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鳥取県境港市・水木しげるロードに設置されている「世界妖怪会議」のレリーフ。バックベアードが描かれている。
バックベアードは、現代日本においてアメリカの妖怪とされるキャラクター。巨大な黒い円形に枝のような物が放射状に生えており、中心に目が付いた姿をしている。夕方、ビル街に出現する。その巨大な一つ目で睨まれると強烈な目眩を起こすため、ビルの屋上などにいると落されてしまう。光化学スモッグのようなものが正体だと指摘する書籍もある[1]。略称ベアード。 バックベアードや、その元になったとされる決定的な伝承は現在のところ発見されておらず、バグベア(イギリスに伝わる子供の躾のために考え出された妖精)からの着想説がある[2]。しかし、微妙に語感が似ているという他に共通点がなく、国・性質・容姿などは全く異なっている。 現在知られている妖怪としての初出は『少年ブック』1965年8月号の「世界の幽霊・おばけ100選」で、昆虫の眼を持つとされている[3]。絵・岡崎甫雄、文・北川幸比古によるもので、「目をまともに見るとガケから落ちたり、めくらになる」とあり、同様の妖怪が1967年の『少年ブック』付録にも掲載されている[3]。 1966年の『週刊少年マガジン』掲載の水木しげるの漫画『墓場の鬼太郎』「妖怪大戦争」の回で西洋妖怪の総大将として描かれ、以後、水木の多数の雑誌掲載や原作漫画およびアニメに登場し有名になった。また、設定も変化していき、『週刊少年マガジン』の巻頭口絵『世界の大妖怪』(1966年)では、漫画『ゲゲゲの鬼太郎』のキャラクターとは別に、目を見ると失明する妖怪として描かれた。また、水木による伝承の妖怪を解説した書籍『東西妖怪図絵』(1975年)では外国の妖怪として紹介され、「睨みつけて目眩を起こす妖怪」「光化学スモッグのようなものが正体」として描かれ[1]、以降の水木の妖怪関連の書籍は『東西妖怪図絵』の絵や説明を基準にしている場合が多い。 一方で、伝承のある各国の妖怪に紛れて紹介されていたため、漫画からの創作であることを知られずに、日本国内において妖怪や悪魔として、漫画やゲームなど様々な創作メディアで、大よそ類似したデザインで登場し続けるようになった。 アメリカ出身の妖怪で、黒い球体に巨大な一つ目と枯れ枝のような多数の触手を備えた姿を持つ。 冷酷で狡猾な性格をしており、邪魔だと判断した人間や妖怪を平気で殺してしまう。一人称は「私」が多いが、作品によっては「ワシ」や「俺」と言うことがある。 初登場はマガジン版「妖怪大戦争」(アニメ作品では第1作第10話「妖怪大戦争(前編)」)。ブリガドーン現象の中に住む西洋妖怪軍の大将として登場し、ドラキュラ、魔女、狼男(人食い狼)、フランケンシュタインなど大勢の妖怪を引き連れ、妖怪の国を作るため、鬼界ヶ島を占領した。島民の半数を殺し、島民解放に訪れた鬼太郎率いる日本妖怪軍を全滅寸前まで追い込み、鬼太郎をも催眠術で支配下に置いたが、霊毛ちゃんちゃんこの力を借りた目玉おやじに、弱点である目を針で突かれて絶命した。残る多数の部下たちも、鬼太郎親子が島に火を放ったことで、気象条件の変化によりブリガドーン現象ごと島を去る。 その後は、マガジン版「妖怪ラリー」(アニメ第1作第54話)でアメリカ代表選手として登場するのをはじめ、宇宙旅行を計画したり(『鬼太郎の世界お化け旅行』「ベアード」)、相撲大会に参加したり(『鬼太郎国盗り物語』「妖怪大相撲の巻」)と、様々なエピソードに登場。『鬼太郎のベトナム戦記』『妖怪ロッキード』では鬼太郎の協力者にもなった。 『妖鬼化』によれば、水木本人はバックベアードを気に入っていたようで、「形が面白いのでよく作品に登場させている」と語っている。そのため『ゲゲゲの鬼太郎』のカラーイラスト等でも、他の敵妖怪に比べて描かれている割合が多い。 アニメ第1作「妖怪大戦争」では、定期的に妖怪パーティーを開いていたイギリスの廃寺院が取り壊されたことで、人間との共生を止め、仲間の西洋妖怪たちを扇動して人間を支配しようと画策。前線基地として鬼界ヶ島に目をつける。鬼太郎を催眠術で洗脳したが、依頼人父子が命懸けで灯した灯台の光で目が眩んで催眠が解け、正気に返った鬼太郎に目を蹴り潰されて倒された。その後、第54話「妖怪ラリー」で再登場。賞品の佐渡島を手に入れるため、鬼太郎以外の選手と共同戦線を張り、進路妨害をさせていた。アニメ化されたことで表情も比較的豊かになり、あくびをするなどお茶目な姿も見せている。また、真っ黒な背景と区別するためか、体色が白色に変更されており、デザインも簡略化されている。 アニメ第2作には登場せず、わずかに登場する海外の妖怪もベアードとの関わりは見られない。 アニメ第3作には、劇場版『妖怪大戦争』で初登場。ハレー彗星の接近とともに部下の西洋妖怪を引き連れてホウキ星島に現れ、島を占領。島民を強制労働させて拠点となる砦を建造し、世界中の妖怪を呼び寄せて日本を征服しようと企んだ。鬼太郎をはるかに上回る巨体を持ち、周囲に稲妻が飛び交うなど、原作よりも派手に描写されている。ハレー彗星と何らかの関係性があるらしく、その体は宇宙空間のような異次元に繋がっていた(劇中では詳しくは語られない)。体内に鬼太郎を押し込もうとした矢先、ねずみ男たちが砦の土台と異常潮流渦巻く地下洞とを隔てる岩盤を破壊し、激流で砕けた砦の破片と脱出した鬼太郎の髪の毛針で重傷を負い墜落。最後は部下共々水の竜巻に呑まれ、どこかへ飛ばされていった。テレビ版では第46話「妖怪大統領こうもり猫」でアメリカの妖怪大統領として登場し、第51話「世界妖怪ラリー」でもラリー参加者として登場(この時は円盤状の体型になっていた)。この回では他の西洋妖怪と対等な関係で、狼男や魔女を騙して陥れたり、フランケンやグレムリンを光線で倒すなど形振り構わぬ手段に出たため恨みを買う(逆に鬼太郎は狼男や魔女を助けたことで彼らと和解した)。最後はゴール直前の鬼太郎との攻防で両者とも車が大破し、車を降りて押しての勝負になったが、手足がない分不利だったらしく一気に抜かれ敗北し二位に終わる。それでも結果に納得せず鬼太郎を襲おうとしたが、鬼太郎に味方した魔女にレース中の妨害行為の報復も兼ねて石化されるという自業自得の末路を遂げた。 アニメ第4作には、第64話「激走!妖怪ラリー」で初登場。願いの叶う妖怪石を求めてラリーに参加し、鬼太郎とデッドヒートを繰り広げ敗れるが、鬼太郎が妖怪石の力で他の犠牲者と共に復活させた。第96話「妖怪王ぬらりひょん」から西洋妖怪の首領として再登場。妖怪島を復活させる目的で、妖怪王となったぬらりひょんと同盟を組んでいた。一度はぬらりひょんをマグマへ突き落とすも、妖怪王の力を完全に得たぬらりひょんによって地割れに突き落とされてしまう。また、第4作は配下の妖怪がこれまでとは異なり、ウーストレル、ヨナルデパズトーリ、ポルターガイスト、ゴーレムの他、こうもり猫、魔女グルマルキン、ブイイ、ジャイアントから成る西洋妖怪四天王を従える。 ほしの竜一の漫画『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪千物語』では、「妖怪大戦争」のメンバーにミイラ男やゴーゴンなどを加えて日本を襲撃。さらった子供たちの魂で妖怪樹を育て、その実の霊力で悪魔総統デビルプルトーを復活させようとした。鬼太郎と日本妖怪軍の活躍によってデビルプルトーが敗れたため逃亡。その後、妖怪ラリーにも参加し、鬼太郎とデットヒートを繰り広げ敗れた。 アニメ第5作には、第18話「古城に光る黒い眼」で初登場。ベアードの名前は古今東西妖怪大図鑑(ココン)には馬句部阿度と記載されている。西洋妖怪を束ねる大統領的存在とされ、黒幕として初めてシリーズを通して登場する(第二夜ではオープニングにも登場し、敵側妖怪の中でも最も目立つような演出がされている)。日本の地獄の力を手に入れようと企んでいるが、活動範囲を広げるため、日本の悪党妖怪の総大将であるぬらりひょんと協力関係を結んでおり、鬼太郎のこともぬらりひょんから聞き及んでいる。
出自
『ゲゲゲの鬼太郎』におけるバックベアード