ハ40_(エンジン)
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ハ40は、第二次世界大戦頃に川崎航空機が製造した航空機液冷倒立V型12気筒エンジンである。ダイムラー・ベンツ DB 601のライセンス権を購入し国産化したエンジンである。陸軍機で使用され、製造は川崎航空機明石工場で行われた。三式戦闘機(飛燕)に搭載された。

なお同様にDB 601を国産化したアツタ21型は、愛知航空機で製造され、海軍機で使用された。目次

1 概要

2 国産化について

2.1 主に問題となった部位

2.2 その他


3 派生型

3.1 ハ140


4 主要諸元

4.1 ハ40

4.2 ハ140

4.3 ハ201


5 現存するハ40

6 脚注

7 出典

8 参考文献

9 関連項目

概要

ドイツダイムラー・ベンツで開発されたダイムラー・ベンツ DB 601ライセンスを、陸軍の指示で1939年昭和14年)にライセンス権を購入して生産されたものである。

1935年(昭和10年)頃、両軍はDB 600の使用を考えライセンス生産を決意。その供給については海軍は愛知飛行機、陸軍は川崎航空機が担当する予定であった。だが、両軍の協議の末、愛知が生産を一手に引き受けることで合意し、ライセンス権の取得交渉は愛知に一本化された。そのため、この時点では陸軍も愛知製のものを使用する予定でいた。ところが、日本がハインケル社のHe 118急降下爆撃機を購入したことが交渉に支障をきたすこととなった。DB 600を契約締結前に間接的に入手したことに対して、ダイムラー・ベンツ社は日本側に不信を抱き、この結果、ベンツ社からライセンス権の条件変更を突きつけられてしまうこととなった。このため、交渉は難航したものの、ドイツ航空省の仲介により、契約は成立。問題は解決したかと思われた。ところが、交渉期間中にDB 600の発展型となるDB 601が開発され、そちらのほうが高性能であったため、DB 601を生産する計画に変更した。だが、ベンツ社はライセンスの対象はDB 600のみでDB 601の生産は含まれていないとし、DB 601の生産には新たな契約が必要であるという内容を掲示とした。また、日中戦争の影響で軍用機の生産量が増大し、愛知の生産設備状況を検討した結果、当初の計画である愛知一社で両軍に供給するというのが困難であると判断した。そこで陸軍は液冷エンジンの生産経験を持つ川崎に陸軍の分を生産させようと考え、陸軍は急遽川崎にDB 601のライセンス生産を取得するように命じたのであった。

俗説として、両軍の仲が悪かったがゆえに別々で生産したと言われているが、生産を担当する企業が増えた結果、ライセンス生産権を獲得する企業がその分増えただけである。むしろ、軍部側が生産を担当する愛知の生産能力を正しく認識していなかったことが原因で混乱を招いただけである。
国産化について

川崎航空機はBMW VI型エンジンのライセンス生産などで液冷エンジンの生産経験が比較的豊富であったが、ハ40の製造では数々の困難に遭遇することになった。
主に問題となった部位
クランクシャフト
ハ40はDB 601をライセンス生産する際、戦略物資の使用制限と陸軍の指示のために
クランクシャフトの材料からニッケルを外さざるを得ず、表面に微細なヒビが発生する事例があり[1]、強度不足からよく折損事故を起こしたと言われる[2]。これについては初代整備隊長・茂呂豊氏の「新造ハ40のクランクシャフトが、80時間ちょうどで折れたことがあり、信じられなかった」との証言もある。当のドイツのダイムラー・ベンツ社もニッケルを使用しないクローム・モリブデン鋼を用いたが、表面を窒化処理をしてこの問題の対策をしていた。しかし基礎的な冶金技術の低い日本では容易には追従できなかった[3]
軸受
軸受に使われるメタルベアリングの表面処理の公差が本来要求されるものより10倍程度悪く、軸受がよく焼き付きを起した。これはオリジナルでは機械研磨していたのに対し、ハ40では工作機械の不足やその性能の問題で工作精度をオリジナルに比べて許容公差で1-2桁ほど妥協せざるを得ず、工員がやすりがけで調整するのが主体であったためだと言われている。またベアリングに使われていたケルメットメタルの品質が安定していなかったことも不良の原因となった[4]。この結果、クランクシャフトと主コンロッドを接合する軸受(ベアリング)の破損も多発した。
燃料噴射装置
戦争によりドイツからの工作機械が入手不能となったため、噴射ノズルの精度が出ず、検査合格率はわずか5%であった。


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