バイバイ、エンジェル
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バイバイ、エンジェル
作者
笠井潔
日本
言語日本語
ジャンル探偵小説
発表形態雑誌掲載
初出情報
初出野性時代 1979年5月号
出版元角川書店
刊本情報
刊行四六上製本
出版元角川書店
出版年月日1979年7月
受賞
1979年 第6回角川小説賞
シリーズ情報
次作サマー・アポカリプス
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『バイバイ、エンジェル』(バイバイ、エンジェル)、副題ラルース家殺人事件(ラルースけさつじんじけん)は笠井潔探偵小説1979年に文芸雑誌『野性時代』5月号で一挙掲載され、同年7月に角川書店から書籍化された。1979年度、第6回『角川小説賞』受賞[1]

笠井の小説家としてのデビュー作であり、1970年代パリを主要舞台に謎の日本人青年矢吹駆(ヤブキカケル)と大学生ナディア・モガールの活躍を描いた、連作ミステリーの第1作である。今作のミステリ的趣向は事件の発端になった富裕な中年女性の首なし屍体を俎上に載せ、独自の切り口から"顔のない死体"を題材にしている。今回のカケルとの討論相手は事件の背後で糸を引く政治結社のメンバーで、そのグロテクスに変質した社会変革への偏執を剔抉し指弾するカケル自身もシンパシーを認めざるを得ないのだった。
あらすじ

年明け間もない冬枯れのパリで事件は起こった。高級アパルトマンの広間で血溜まりに横たわる中年女性の首なし屍体が、通いの家政婦マリー・バルトによって発見される。壁には血でAの文字が記されていた。被害者は住人のオデット・ラルースと推定される。容疑は前日にオデットと喧嘩を起こし飛び出したまま行方の知れぬ、同居する妹ジョゼットが濃厚となった。昨年末より被害者宅周辺では不審な男の目撃や脅迫状めいた手紙が送られるなど、不穏な雰囲気に包まれていた。

被害女性の甥アントワーヌ・レタールと同じ大学に通うナディア・モガールは、事件に多大な興味を惹かれる。ミステリマニアの彼女は大学で知り合った風変りな青年矢吹駆を巻き込んで、探偵遊戯に踏み込むのであった。ナディアはカケルを伴い教授のリヴィエール宅を訪れた。アントワーヌと同居するジルベール、二人と同郷のマチルドたちと集まった席で、事件について問われたカケルは犯人は"ルシファー"だと応える。冗談とも本気ともつかぬカケルの発言に腹立たしさを憶えたナディアだったが、のちに彼の言葉が核心を示唆していたことと、悪夢のような事件の真相を知るのだった。
主な登場人物

イヴォン・デュ・ラブナン 行方不明の零落した貴族の当主

アンドレ・デュ・ラブナン イヴォンの長男、マチルドと異母兄妹

マチルド・デュ・ラブナン イヴォンの長女、演劇科の学生

ジョゼフ・ラルース 行方不明のラブナン家の小作人

ジャネット・ラルース ジョゼフの長女

オデット・ラルース ジョゼフの二女

ジョゼット・ラルース ジョゼフの三女

クレール オデットの亡夫

デュロワ クレールの共同事業家

フロサール ラルース家の顧問弁護士

クレック 裏で違法行為を行っている
アムステルダムの販売員

マリー・バルト ラルース家の家政婦

ジャック・バルト マリーの息子

マルタン夫人 オデットが常連客の美容院経営者

アントワーヌ・レタール ジャネットの息子、哲学科の学生

ジルベール・マシュー アントワーヌと同郷の友人

アラン・リヴィエール 大学教授、イヴォンの友人

ルネ・モガール パリ警視庁司法警察局警視

ナディア・モガール ルネの娘

ジャン=ポール・バルべス ルネの部下、警部

マチウ・デュラン 警察医

矢吹駆 謎の日本人青年

主な関連項目

(エピグラフ)
ルシファー

ミック・ジャガー

悪魔を憐れむ歌

序章 マドリッドからの手紙第1章 ヴィクトル・ユゴー街の首なし屍体第2章 モンマルトル街の屋根裏部屋
シトロエン・メアリ

スペイン内戦

レジスタンス運動

アルチュール・ランボー

パリ・コミューン

サンスクリット

アルビジョア十字軍

オルメカ

シュメール語

グレゴリオ聖歌

ロマン派音楽

ゴシック建築ロマネスク建築

生命の樹 (旧約聖書)

エレウシスの秘儀

聖杯伝説

ヘルメス主義

ツタンカーメンのマスク

現象学

グスタフ・マーラー

大地の歌

直観

ニコラウス・コペルニクス

グレゴール・ヨハン・メンデルシトロエン・2CV

ナサニエル・ホーソーン

緋文字

エドガー・アラン・ポー


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