バス共通カード
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他の「共通バスカード」とは異なります。

バス共通カード(バスきょうつうカード)は、関東地方東京都神奈川埼玉千葉首都圏1都3県を中心に、路線バス事業者と都電共通利用が可能だった磁気式乗車カードプリペイドカード)。制度上は回数乗車券の位置付けである。利用可能地域は段階的に拡大され、主な取扱地域からバス路線が乗り入れる茨城群馬両県一部事業者、及び中部地方静岡山梨両県の一部地域にも利用可能路線となった。

非接触式ICカード乗車券PASMOのサービス開始と普及に伴い、2010年10月31日をもって乗車券としての利用が終了、2015年10月31日までに払い戻し対応も終了した。

カードの券面には「バス〈共通〉カード」と表記される。バス事業者によっても呼称が多少異なり「バス共通カード」とする例が多いが、「バスカード」や「共通カード」とする例もあった。また利用者は「バスカード」と略する場合が多かった。カードの発行条件や規格などは「バス共通カード規格管理委員会」が管理していた。
発行券種

バス共通カードには、1,000円(利用額1,100円)・3,000円(利用額3,360円)・5,000円(利用額5,850円)の3種類のカードがある。過去に発売されていたパスネットオレンジカードなどとは違い、購入額以上の利用額(プレミアム)が付加されている上、複数の社局で利用できるのが特徴である。

標準デザインは、1,000円券が桃色、3,000円券が青色、5,000円が黄色。カードの左上に「バス〈共通〉カード」の文字、その下にシンボルマーク、その下に「東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県内の『バス共通カード取扱車』・『共通カード取扱車』の表示のあるバス・都電にご利用いただけます」の文言がある。中央には青空にかかるイラストが大きく描かれ、右上にはプレミアム付きの金額数字(1100,3360,5850)、右下には「(回数乗車券)」の文字と、カードを発行したバス事業者名が書かれている。

標準デザイン以外にも、各事業者ごとにさまざまな記念カードやデザインカードが発行され、当時のバスファンなどにより、趣味としてのコレクションの対象にもなっていた。

2001年度からは500円券(利用額は同額)も登場しているが、こちらは原則として一般に販売せず、景品や贈答品用の受注品扱いとなっている。
歴史
共通回数券の時代

首都圏の乗合バスにおける乗車券共通化の流れは、1984年(昭和59年)10月1日に発売が開始された「東京都区内バス共通回数乗車券」に始まる。東京23区と多摩東部4市(武蔵野市三鷹市調布市狛江市)からなる東京都区内均一運賃地区で事業を行う東京都交通局都営バス)など10社局が参加し、後に川崎市の6社局、横浜市では8社局が参加して同じ規格の共通回数券を発売したが、東京都・川崎市・横浜市それぞれの共通回数券の間に互換性はなかった。「回数乗車券#バス」も参照
神奈中バスカード

1988年(昭和63年)、神奈川中央交通(以降、神奈中とする)が多区間運賃制の路線バスとして日本初のバスカードである「神奈中バスカード[注釈 1]の導入を開始、1990年(平成2年)3月までに一般路線バス全車両(約2,000台)への導入を完了した。詳細は「神奈川中央交通#多区間運賃制路線では日本初のバスカード導入」を参照

このカード自体は現在のバス共通カードとはシステム上の関連がないが、発売額に上乗せされたプレミアム(1000円券で100円、3000円券で360円、5000円券で850円)は、バス共通カードや、後のPASMO・Suicaにおける「バス特典利用サービス」に引き継がれた。(現在も発売されている紙券の「神奈中回数券」も同額)。詳細は「PASMO#バス利用特典サービス」を参照

このバスカードを導入した神奈中の営業エリアは、神奈川県央を中心に東京都南多摩地域まで広域に及ぶものの、エリアのほとんどは神奈中の独占地域であったため、比較的早くに神奈中バスカードが普及した。一方で横浜市内や湘南地区では、横浜市営バス・江ノ島電鉄など他社局との共管路線や競合路線も多く存在しており、当然ながら「神奈中バスカード」はそれら他社局の運行便・路線では使用ができなかった。
共通化の端緒青色の「共通カード取扱車」ステッカー。横浜市・川崎市内の均一運賃区間のバス共通カード・マリンカード取扱車

その後、1992年(平成4年)3月には、上述の神奈中バスカードとは別に、神奈川中央交通・横浜市営バス川崎市バス江ノ島電鉄の4社局が運行する横浜市・川崎市内の均一運賃路線限定で、「バス共通カード」及び「マリンカード」(横浜市交通局発行。市営地下鉄・バス共通乗車券)が初めて導入され、共通利用が図られた。導入車両には青色の「共通カード取扱車」ステッカーが貼り付けられた。

これがバス共通カードおよびマリンカードの始まりとなるが、あくまで均一運賃区間用のものであり、また神奈中バスカードとはシステムが異なっていたことから、共通利用は行われず、横浜市・川崎市内であっても神奈中・横浜市営・江ノ電に存在する多区間運賃路線では利用不可であった。

なお、この4社局以外の後に導入した社局ではマリンカードは使用できず、ステッカーも緑色の「バス共通カード取扱車」となっている。
都内への拡大緑色の「バス共通カード取扱車」ステッカー。マリンカードの取扱はできない

1994年(平成6年)10月になると、それまで単独導入していた東京都交通局都営バス都電荒川線(「Tカード」を発売)や京浜急行バスを始め、東京都区内均一運賃区間の各社局路線へも「バス共通カード」が導入され、東京都区内バス共通回数券の発売は終了した。ただしこの時点でも、東京多摩地域での多区間運賃路線ではバス共通カードの利用不可であった。

多区間運賃区間でバス共通カードの利用が可能になるのは、さらにしばらく経ってからのこととなる。

その後、東京都多摩地域や横浜・川崎以外の神奈川県内の多区間運賃路線、また埼玉・千葉の両県にも順次バス共通カードが導入され、共通化されていった。この他に、1都3県のバス共通カード取扱地域から路線が乗り入れる事業者でも利用可能であった。朝日自動車など、茨城[1]群馬[2]は一部路線で、静岡[3]山梨両県では、ごく一部利用可能であった。
PASMO移行による磁気式カードの終焉桃色の「PASMO・Suica・バス共通カードご利用いただけます」ステッカー。PASMO導入後に貼られたもの

しかし、2007年(平成19年)3月18日PASMOの発売を開始すると、バス共通カードの利用者は段階的にPASMOに移行されたため、川崎市交通局を除く各事業者は2010年(平成22年)3月 - 4月で販売を終了し、同年7月末で利用を終了。首都圏各社局のバス共通カードは、短命に終わった。「PASMO#バス・路面電車」も参照

なお、川崎市バスのみ終了スケジュールが異なり、2010年6月末で販売を終了し、同年10月31日をもって利用終了となった。これにより、2010年11月1日以降は、全加入事業者で払い戻しのみの対応となった。詳細は「川崎市交通局#料金」を参照
利用方法など

バス共通カードを使用できるのは、下記のバス事業者で車両の乗車口付近に「バス共通カード取扱車」(緑色のステッカー)と「共通カード取扱車」(青色のステッカー)の表示のあるバス・都電であり、カードの表面左下(記念カードは記載なし)と裏面上部には「東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県内の『バス共通カード取扱車』・『共通カード取扱車』の表示のあるバス・都電にご利用いただけます。」と記載されている。また、2007年3月18日からのPASMO導入に伴い導入事業者は順次「PASMO Suica バス共通カード ご利用いただけます」(桃色のステッカー、但し車両前面は「PASMO」)というステッカーに張り替えられているが、その場合でも緑・青色のステッカー表示と同様に利用できる。

また、青色のステッカーのバスでは横浜市交通局が発行しているマリンカードが使用できるため表示が異なっているが、バス共通カードも使用可能。ただしピンクのステッカーの表示があるバスの中にはバス共通カードの表記がないものがあるため(バス共通カードを導入せずにPASMOのみを導入している事業者のバス)、乗車の際は注意が必要である。

バス事業者によっては、一部のコミュニティバスなどにカード設備を搭載しておらず、取り扱い表示がなく利用できない路線もあった。

電車で利用できるパスネットと違い、小児の利用や複数人で1枚のカードを直接利用が可能である[注釈 2]。これ以外にも割引運賃の適用などで大人1人分ではない運賃を支払う場合はカードを通す前に乗務員に申告する必要がある。

また、残額が支払うべき運賃に満たない場合は別のカードか現金で精算する必要がある。但しパスネットとは違い2枚同時に投入はできない。


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