ハラン_(植物)
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ハラン
Aspidistra elatior
大阪府2007年4月4日
分類APG III

:植物界 Plantae
階級なし:被子植物 angiosperms
階級なし:単子葉類 monocots
:キジカクシ目 Asparagales
:キジカクシ科 Asparagaceae
亜科:スズラン亜科 Nolinoideae
:ハラン属 Aspidistra
:ハラン A. elatior

学名
Aspidistra elatior Blume, 1834 [1]
シノニム

Aspidistra elatior subsp.
cephalostigma N.Tanaka
Aspidistra elatior var.
attenuata (Hayata) S.S.Ying
和名
ハラン(葉蘭)、バラン(馬蘭)
英名
cast-iron plant

ハラン(葉蘭、学名: Aspidistra elatior Blume, 1834)とは、スズラン亜科 キジカクシ科(クサスギカズラ科) ハラン属常緑多年草で、巨大なを地表に立てる植物である。古名は馬蘭(バラン)[2]
特徴

は地下を横に這う地下茎の形をとる。

葉は薄いが硬くてつやがあり、深緑色楕円形で長さが50cmを越える。密な群落を作るので、地面からこの様な大柄な葉が立ち並ぶような風景となる。日陰で手入れをしないでもよく育つ。

紫色多肉質。3-4ごろ地下茎から出て地面すれすれに咲く。ちょうど花が地面にめり込んだような格好である。花被片は8つに分かれる。

果実は地表に乗っているような姿になり、翌年の夏場にあたりに種子をばらけさせる。
分布・生育地

中国南部原産であると言われてきたが、中国での野生は見つかっておらず、鹿児島大学の迫静男らにより九州南部の宇治群島黒島諏訪之瀬島が本来の野生地であるという報告がなされている[3][4]
花粉媒介

この植物の花は地上すれすれに咲くことから、カタツムリナメクジにより花粉が媒介されて授粉されるとの仮説を提唱した植物学者がいたが、1995年日本の加藤真がヨコエビ類のニホンオカトビムシがこの種の花粉を媒介することを示した[5]。その後、加藤の教え子である末次健司により、主たる送粉者はキノコバエ類であるとの見解が示された[6]
ハランの園芸品種

園芸品種として、

・斑入りハラン (縦縞の斑が入る個体で、管理が悪いと先祖返りする。)

・星斑ハラン (葉全体に黄色い点々の星斑が入る個体で余り変質しない。)

・‘天の川’ (これは矮性個体で、星斑が入り、同時に縞斑も入る3芸品である。) 

・‘旭’ (これは新芽が吹く頃は葉の先端から半分まで真っ白で、後に葉の先端に白く斑が残る園芸個体である) 

・‘一品蘭’ (普通の緑葉の中筋が白く一筋に斑入りになる個体)


※なお、世間で造園利用されている個体で、‘天の川’ として広まっている物の、殆どは誤りで、ルリダハラン ‘銀河’ で有る場合が殆どである。ルリダハランは7月頃に咲くので花で区別出来る。
国内に渡来している近縁種

ルリダハラン(Aspidistra lurida Ker-Gawl., 1822)

中国名: 九??

花が7月あたりに開花し、星斑入りの個体  ‘銀河’ (‘Ginga’) が造園界では、名無しの状態で利用されているか、もしくはこれを誤って ハラン ‘天の川’ として造園界で呼ばれる。本来は  ‘銀河’ が正しい園芸品種名である。これは開花しないハランと言われているが、そもそも、種が異なるので、早春には開花しない、7月頃の開花であるので確認されていないだけである。国内では造園用に半日陰の庭園の仕切り等に植栽される。なお、本物の ‘天の川’ はハラン( Aspidistra elatior Blume, 1834) の園芸品種である。


ムシャハラン(Aspidistra mushaensis Hayata, 1920)

中国名: ?社蜘蛛抱蛋

切り花用に切葉が流通しており、星斑入りの葉が綺麗な個体で  ‘高性天の川’ ( ‘K?sei-Amanogawa’ ) が園芸品種として有名である。ただし、世間では ハラン (Aspidistra elatior エラチオール)の園芸品種と誤認されている。開花は日本では5月のゴールデンウィークあたりに地面すれすれに7cm程の赤紫の大きな花を沢山付ける。台灣原産の固有種であるが、台灣からの渡来は大正年間である。ルリダハラン ‘銀河’ が誤認され、ハラン ‘天の川’ と間違って広まりルリダハラン ‘銀河’ は小型である。それに対して、ムシャハラン  ‘高性天の川’ は大型なので、 ‘銀河’ の誤名である ‘天の川’ の大型と言う意味から名付けられたのが  ‘高性天の川’ と言う理由である。世間では開花しないハランと言われていたが、そもそも種がことなるので開花期が異なって見たことが無くても不思議では無い。これとほぼ同じ星斑入り個体が、米国で、 ‘スポッティー・ドッティー’ (‘Spotty Dotty’) と言う個体名で広がっている。



アリサンバラン (Aspidistra attenuata Hayata, 1912)

中国名: 薄叶蜘蛛抱蛋

台灣から、大正年間導入されたハランの仲間で、秋に開花をする。花には個体差があり、白っぽい個体から、濃い茶紅まで個体差が存在する。米国では花が観賞用とされている。米国では花を観賞する為に、4?5品種を選抜され、流通している。


ダイブハラン (Aspidistra daibuensis Hayata, 1920)

中国名: 大武蜘蛛抱蛋

この種の原産地は台灣南東部である。常緑多年生で地中浅く地下茎があり、主に亜熱帯生物群系に自生する。開花期が初冬である。薄赤から赤茶色まで、個体差があり、米国では花と葉を観賞する。花の個体差から、4?5品種選抜されて園芸化されている。日本には、米国や英国から1900年代後半から導入された。


オブランセイハラン (Aspidistra oblanceifolia F.T.Wang et K.Y.Lang, 1982)

中国名: 棕叶草

この種の原産地は中国中南部(四川省、西湖北省、南貴州省)である。 常緑多年生または根茎性の植物であり、主に亜熱帯生物群系に自生する。米国では花と葉を観賞するために栽培されているが、日本の名古屋から輸出された物が起源となっている。有名な園芸個体の ‘ナゴヤ・スターズ’ (‘Nagoya Stars’) は細めの濃い緑に黄色い星斑が入り、春の開花期には地面に無数の花を付ける。


ゾンベイハラン (Aspidistra zongbayi K.Y.Lang et Z.Y.Zhu, 1982)

中国名: 粽?叶

この種の原産地は中国中南部(四川省)で、常緑多年生で鉛筆のような地下茎が枝分かれしながら、岩肌や地表を浅く伝い地に潜らない半着生の根茎性植物である。主に亜熱帯生物群系に原産する。日本国内には1980年代後半に中国と日本の研究者とのやりとりの時に、米国経由で葉に中斑と星斑の両方が入る個体が ‘雲南の星’ (‘Uan Fat Lady’) と名付けられて国内にも流通した。花は、焦げ茶色の丸い花を5?6月に地表にある地下茎にまばらに付ける。花には鑑賞価値は無く、観葉植物で有り、半耐寒性なので、関東以南低地部で戸外越冬が出来る。


出典:

Flora of China

http://legacy.tropicos.org/Project/FC


Missouri Botanical Garden / Tropicos v3.4.2

https://tropicos.org/home


Plants of the World Online

https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:24019-1


POWO follows these authorities in accepting this name:

Govaerts, R.H.A. (2011). World checklist of selected plant families published update Facilitated by the Trustees of the Royal Botanic Gardens, Kew.




ハランの

ハランの花

左・ハランの果実  右・蕾

斑入りハラン(Aspidistra elatior ‘Variegata’)

利用ルリダハランの星斑入り個体 園芸品種名「銀河」

よく庭園の下草として植えられ、斑入りなどの品種がある。ヨーロッパでも植えられ、ジョージ・オーウェル自伝的作品『葉蘭をそよがせよ』("Keep the Aspidistra Flying"、1936年)には、イギリス中産階級象徴として庭のハランが登場する。

和食での料理の盛りつけで料理飾りにハランの葉を包丁で細工したものを使うこともある。現在では高級料亭寿司で使われる。後述する折詰刺身に付いてくる「緑色のプラスチックシート#人造バラン)」は、このハランの葉の飾りつけを模したものである。
語源

名称は中国語の「馬蘭」に由来する[2]。唐の陳蔵器によれば、「其葉蘭ニ似テ大ナル故、馬蘭ト名ヅク」とあり、その葉が蘭に似ていて大きいために付けられた名である[7]

ところが、江戸時代に馬蘭(バラン)が次第に清音化し、ハランと呼ばれるようになって、のちに葉蘭の当て字が付けられた[2]。たとえば、『多識篇』(1631年)、『大和本草』(1709年)、『和漢三才図会』(1712年)、『重修本草綱目啓蒙』(1844年)などでは馬蘭で項が立てられているが[8]、江戸後期に出版された『草木育種』下(1830年)や『草木六部耕種法』十需花(1833年)では葉蘭と書かれている[9]


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