「バナナ」のその他の用法については「バナナ (曖昧さ回避)」をご覧ください。
「バナナの皮」はこの項目へ転送されています。映画については「バナナの皮 (映画)」を、漫画などの表現については「#皮で滑る表現」をご覧ください。 「バナナの木」と言われるように、高さ数mになるが、実際には草本であり、その意味では園芸学上果物ではなく野菜(果菜。詳しくは野菜#定義)に分類される。その高く伸びた茎のような部分は偽茎(仮茎)と呼ばれ、実際には、葉鞘が幾重にも重なりあっているものであり、いわばタマネギの球根を引き延ばしたようなものである。茎は地下にあって短く横に這う。茎のような先端からは、長楕円形の葉(葉身)が大きく伸びる。 花(花序)は偽茎の先端から出て、下に向かってぶら下がる。花序は1本の果軸に複数の果房(果段)がつき、各果房には10本から20本程度の果指から成っている。大きな花弁に見えるのは苞葉で、果指の部分が本当のバナナの花である。果指一つ一つが一本のバナナに成長し果房がバナナの房となる。なお、開花は一本の偽茎につき一回のみで開花後は株元から吸芽を出して枯れてしまう。 最初は下へ向けて成長するが、後に上へ向けて成長することから湾曲した形となる。 果皮の色は品種によって異なり、一般的に知られるものは緑色から黄色であるが、桃色から紫まで多様である。成熟するにつれてエチレンガスにより緑の色素であるクロロフィルが分解されることで黄色の色素のカロテノイドが残る形で変色が進み[1]、クロロフィル分解物は紫外線を照射すると青色の蛍光を発する[2][3]。ポリフェノールが酸化をすることで皮が茶色に変化するブラウニング
植物学上の特徴
花バナナの花と幼果
果実スウィートスポット(シュガースポット)が現れたバナナの果実。
バナナに含まれるアミラーゼは70度付近の加熱や追熟により活性化し、でんぷんが果糖などの糖類に変化してゆく[5]。
キャベンディッシュ種などの食用バナナは三倍体であるため種子を作らない。吸芽の株分けなどで繁殖する。 バナナの語源として一般的なものはウォロフ語のバナンナ (banaana) であるが、指を意味するアラビア語の ????????(ban?na もしくは ban?nah, バナーナ, 「(1つの)指先;指(1本)) とする説もある[6]。なお、スペイン語ではplatanoともいう。「プラタナス」(platanus)と同語源だが、品種は全く異なる。「プラタナス」の語源は、ギリシャ語の πλατ??(広い)であり、大きな葉が二者の共通点である。 バナナの原種はマレーヤマバショウ(M. acuminata)とリュウキュウバショウ(M. balbisiana)である。現代ではこの2種は食用とはされないが、栽培種のバナナはマレーヤマバショウ(二倍体ゲノム構成:AA)およびリュウキュウバショウ(二倍体ゲノム構成:BB)のどちらかまたは双方のゲノムを保有する奇数の倍数体であるものが大部分で、ゲノム構成の違いによって分類されることがある[8]。三倍体などの奇数のゲノム構成のため、減数分裂が正常に進行せず、配偶子形成が異常になるため栽培バナナは不稔となる。
語源
品種
原種野生種のバナナの断面。多数の種子を含んでいる現代の食用バナナの祖先種の元々の自生地域。マレーヤマバショウは緑色、リュウキュウバショウは橙色で示されている[7]。
栽培種「バナナ (種)」も参照様々な品種のバナナ。左から、プランテン、モラードバナナ
キャベンディッシュ (Cavendish)詳細は「キャベンディッシュ (バナナ)」を参照
キャベンディッシュは世界で生産されるバナナのほぼ半数を占め、日本のスーパーマーケット等で一般に売られている品種[9]。日本では主にフィリピンから輸入される[9]。太さを保ちつつ長さもある大型のバナナ。デザート用に栽培されている。皮は厚くきれいな黄色になる。AAAの同質三倍体のゲノム構成を持つ。キャベンディッシュの原産はモーリシャスもあり得る。19世紀には、イギリス人植物科学者によりダービーシャーにあるチャッツワース・ハウスにもたらされた。園芸品種はウィリアム・キャヴェンディッシュ(英語版)に因んで名づけられた。日本では沖縄県で栽培されることもあるが、生育出来る北限に近いため結実しても本来のサイズには至らず、生産量は少ないという。 色と形はキャベンディッシュとほぼ同じで、大きさは少し小さい。クエン酸が多く含まれ、やや酸味が高く味が濃い。フィリピンではキャベンディッシュよりも味が好まれ、最も流通量が多い品種となっている。 果実の長さが7 - 9センチメートルほどの小型バナナ[9]。皮は薄く、果肉はやわらかくて濃厚な甘みを持っている[9]。日本では主にフィリピンから輸入している。「モンキーバナナ」ともよばれる[9]。通称としてフィリピン産を「セニョリータ」、エクアドル産を「オリート」とよぶ。 日本国内でも南九州・沖縄県を中心にバナナが栽培されている。沖縄県や鹿児島県奄美群島では、普通のものよりはるかに短くて小さいシマバナナという品種もよく見かける。味は酸味がやや強い。皮が薄く傷みやすい。 小笠原諸島(東京都)で栽培されるキング種も「島バナナ」と呼ばれる[10]。沖縄のシマバナナ鹿児島県中之島のトカラバナナ キャベンディッシュ種と同じくAAAの同質三倍体のゲノム構成を持ち、どちらもデザート用に栽培されている。かつてはグロスミッチェル種が最も多く栽培されている品種であったが、20世紀中頃に世界的に蔓延したパナマ病によって大打撃を受け[11]、現在では全生産量の1割ほどに留まっている[12]。打撃を受けたグロスミッチェル種の代替としてキャベンディッシュ種の栽培が急速に広まり、1960年代にはグロスミッチェル種の栽培は廃れてしまった。 AABの異質三倍体のゲノム構成を持つ品種はプランテーン(プランティンとも)と呼ばれ、バナナとは異なる果物(野菜[注 1])に分類される場合もある。生食されることはなく、加熱調理して食される。
ラカタン (Lakatan)
レディ・フィンガー (Lady Finger)
シマバナナ
グロスミッチェル (Gros Michel, 愛称 big Mike)詳細は「グロス・ミチェル」を参照
プランテン詳細は「プランテン」を参照
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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