バイオインフォマティクス
[Wikipedia|▼Menu]
バイオインフォマティクスの一例。実験的に決定されたタンパク質のアミノ酸配列をアラインメントしたもの。 ヒトX染色体の地図。ヒトゲノム解析はバイオインフォマティクスの最大の成果の一つである。

バイオインフォマティクス(英語:bioinformatics)とは、生命科学情報科学の融合分野のひとつであり、DNAやRNA、タンパク質をはじめとする、生命が持つ様々な「情報」を対象に、情報科学統計学などのアルゴリズムを用いた方法論やソフトウェアを開発し、またそれらを用いた分析から生命現象を解き明かしていく(in silico 解析)ことを目的とした学問分野である。そのためバイオインフォマティクスは広義には、生物学コンピュータサイエンス情報工学数学統計学といった様々な学問分野が組み合わさった学際分野自体を指す。日本語では生命情報科学や生物情報学、情報生命科学などと表記される。

ゲノミクス研究の初期においては、遺伝子予測等のゲノミクスに関する分野がバイオインフォマティクスの主要な対象であった。近年ではゲノムを超えて、ゲノムからの転写物の総体であるトランスクリプトームや、トランスクリプトーム(の一部)が翻訳されたタンパク質の総体であるプロテオーム、タンパク質の二次産物として合成される糖鎖の総体であるグライコーム、更にはゲノムからの直接的に転写・翻訳された実体だけではなく、代謝ネットワーク(代謝マップ)によって生じた代謝産物をも含めた総体を考えるメタボローム、生物個体の表現形の総体であるフェノームなど、バイオインフォマティクスが対象とする研究分野は生物学全体に拡大・発展しつつある。目次

1 概要

1.1 歴史

1.2 バイオインフォマティクスの目標

1.3 関連分野との関係性


2 配列解析

2.1 DNAシーケンサーからの出力データの解析

2.2 アセンブリ

2.3 アノテーション

2.4 計算進化生物学

2.5 比較ゲノム解析

2.6 メタゲノム解析

2.7 パンゲノム解析

2.8 遺伝的疾患

2.9 癌細胞の変異解析


3 遺伝子とタンパク質の発現

3.1 遺伝子発現解析

3.2 タンパク質発現解析

3.3 転写調節解析


4 細胞組織の解析

4.1 顕微鏡イメージング解析

4.2 タンパク質の局在

4.3 染色体における核酸立体構造


5 構造生物学

6 ネットワークとシステムバイオロジー

6.1 分子相互作用ネットワーク


7 テキスト解析

8 画像・動画解析

9 バイオインフォマティクスとコンピュータ

9.1 プログラミング言語


10 データベース

11 ソフトウェア

11.1 オープンソースのバイオインフォマティクスソフトウェア

11.2 バイオインフォマティクスのWebサービス

11.3 バイオインフォマティクスワークフロー管理システム

11.4 BioCompute


12 教育プラットフォーム

13 学会・国際会議

14 引用文献

15 関連項目

16 外部リンク

16.1 日本の関連学会

16.2 外部リンク


概要 遺伝子やゲノム配列はバイオインフォマティクス分野で頻繁にリヨされる。コンピューターを使用することで、手動よりも簡単確実に管理できる。

ゲノムシーケンシング技術の登場と発展により、多くの生物を対象にゲノム解析プロジェクトが進められ、それに伴い大量のゲノム配列情報が得られるようになった。ところが、得られる大量の配列情報から人力で生物学的な意味を抽出することは極めて困難であり、情報処理による解析の必要性が高まっている。遺伝子情報は(A,T,C,Gという塩基で記述できる)核酸配列というデジタル情報に近い性格を持っているために、コンピュータとの親和性が高い。さらにマイクロアレイなどの網羅的な解析技術の発展に伴って、遺伝子発現のプロファイリングやクラスタリング、アノテーション、大量のデータを視覚的に表現する手法などが重要になってきている。これらの理由により、バイオインフォマティクスはその重要性が注目されるようになり、特に1990年代半ばのヒトゲノムプロジェクトやDNAシーケンステクノロジーの急速な進歩によって爆発的に成長し、発展してきた[要出典]。

バイオインフォマティクスの主な研究対象としては、遺伝子予測、遺伝子機能予測、遺伝子分類、配列アラインメント、ゲノムアセンブリ、タンパク質構造アラインメント、タンパク質構造予測、遺伝子発現解析、タンパク質間相互作用の予測、進化モデリング、ドラッグデザイン創薬、等の、様々なコンピュータープログラミングを使用した各種の生物学研究分野が挙げられる。また、特にゲノミクスの分野で繰り返し使用されるような特定の解析パイプラインを開発するといった、方法論の開発に関する研究も含まれる。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:138 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef