ハワイの宗教(ハワイのしゅうきょう)は、ハワイの伝説や歴史物語と古代のハワイの人々の格言から構成と、その後起こったおもにキリスト教への宗教的推移を扱っている。神話はポリネシア神話が変形したものと考えられているが、1800年頃より前の数世紀間、神話自体はハワイ独特の性格を持っていた。神話はハワイにおける信仰と関連している。信仰は19世紀に公式に禁止されたが、近代まで現に信仰される状態で一部の実践者によって保存されていた。 ハワイは火山でできた島であり、かつては無人であったが、5世紀から12世紀にかけて南太平洋のポリネシア人が渡来したことが、人類学上・言語学上の研究からわかっている。初めにマルキーズ諸島、次にソシエテ諸島(タヒチ島など)から渡来したといわれる。渡来した人々の中のパアオ(Pa'ao
ハワイ先住民の宗教
ポリネシア人の渡来
このハワイの宗教はハワイ人の生活を隅々まで支配し、さまざまなカプ(タブー)を規定し、カフナ(神官)、アリイ(貴族)、庶民、奴隷(戦敗者やタブー破り)の4階級からなる厳格な身分制度を作り、そうした状態は19世紀にキリスト教がもたらされるまで続く。
神々「ハワイ神話の神々一覧」も参照
ハワイ先住民の宗教は自然崇拝の多神教で多数の神々があるが、主な神々としては男性のシンボルで戦いの神でもある「クー」 (K?) 、生命の神「カーネ」 (K?ne) 、農耕の神「ロノ」 (Lono) 、海の神「カナロア」 (Kanaloa) がある[1]。その他の神々にはラカ (Laka) 、キハワヒネ (Kihawahine) 、パパハナウモクがあり、ペレも有名である。また、各家族には家族を守ってくれるアウマクア (Aumakua) を持っている。
神々はたくさんあるので、次のように分類すると理解しやすい[2]:
主神4柱(ka h?):クー、カーネ、ロノ、カナロア
男の神々40柱(ke kanah?):カーネの化身
男神と女神400柱(ka lau)
無数の男神と女神(ke kini akua)
その他の神々(na ?unihipili)
守護の霊(na ?aum?kua)
また、次のように分類もできる[3]:
主神4柱、アークア(akua):クー、カーネ、ロノ、カナロア
次の神々、クプア(kupua):各職業と結びついている
守護神、アウマクア(ʻaumakua):各家族と結びついている
ハワイ神話について古典的な本[4]を書いたマーサ・ベックウィズ (Martha Beckwith) は、この本の冒頭の4章でまず、男神のクーとそれに対比して女神のヒナ、ロノ、カーネ、カナロアの5神を挙げて説明して、その後の章で下位の神々を記述している。また他の研究者は、カーネ、クー、ロノをおもな3神として挙げて「Trinity」という言葉で説明する[5]。 ハワイ先住民の宗教での創世神話は、ハワイ王朝年代記である『クムリポ』(ハワイ語で「起源」の意味)に語られている。ハワイ王家に代々口承で伝えてきた2102行からなる叙事詩で、カラカウア王が1889年に公表し、ハワイ王朝が終焉したのちの1897年に英訳されて、世界的にも有名になったもの[6][7]。 その内容は16部に分かれていて、前半の8部が「闇の世界」で、宇宙の始まりから、渾沌の世界から「夜の暗黒」ポーエレ(Boggart)と「根源の闇」クムリポ(Kumulipo)が現れ、交わって生物が創造された。原初の生物が誕生して、海の生物が誕生する。 後半8部は「光の世界」で、カナロア、カネなどの神々が誕生して、ハワイ諸島とハワイ人 ハワイ神話では、大地をつかさどる女神「パパハナウモク」(国を産むパパ)と天空をつかさどる男神「ワケア」が結ばれて、ハワイ島、マウイ島、カホオラウェ島が生まれる。 その後パパはタヒチ島に戻ってしまうので、残されたワケアはヒナと結ばれてモロカイ島を、カウラワヒネと結ばれてラナイ島が生まれる[8]。 しばらくしてパパはハワイに戻ってきて、ルアという男神と結ばれてオアフ島を産む。その後もワケアとパパの間にできたのがカウアイ島、ニイハウ島であった。これでハワイ諸島の主な8島の誕生が完成した。参考までに、北西ハワイ諸島のナショナル・モニュメントは「パパハナウモクアケア海洋ナショナル・モニュメント」と命名されている。
創世神話
ハワイ諸島とハワイ人の誕生神話