ハリー・ポッターシリーズの用語一覧(ハリー・ポッターシリーズのようごいちらん)では、J・K・ローリングの小説『ハリー・ポッター』シリーズで使用される用語について述べる。 『ハリー・ポッター』シリーズでは、魔法族(魔法使いや魔女)の起源は不明である。魔法を持つ人間である魔法族に対して、魔法を持たない人間は「非魔法族」、「マグル」、「ノー・マジ」などと呼称される。魔法力は回復性のある顕性遺伝であるが、まれに潜性遺伝子が顕在化し、魔法族の家に生まれながら魔法が使えない者が誕生することがある。こうした人間は作中で「スクイブ」、あるいは「魔法族生まれ[1]」と呼ばれる。一方で、マグルのなかから突然変異で魔法使いや魔女が生まれることがある。彼らは「マグル生まれ」と呼ばれる。 魔法界では出自・血統への差別が存在しており、純血の魔法族を中心に、マグルや「マグル生まれ」の魔法族を差別する傾向が少なからず見られる。 また、小説版では魔法族(特に純血)の人々はマグルの文化に疎く、バスケットボールやレッドカードなどマグルにとって知っていて当然の事を知らないという描写がある。 原作者ローリングは「純血、半純血、マグル生まれというような表現はこれらの区別が重要である人々によって作られたものであり、このような言葉は発起人たちの偏見を表している」と発言している[2]。
魔法族とマグル
純血
初代以降、純血の魔法族のみで続いてきた家系の魔法族の夫婦の間に生まれた魔法族」を指す[注 1]。彼らの多くは、マグルの血を交えないよう、何世代にも渡って純血の魔法族同士で婚姻を続けてきたため、作中に登場する純血の魔法族はみな姻戚関係にある。ただし、ゴーント家のように、純血を維持するために近親婚を繰り返した結果、遺伝病が発生した家も存在する。またマグルの血が混ざっていない魔法族の家系は実際のところ存在しない[3]。
純血主義
マグルはもちろん、マグル生まれの魔法族や彼らを擁護する魔法族を排除し、純血の魔法族が魔法界を支配すべきであるという思想。ホグワーツ創始者のひとり、サラザール・スリザリンによって提唱され、魔法界の歴史の趨勢に伴い、次第に世論のひとつとして浸透していった。しかし近年は自らを「純血」と主張する人々は減少してきている[3]。
血を裏切る者
純粋な魔法族でありながら、マグルやマグル生まれの魔法族と親密になったり結婚したりした者を指す侮蔑的な語。ウィーズリー家は「血を裏切る者」を数多く輩出してきたことで知られ、純血主義者たちに冷遇されることが多かった。
聖28一族[4]
1930年代出版の「純血一族一覧」という本に記された、「間違いなく純血の血筋」とされる、イギリスの魔法族の純血の名家のことを指す。このリストは匿名で作成されたが、作成者はノット家のカンケンタラス・ノットとされている。その多くが純血主義を標榜しており、ブラック家のように魔法界の王族を自称する家系もあれば、ウィーズリー家のように純血主義に否定的な家系、ゴーント家のように滅びた家系もある。以下に一覧を記す。
アボット家
該当者はハンナ・アボット。
ウィーズリー家
ロン・ウィーズリーの出身家系。他の純血家系と異なり、マグルやマグル生まれにも寛容的であり、それらの人物と多く婚姻関係を結んでいることから、他の純血家系から「血を裏切る者」とみなされている。
エイブリー家
2代続けて死喰い人を輩出している。死喰い人のエイブリーが該当する。
オリバンダー家
ギャリック・オリバンダーの出身家系だが、彼自身は半純血(母親がマグル生まれ)。代々杖作りに従事してきた家系であり、その歴史は紀元前にまで遡る。
カロー家
該当者はアミカス・カロー、アレクト・カロー兄妹。
クラウチ家
魔法界でも最古の魔法家系のひとつだったが、バーテミウス・クラウチ・ジュニアの死により断絶する。
グリーングラス家
該当者はアステリア・グリーングラス。かつては純血主義的であったが、二度目の魔法戦争を経て軟化した。代々、血の呪いを引き継いでいる。
ゴーント家
ヴォルデモートの母方の家系であり、サラザール・スリザリンやカドマス・ペベレルを先祖に持つ。極度の純血主義であり、純血を保つために近親相姦を繰り返した結果、精神異常や遺伝病が発生している。また、全員がパーセルマウスである。モーフィン・ゴーントの死により断絶した。
シャックルボルト家
該当者はキングズリー・シャックルボルト。
シャフィク家
姓はアラブ系である。本編では出身者が登場しない。
スラグホーン家
該当者はホラス・スラグホーン。
セルウィン家
該当者は死喰い人のセルウィン。また、ドローレス・アンブリッジはセルウィン家出身と詐称していた。
トラバース家
該当者は『黒い魔法使いの誕生』に登場するトーキル・トラバース。
ノット家
このリストを作成したカンタンケラス・ノットの出身家系。その他セオドール・ノットが該当。
パーキンソン家
該当者はパンジー・パーキンソン。
バーク家
該当者はカラクタカス・バーク。
フォウリー家
該当者は『魔法同盟』に登場するグリム・フォウリー。
ブラック家
シリウス・ブラックの出身家系。イギリス最古の魔法家系のひとつであり、その歴史は中世にまで遡る。ほとんどの純血家系と縁戚関係にあることから、魔法界の王族を自称している。
フリント家
該当者はマーカス・フリント。
プルウェット家
モリー・ウィーズリーの出身家系で、ミュリエル・プルウェットが該当する。男系の血筋は、ヴォルデモート陣営との戦いで断絶している。
ブルストロード家
該当者はミリセント・ブルストロード。
マクミラン家
該当者はアーニー・マクミラン。少なくとも九代前から続いている家系。
マルフォイ家
ドラコ・マルフォイの出身家系。中世フランスに起源を持つ家系であり、ウィルトシャー州にある地方領主たちから没収した一等地の豪邸に代々住んでいる。現在は純血主義に傾倒しているが、かつてはマグルと癒着していた時期もあった。
ヤックスリー家
該当者はコーバン・ヤックスリー。
レストレンジ家
ベラトリックス・レストレンジの嫁ぎ先の家系。