バズーカ
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この項目では、兵器のバズーカについて説明しています。その他の用法については「バズーカ (曖昧さ回避)」をご覧ください。
朝鮮戦争におけるM20スーパーバズーカ(左)とM9バズーカ(右)89mm(3.5インチ)ロケット弾(画像上)と60mm(2.36インチ)ロケット弾(画像中段および下)

バズーカ(英語: Bazooka)は、アメリカ合衆国で開発された携帯式対戦車ロケット弾発射器愛称である。

戦後アメリカから西側諸国に多数が供与され、携帯対戦車兵器の代名詞的にもなったため、以来同様の対戦車ロケット弾発射器や無反動砲を一般名詞的に「バズーカ」と呼ぶこともある(後述#創作世界における「バズーカ」参照)。
概要

主に装甲戦闘車両トーチカを攻撃するための兵器で、外見は無反動砲と非常に類似しているが、バズーカは砲身に発射薬をセットすることなく、弾体自身に内蔵された推進薬で加速・自力飛翔するロケット弾を撃ち出す「発射器(ランチャー)」であるのに対し、無反動砲は砲身側に発射薬をセットし、その燃焼ガスを一部後ろ向きに噴出することで反動を相殺する「砲」であるという点で異なっている[注 1]。無反動砲同様、後方爆風(バックブラスト)が発生するため発射器の後方に物や壁があってはいけないことと、仰角を付け過ぎると射手後方の土砂などが吹き飛ばされ危険なこと、後方爆風によって巻き上がる土煙で射手の位置を容易に特定されてしまうなどの運用面の弱点が存在する。また、ロケット弾は発射と同時に後方に燃焼炎と燃え滓を噴射するのも難点の一つで、狭い場所では運用者と周辺の人員が負傷する恐れがあった。

ロケット弾発射器は同口径であれば砲に比べて軽量であり、手軽な反面、砲弾に比べて発射するロケット弾の初速が低く、装甲目標に対する貫通力に劣るという欠点があるが、初速の遅い砲弾でも高い装甲貫通力を発揮させる成型炸薬弾頭(HEAT)の実用化により、当時の戦車に対して非常に有効な歩兵用携行火器となった。バズーカを持つボブ・バーンズ
ニューヨーク地方紙の一つ『The Evening World(英語版)』1919年9月3日号に掲載された記事
第一次世界大戦中、バーンズは海兵隊軍曹として海兵隊ジャズバンドを率いてフランスに赴き、戦前に考案していたバズーカも持参した

「バズーカ(Bazooka)」という愛称は、開発当時のアメリカで有名であった音楽コメディアンボブ・バーンズ(英語版)が愛用した自作の楽器に由来する。この楽器は1つの漏斗と2つのガスパイプを組み合わせた単純な構造の金管楽器で[注 2]、バーンズが著名なコメディアンであることに伴い、この“バズーカ”も著名だった。

第2次世界大戦中、兵士たちはM1A1及びM9のラッパ状に広がったデフレクター(吹き返し防止装置)の形状をこの楽器に見立て、“バズーカ(Bazooka)”と通称するようになった。詳細は「バズーカ (楽器)」を参照

画像外部リンク
「バズーカ」を演奏するバーンズ
[1]

公式にバズーカ(英語: Bazooka)の名称で呼ばれるものには、大きく分けて第二次世界大戦で使用された60mm(2.36インチ)口径型と、朝鮮戦争以降使用されるようになった89mm(3.5インチ)口径型がある。アメリカ陸軍における正式な名称は各モデルともRocket Launcher(ロケット発射器)で、例えばM1バズーカの制式名称はRocket Launcher, Anti Tank, M1(M1 対戦車ロケット発射器)である。また、89mm口径型はスーパーバズーカ(Super Bazooka)の愛称でも呼ばれた。

アメリカ軍欧州戦域総司令官を務めたドワイト・D・アイゼンハワーは、“第二次世界大戦を勝利に導いた兵器”として、「原子爆弾」「C-47輸送機」「ジープ(ウィリスMB/フォードGPW小型四輪駆動車)」、そしてこのバズーカを挙げている[2][3][4]
開発開発主任を勤めたレスリー・A・スキナー大佐
(1940年頃の撮影)

1942年陸軍武器科士官のエドワード・ユール中尉とレスリー・A・スキナー大佐(Leslie A. Skinner)が共同で開発した[5]。また、個人携行の対戦車ロケット発射器というコンセプト自体は第一次世界大戦中にロケット兵器の研究を行っていたロバート・ゴダード博士とクラレンス・N・ヒックマン(英語版)博士によって提唱されたものである。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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