ハーフサイズカメラ (英: half-framed camera) は、135フィルムを、いわゆる「ライカ判」(36mm×24mm)の半分のハーフ判にて使用するカメラである。ハーフカメラともいう。 35mmフィルムをパトローネに装填した135フィルムを、その1齣として、いわゆるライカ判の36mm × 24mmの半分の17mm × 24mm(リコーの公称値[1])、あるいは18mm × 24mm(オリンパス、キヤノン、コニカの公称値[2][3][4][5])を使って撮影することから、「半分」を意味するハーフの名がある。メーカーによっては「ペンサイズ」(オリンパス[2])や「デミサイズ」(キヤノン[3])の呼称もあった。 もともと35mmフィルムは映画の撮影に用いられていたもので、画面に対して縦方向にフィルムが走り、1コマにつきパーフォレーション4つ分フィルムが送られる。このフィルムを使ったスチル写真カメラのうち最初に大きな成功を収めたライカは、フィルムを画面に対して横送りし、1コマの感光面が36mm × 24mm(パーフォレーション8つ分)のフォーマットを採用した。このフォーマットが35mmフィルムを使うカメラのデファクトスタンダードとなり、後に「ライカ判」または「フルサイズ」[6]と呼ばれるようになった。 ハーフサイズカメラは、前述のように、1コマの感光面が36mm × 24mmの半分の17 - 18mm × 24mm(パーフォレーション4つ分、映画と同じ)で撮影を行う。単純計算で1本のフィルムで2倍の枚数が撮影できるが、1枚あたりのフィルム露光面は半分になるため、同一のサイズの写真が欲しい場合、引き延ばしを約1.4倍[7]にする必要があり、その分やや画質が荒くなる(引き伸ばし以外は同一の写真材料とDPEプロセスだった場合、感覚的には、少し「粒子感が粗い」という感じの仕上がりになる)。 ハーフサイズカメラのうち、多くの機種はフィルムの送る方向がライカと同様の横送りで、通常の構え方では縦位置(ポートレート)の写真が撮れたが、映画と同じようにフィルムを縦方向に送ることで、通常の構え方で[8]フルサイズのカメラと同様に横位置(ランドスケープ)の写真が撮れる機種もあった。 フィルムが高価だった時代、2倍の枚数が撮影できることで人気を博した。しかし、フィルムのカラー化に伴う現像・プリント価格の上昇(当時のカラープリントは非常に高価だったため2倍撮れることで逆に割高感を招いた)やフルサイズカメラの小型化・廉価化に伴い衰退していった。また、DPEショップのチェーンが広まるなどといった現象の動因となった、ミニラボの時代以後では、店頭の機材がハーフサイズに対応していない場合に設備を持った現像所に送るため現像に時間を要する、ということもデメリットとなった[9]。
目次
1 概要
2 日本で発売された主なハーフサイズカメラ
2.1 オリンパス
2.2 キヤノン
2.3 京セラ
2.4 コニカ
2.5 ペトリ
2.6 ミノルタ
2.7 ヤシカ
2.8 リコー
2.9 富士フイルム
3 注
4 参考文献
概要
日本で発売された主なハーフサイズカメラ
オリンパス
ペンシリーズ
1959年10月 ペン
ペンSシリーズ
1960年7月 ペンS
1965年2月 ペンS3.5
ペンEEシリーズ - 自動露出(EE)を採用したパンフォーカスタイプ。
1961年7月 ペンEE
1968年5月 ペンEE-2
1973年5月 ペンEE-3
ペンEESシリーズ - ゾーンフォーカスタイプ。
1962年4月 ペンEES
1968年3月 ペンEES-2
ペンDシリーズ - 高速レンズを採用したデラックスタイプ。
1962年6月 ペンD
1964年9月 ペンD2
1965年9月 ペンD3
ペンFシリーズ - 一眼レフタイプ。
1963年 ペンF
1966年 ペンFT
1967年 ペンFV
[その他]
1964年9月 ペンW
1965年6月 ペンEM
1967年3月 ペンEED
1981年4月 ペンEF
キヤノン
ダイアル35シリーズ - フィルムを縦に送る機構のためフレームは横位置であった。