ハーバー・ボッシュ法(ハーバー・ボッシュほう、Haber?Bosch process)または単にハーバー法(Haber process)とは、鉄を主体とした触媒上で水素と窒素を 400?600 °C、200?1000 atmの超臨界流体状態で直接反応させる、下の化学反応式によってアンモニアを生産する方法である[1]。 N 2 + 3 H 2 ⟶ 2 NH 3 {\displaystyle {\ce {{N2}+ {3H2}-> {2NH3}}}}
現代化学工業における窒素化合物合成の基本的製法であり、フリッツ・ハーバーとカール・ボッシュが1906年にドイツで開発した[2]。ロイナ工場で実用化されて、褐炭から肥料を生産した。それまではユストゥス・フォン・リービッヒの理論に基づき、チリ硝石を用いていた。目次 現代の工業化学では、メタンから不均一系触媒を使って単離された水素と大気中の窒素とを反応させてアンモニアを合成している。 まず、メタンを精製して触媒を失活させる硫黄分を除去する。約1000 ℃、3 MPaで精製したメタンを酸化ニッケル(II)を触媒として水蒸気と反応させる。これは水蒸気改質と呼ばれる。 CH 4 + H 2 O ⟶ CO + 3 H 2 {\displaystyle {\ce {{CH4}+ H2O -> {CO}+ 3H2}}} 水素量に対応する化学量論量の窒素を含有するだけの空気を加えて、水蒸気改質で残存したメタンを酸化させる。水素の一部も燃焼する。いずれも大きな発熱反応であり、発生した熱(およそ1000 ℃に達する)を利用して水蒸気改質に用いる高温高圧の水蒸気を得る。 2 CH 4 + O 2 ⟶ 2 CO + 4 H 2 {\displaystyle {\ce {{2CH4}+ {O2}-> {2CO}+ {4H2}}}} CH 4 + 2 O 2 ⟶ CO 2 + 2 H 2 O {\displaystyle {\ce {{CH4}+ {2O2}-> {CO2}+ {2H2O}}}} 2 H 2 + O 2 ⟶ 2 H 2 O {\displaystyle {\ce {{2H2}+ {O2}-> {2H2O}}}} 高転化率と高い反応速度を両立するため、Fe-Cr系触媒とCu-Zn系触媒を用いた二段階の水性ガスシフト反応によって、一酸化炭素と水蒸気から二酸化炭素と水素を得る。本反応は平衡反応であるため、濃度0.5%程度の一酸化炭素が残存する。 CO + H 2 O ⟶ CO 2 + H 2 {\displaystyle {\ce {{CO}+ {H2O}-> {CO2}+ {H2}}}} 炭酸カリウム水溶液により、二酸化炭素を除去する。生成した炭酸水素カリウムは再生塔で炭酸カリウムに再生される。 CO 2 + K 2 CO 3 + H 2 O ⟶ 2 KHCO 3 {\displaystyle {\ce {{CO2}+ {K2CO3}+ {H2O}-> {2KHCO3}}}} 混合気体はメタン化炉へ送られ、ニッケル系の触媒を用いて、アンモニア合成反応で触媒毒になる一酸化炭素を10 ppm以下までメタン化により除去する。 CO + 3 H 2 ⟶ CH 4 + H 2 O {\displaystyle {\ce {{CO}+ {3H2}-> {CH4}+ {H2O}}}} 最後に二重促進鉄を触媒としてアンモニアを合成する。 N 2 ( g ) + 3 H 2 ( g ) ↽ − − ⇀ 2 NH 3 ( g ) {\displaystyle {\ce {{N2(g)}+ {3H2(g)}<=> {2NH3(g)}}}} Δ H ∘ = − 92.4 k J ⋅ m o l − 1 {\displaystyle \quad \Delta H^{\circ }=-92.4\mathrm {kJ\cdot mol} ^{-1}}
1 反応過程
1.1 水素の合成
1.2 アンモニア合成 - ハーバー法
2 鉄触媒
3 歴史
4 結果
5 脚注
5.1 注釈
5.2 出典
6 参考文献
7 関連項目
8 外部リンク
反応過程
水素の合成
アンモニア合成 - ハーバー法
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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