ハリモグラ
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ハリモグラ
ハリモグラ Tachyglossus aculeatus
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))

分類

ドメイン:真核生物 Eukaryota
:動物界 Animalia
:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
:哺乳綱 Mammalia
:単孔目 Monotremata
:ハリモグラ科 Tachyglossidae
:ハリモグラ属
Tachyglossus Illiger, 1811[2]
:ハリモグラ T. aculeatus

学名
Tachyglossus aculeatus
(Shaw, 1792)[1][2]
シノニム

Myrmecophaga aculeata
Shaw, 1792[2]
Echidna novaehollandiae
Lacepede, 1799[2]
和名
ハリモグラ[3][4]
英名
Short-beaked echidna[1][2]


ハリモグラ(針土竜、学名: Tachyglossus aculeatus)は、単孔目ハリモグラ科ハリモグラ属に分類される単孔類。本種のみでハリモグラ属を構成する。

背面がトゲで覆われており、特有のと特化したを持ち、それを使い獲物であるアリシロアリを素早く捕らえる。現存している他の単孔類であるカモノハシミユビハリモグラ属のように、卵生であり、育児嚢母乳で子供を育てる。英語では、エキドナ(Echidna)と呼ばれる。

オーストラリア(中央から北西の砂漠地帯を除く)とタスマニア、ニューギニア島南東部に生息している[5]

差し迫った絶滅の危機にはないともいわれるが、狩猟生息地開発などの人間活動外来種寄生虫などにより、オーストラリアにおける分布域は減少しつつある。
分布

インドネシア(ニューギニア島南東部)、オーストラリア(タスマニア島および南岸の島嶼を含む)、パプアニューギニア(ニューギニア島南東部)[1]分布域内の岩石地・森林・山地・砂地に生息している[5]

模式産地はシドニー(ニューサウスウェールズ州)[2]。分布域内では、となるアリやシロアリが豊富であれば、生息できるとされている。
形態

全長30 - 45センチメートル、体重2 - 8キログラム[4]。吻は約75ミリメートル[6][7]は外部に見えないため首とが一緒になっているように見える。の穴は頭部の両側についているが、耳介は持たない。は小さく、くさび形の口吻の基部にある。鼻孔と口は吻の先端にあり、口の開けられる大きさは5ミリメートル程度[8]。体は腹部や顔・脚を除きクリーム色のトゲで覆われており、最大50ミリメートルになるこのトゲは体毛が変化したものであり[9]、大部分は角質化したクチクラでできており[10]、1年に1度生え替わる[7]。トゲの根元(毛根)は体内に約1.5センチメートルほどの所にあり、トゲはそれぞれ独立した筋肉により別々に動かすことができる[10]。トゲの間や腹面、尾も覆っている[9]。黒色や濃い赤褐色、黄褐色の体毛は断熱材の役割を果たしている。体毛やトゲの色のバリエーションは、場所によって様々であり、体毛には、世界最大と言われる約4ミリメートルのノミの一種 Bradiopsylla echidnae が寄生している場合が有る[9]

体温は30 - 32 の間であるが、5 ℃近くまでに下がる[11]と不活発になったり冬眠を行う。汗腺がないため汗をかくことはなく、体温調整のために息を荒くすることもないため[10]、暑い時にはシェルターを探して退避している。秋から冬にかけては不活性状態もしくは冬眠する[12]が、季節にかかわらず、極端な暑さや寒さによっても不活発になる[10]

多くの生理学適応性がその生活スタイルを手助けしている。穴に潜るので、身の回りの空気中の二酸化炭素濃度が高レベルな環境であっても生存ができる。耳は低周波の感知ができ、土中のアリやシロアリの動きを捉えられる。鼻は周囲環境の情報を収集するための機械受容器と温度受容器で覆われている[13]。嗅覚も良く発達しており、仲間や捕食者を捜すのに使われている。良く発達した視神経をもち、視覚的分別能力と空間記憶能力はネズミのそれと同程度である[14]中枢神経系は、有胎盤類の進化的比較のために手広く研究された。体の大きさと比較し、他の動物よりも大きな前頭前皮質を持ち、レム睡眠を行うことが知られ、脳は有胎盤類の前障と同等で、共通の祖先から分化したことを示している[15][16]。四肢は短いが、強力な爪がついており、土を素早く掘るのに適応し[9]、四肢には前後ともに5本の指があり、後足の第2指と第3指の爪は長く伸び、トゲの間を清潔に毛繕いすることができるよう、後ろ向きに曲がっており、“grooming claw”(毛繕いをする)と呼ばれる[7]。オスは後肢に毒の蹴爪を持っていたが、実際に毒を出して武器に使用するカモノハシの雄と異なり、短く(1センチメートル程度、カモノハシは1.5センチメートル)自分自身の針の方が長いので実質武器にはならず、ここから揮発性の化学物質を出してメスを誘う目的に使用するという説が2013年に提唱されている[17]。なお、毒腺との因果関係は不明だが「ハリモグラを素手で扱うと皮膚がピリピリ刺激された」という報告例がある[5]

顔、あご、舌の筋肉構造も独特で彼らの採食方法に特化している。口は5ミリメートル程度までしか開くことはできない[7]。舌は長く、口吻からは約18センチメートルほど出すことができる[3]。舌は粘着質の唾液で覆われる[3][4]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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