バイエルン級戦艦
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バイエルン級戦艦
竣工直後の「バイエルン」
艦級概観
艦種戦艦
艦名地方名
前級ケーニヒ級
次級ビスマルク級
性能諸元
排水量常備:28,600 トン
(ザクセン 28,800トン)
満載:32,200 トン
全長180.0 m
179.4 m(水線長)
全幅30.0 m
吃水9.35 m
機関バイエルン:
海軍式石炭重油混焼水管缶14基
+パーソンズ直結タービン3基3軸推進
ザクセン:
海軍式石炭・重油混焼水管缶12基
+パーソンズ式直結タービン2基&MAN2サイクル6気筒ディーゼル機関2基1軸計3軸推進
ヴュルテンベルク:
海軍式石炭・重油混焼水管缶12基
+AEG・フルカン式直結タービン3基3軸推進
最大出力35,000 hp
(ザクセン 45,000hp)
最大速力22.0ノット (40.7 km/h)
(ザクセン 23ノット)
航続距離5,000海里 / 12ノット時 (22 km/h)
燃料石炭:900 トン?3,400 トン
重油:200 トン?620 トン
乗員平時:1,187 名?1,271 名
(旗艦時:司令部要員100名追加)
兵装SK L/45 38cm(45口径)連装砲4基
SK L/45 15cm(45口径)単装速射砲16基
SK L/45 8.8cm(45口径)単装速射砲8?10基
24インチ(60cm)水中魚雷発射管単装5門
装甲舷側:350mm(水線部主装甲部)、170?250(水線上部)、170mm(水線下部)、50?200mm(艦首水線部)
80mm(最上甲板)
100mm(艦首尾部)
50mm(水密区画)
甲板:30mm(主甲板)
40mm(最上甲板)
30mm(中甲板)
砲塔:350mm(前盾垂直部)、200mm(前盾傾斜部)
250mm(側盾・後盾)
120mm(天蓋)
主砲バーベット:350mm(前盾)、250mm(側盾・後盾)、50mm(甲板下部)
副砲ケースメイト:170mm
弾薬庫:250mm(最大)
司令塔:400mm(側面)、
180mm?200mm(天蓋)
250mm(後盾)

バイエルン級戦艦(Linienschiffe der Bayern-Klasse)は、ドイツ帝国海軍第一次世界大戦前に帝政ドイツ艦隊法で整備された最後のクラスであり、ドイツ最初の超弩級戦艦の艦級である。本級は1913年度計画で2隻、1914年度計画の2隻で計4隻の建造が承認されたが、「バイエルン」と「バーデン」のみ就役して残りは解体処分された。
設計 バイエルンを描いたイラスト

本級の排水量は遂に3万トンを超える32,000トンにおよび、主砲はヘルゴラント級以来の30.5cm(12インチ)砲から一挙に38cm(15インチ)砲が採用された。ドイツは従来、英国よりもひとクラス小型の主砲を搭載してきたが、これで一気に英国に追いついた事になる。当初は3連装砲塔による火力増大が検討されたものの、先行して3連装砲塔を採用したオーストリア海軍の戦艦において揚弾などに不具合が生じたため、確実な動作を約束する連装砲塔を採用し、主砲口径の増大による火力の向上を図ったのである。この連装砲塔を背負い式配置で前後に2基、計4基を装備、副砲は最上甲板下の舷側部分にケースメイト配置で左右8門ずつ装備した。

本級の火力は、同時期に開発中であったイギリス海軍の15インチ砲装備の戦艦、もしくはフランス海軍の34cm砲10門戦艦に投射弾量で匹敵した。また本級(に限らず他のドイツ戦艦も同じであるが)の主砲は、軽量の砲弾を装薬を多く装填して撃つために初速が大きく、近距離(5,000?8,000m)での貫通力に優れるが、射程が伸びるにつれ威力が減じ、長射程では英仏に劣るものであった(ただし射程自体は大きい)。これはドイツ海軍は視界の悪い北海での戦いを想定したため、長距離砲戦を想定していなかったからである。また、戦時中のドイツは上質の重油の安定した供給を得ることができず、本級は石炭を主に使用する混焼缶を使用したため艦隊速力の低速に苦しめられた。
艦形 竣工時から戦訓による改良を受けた「バーデン」の写真。構造物は密閉化して多段化し、2番煙突後部に後部マストが設けられた。主砲塔上の白丸は味方識別マーク。

本級の船体形状は長船首楼型船体で、艦首水面下に浮力確保の膨らみを持つ艦首から甲板上に38cm砲を2門ずつ主砲塔に収め、1番・2番主砲塔が背負い式に2基ずつ構成されている。その後ろに装甲司令塔を組み込んだ操舵艦橋。本級の前部マストはドイツ戦艦では初めて竣工時からと三脚型が採用され、頂上部に測距儀を載せた射撃指揮所があり、中段部に簡素な見張り所が三段に設けられていた。

船体中央部には2本煙突が立ち、煙突の周囲は艦載艇置き場となっており、2番煙突の両脇に艦載艇揚収用のデリッククレーン2基により運用された。第二煙突の後部は探照灯台となっている。後部甲板上に後ろ向きの3番・4番主砲塔が背負い式に2基配置された。主砲は前後方向に4門、左右方向に最大8門が指向できた。

竣工後の1917年頃に運用実績から改装が行われた。この時期のドイツ艦は前部マストの構造物の多くが開放型であったために真冬には冷気が見張り所や艦橋に吹き込んで内部が結氷する欠点があったために密閉化された。また、後部マストが無いために無線アンテナ線を展開するのに不便であったために、2番煙突後方に簡素なマストを後付した。この頃に爆撃機飛行船による航空爆撃の危険性が示唆されたために敵味方識別用として主砲塔上を黒く塗った上に白丸を描くと共に、8.8cm高角砲を単装砲架で2?4基を増設した。戦訓により魚雷防潜網展開用のヤードと魚雷発射管4門を撤去した。2番艦「バーデン」は建造中にこれら改良が施された。
武装
主砲

本級の主砲は新設計の「SK L/45 38cm(45口径)砲」である。その性能は重量750kgの砲弾を最大仰角16度で射程20,400 mまで届かせることができた。この砲を前級と同じく連装砲塔に収めた。砲塔の俯仰能力は仰角20度・俯角8度であるが、後述する設計途中の改装により最終的に最大仰角20度で射程23,200 mまで届かせることができた。

砲塔の旋回角度は、船体首尾線方向を0度として左右150度の広い旋回角度を持つ。主砲身の俯仰・砲塔の旋回・砲弾の揚弾・装填は主に電力で行われ、補助に人力を必要とした。発射速度は毎分2?2.5発である。
副砲、その他備砲、水雷等

副砲は前級に引き続き「SK L/45 15cm(45口径)速射砲」を採用した。性能は重量45.3kgの砲弾を仰角19度で13,500mまで届かせることが出来た。この砲を新設計のMPL C/13型単装砲架に装備した。砲架は仰角19度・俯角8.5度で150度の射界を持っていた。


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