの筐体がネットワークに接続されていればいい物やカードを使用する物など、必要な条件がいくつかに分かれている。

ICカードの仕様は明らかにしていないが、筐体側は電子マネー対応の携帯電話(以下、おサイフケータイ)に対応することから「FeliCa」に対応している。Suica楽天Edyを搭載したICカードは反応しないことが『e-AMUSEMENT PASS』との大きな違いである。2018年10月25日に、『Aime』『バンダイナムコパスポート』『e-AMUSEMENT PASS』の仕様を統一した新カードが発売された(後述)。
ゲームそのものに対して提供される物

各ゲームのオンラインアップデート

オンライン対戦型ゲームでのマッチング

上記のサービスはネットワークに接続された筐体に対して提供される。ゲームセンター運営者は上記サービスの対価として、売り上げ1プレイ毎にシステム使用料を支払う。設置台数に対する月額固定料金のタイトルもある。

オンラインアップデートは各タイトルとも7:00に行われる。タイトルの中には、アップデート終了までゲームプレイが出来ないタイトルもある[10]

従量料金タイトルでは、メンテナンスやサーバートラブルなどにより通信が遮断された場合は、その時間帯の料金が発生しない。2010年5月にはタイトル不具合が原因で、『セガネットワーク対戦麻雀MJ』シリーズ (2 - 4)、『頭文字D ARCADE STAGE』シリーズ (4 - 5)、『三国志大戦』シリーズ(初代、『三国志大戦』 - 『三国志大戦3 猛き鳳凰の天翔』)、『バーチャストライカー』(4.4 Ver.2006) で、通信が遮断されていた時間帯のシステム使用料を店舗へ過請求していたことが判明してセガは過請求分を店舗に返金した。『頭文字D ARCADE STAGE 5』と6月稼働の『三国志大戦3 WAR BEGINS』は、システムを修正した[11][12]

従量料金の制約から、不人気作や人気ピークを超えた衰退期に、プレイ料金値下げなどが難しく、稼働率が低下したタイトルは、店舗から速やかに撤去される事例が多く見られる。撤去に際して解約手数料が発生するが、ネットワークサービス終了が公式発表されたタイトルは、発表日以降解約手数料が発生しない。新しいゲームへ入れ替えを促進するなど、メーカーにとって利点も大きい。

ネットワークサービスが終了しかつオフライン化されたタイトルは、サービス終了と同時に筐体とALL.Netルーターとの接続を切り、筐体の設定を変更しなければならない[13]。タイトルによっては、『シャイニング・フォース クロス』シリーズや『ぷよぷよ!!クエスト アーケード』のようにオンライン専用のタイトルがあり、これらのタイトルはネットワークサービスが終了後に筐体は撤去される。

オペレーター向けサポートは、セガやALL.Net対応の他社のゲームタイトル(バンダイナムコアミューズメントのタイトルを除く)のサポートはセガ・ロジスティクスサービスが、バンダイナムコアミューズメントのタイトルのサポートはバンダイナムコテクニカがそれぞれ担当している。セガは2016年11月に、1年以内にネットワークサービス終了したタイトルの修理サポートを終了することを発表している[14][15]
カードに対して提供される物

磁気カードもしくはICカードを使用してプレイすることで、以下の特典がプレイヤーに与えられる。タイトルによっては、カード作成がゲーム参加の必須条件となっていることもある。

プレイデータの保存

各種ランキングへの参加

メダルゲームでは「メダルバンク」との連携で、ICカードを設置店舗に登録することで、メダルをクレジットとして認識し、直接の出し入れを行わずにゲームがプレイできるといった要素を持った作品も登場している。データ保存の概念がなく、メダルバンクとの連携のみにICカードを使用するメダルゲームもある。

カードは当初は各ゲームごとに発売されており、後に1枚のカードで複数の対応作品を同時に保存できるようになった。作品ごとにカードを使用していたころはデータをカードに直接書き込んでいたため、タイトーNESYSやコナミアミューズメントのe-AMUSEMENT(磁気カード)とは異なり、ネットワーク対応のゲームがネットワークに接続されていない場合にもプレイデータの保存ができた。ただし、書き込みを行うため磁気カードでは50回程度、ICカードでは100回?500回の使用制限回数が設定されている。大抵のゲームでは使用回数の切れたカードから新しいカードへのデータの引き継ぎに対応している。

2010年3月10日に稼働を開始した『セガネットワーク対戦麻雀MJ4Evolution』以降からは、カードスロットにカードを差し込むタイプではなく、タッチ式カードリーダーにカードをかざすタイプを採用したゲームも登場している。これらのゲームで使用する専用ICカードはデータ保存方法がカード書き込みからサーバー保存に変更されており、使用回数制限が撤廃され、かつ同様のシステムを採用した他のALL.Net対応ゲームとのカードの相互利用も可能になり、カードの代わりにおサイフケータイでデータ保存することもできるようになった。但し電子マネー決済には非対応。これによりコナミのe-AMUSEMENT PASSと同様に1枚のカードもしくは1台の携帯電話で複数の対応ゲームのデータの一元管理が可能になっている。

2010年以降、セガとバンダイナムコアミューズメントではそれぞれ独立したゲームデータの一元管理システムを運用している。2011年11月1日より相互利用が開始された[16]。それぞれの一元管理システムについては次述。
一元管理システム
Aime

セガは、2010年11月より稼働を開始した『戦国大戦』より、ICカードやおサイフケータイでのゲームの一元管理システム『Aime』(アイミー)を本格的に開始した。対応ゲームは共通デザイン(黒地にピンク色の「e」の形をした人の横顔)の『Aimeカード』もしくはおサイフケータイでゲームデータを一括保存できるようになる他、専用サイトでデータの閲覧・管理・各種サービスの利用・データの移行手続きが簡単に行える。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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