この項目では、樹木について説明しています。声優プロダクションについては「ぷろだくしょんバオバブ」をご覧ください。
バオバブ属
アフリカバオバブ(A. digitata)
分類(APG III)
バオバブ(英名:Baobab、学名:Adansonia)は、樹木の属の一つ。アオイ目アオイ科(クロンキスト体系や新エングラー体系ではパンヤ科)バオバブ属の総称。 「バオバブ」の名は、16世紀に北アフリカを旅したイタリア人植物学者が「バ・オバブ」と著書に記したのが始まり。元はアラビア語のブー・フブーブ(種がたくさんあるもの)から来ているという説がある。 学名は、A. digitata を報告したフランス人自然学者ミシェル・アダンソン (Michel Adanson) の名に由来する。 サバンナ地帯に多く分布する[2]。幹は徳利のような形をしていて、高さは約30メートル、直径は約10メートルに及ぶ。最大のものは南アフリカ共和国のリンポポ
名称
特徴
大木の幹には10トンもの水分を蓄えており[1]、乾季になると葉を落として休眠する。休眠中は、幹内の水分で生き延びる。
年輪がないので樹齢を知ることは難しいが、数千年に達するといわれる[2]。放射年代測定は可能である。2011年に枯死したジンバブエのバオバブは、樹齢2500年と推定された。
バオバブには、個別に名前が付けられている有名な古木・巨木もある。ジンバブエの「パンケ」(樹齢約2500年)、ナミビアの「グルートブーム」(樹齢約1500年)、ボツワナの「チャップマンバオバブ」(樹齢約1400年)そして南アフリカ共和国リンポポにあり大きさでは世界トップの「サンランドバオバブ」(樹齢約1100年)である。だが南部アフリカではバオバブの枯死が相次いでおり、これらの古木・巨木も一部または全てが枯死した。原因としては気候変動、灌漑の水分で乾燥に強いバオバブの根が腐ったことなどの可能性が指摘されている[3]。
マダガスカル南西部のムルンダバはバオバブが林立することから「バオバブ街道」と呼ばれ、観光名所になっている[3]。 アフリカ諸国では食用など様々に活用され、親しまれている。オーストラリアの先住民族アボリジニの間では、ブッシュ・タッカーとして古くから消費されていた。果肉は食用・調味料とされ、セネガルでは「サルのパン」と呼ばれる[2]。ビタミンCがオレンジより多く、カルシウムも牛乳より多いといわれる。種子からは、油が採集できる。若葉を野菜として、また汁気のおおい料理に入れるととろみが増し、デンプン質の主食にかけるうってつけのソースができる。樹皮は煎じて解熱剤に用いられるほか、細かく裂いて編めば強靭なロープを作ることができる。 マダガスカルの企業レナラ社は2012年以降、ビタミンCや抗酸化物質を多く含む果実を住民から買い取り、化粧品や栄養補助食品に加工して販売している。苗木を配布している団体もある。バオバブを見学する観光客を誘致するエコツーリズムを含めた商業利用は、バオバブの保護をも目的としている[3]。 原生種がマダガスカルに6種、オーストラリアに1?2種、アフリカ大陸に2種ある。
利用
その他
言い伝えによると、その姿はまるで悪魔が巨木を引き抜いて逆さまに突っ込んだようだといわれている。
サン・テグジュペリの『星の王子さま』では、放置すると星を破壊する有害な巨木として描かれており、見つけ次第抜かれてしまうことになっている。
日本では、浜名湖花博において初めて屋外で開花した。観葉植物にもなり、盆栽型に仕立てることもできる。
種
Adansonia digitata L. - アフリカバオバブ(アダンソニア・ディギタタ[4]、バオバブ、バオバブノキ[5]) … アフリカ大陸に唯一見られるバオバブとして知られていた[4]。
A. fony Baill. - アダンソニア・フォニイ
A. fony var. rubrostipa (Jum. & H.Perrier
A. grandidieri Baill. - グランディディエバオバブ[10](アダンソニア・グランディディエリ) … マダガスカル西部に分布する[11]。過去(1953年)から将来(2116年)にわたって進行すると推定される生育地の喪失や、家畜による苗床の食害、ヒトによる果実の消費、化粧品精製を目的とする種子の採取などの要因から、IUCNレッドリストでは絶滅危惧種 (Endangered ver 3.1) と評価されている[12]。