この項目では、植物のハマナスについて説明しています。他の曖昧さ回避の「はまなす」については「はまなす」をご覧ください。
ハマナス
ハマナスの花
分類
ハマナス(浜茄子[3]・浜梨[4]、学名: Rosa rugosa)は、バラ科バラ属の落葉低木。別名ハマナシ。海岸の砂地に生えて、群落を作ることもある。夏に赤い花(まれに白花)を咲かせる。根は染料などに、花はお茶などに、果実はビタミンCが豊富で、ローズヒップとして食用になる。晩夏の季語。 別名、ハマナシとも呼ばれている[5][6][7]。和名ハマナスの語源は、浜(海岸の砂地)に生え、熟した果実が甘酸っぱいので、?ナシに例えて「ハマナシ(浜梨)」という名が付けられ、それが転訛したとする説を武田久吉が唱えた[8]。後に牧野富太郎が唱えた同様の説が通説になっている[5][9]。 しかし、江戸時代の俳諧歳時記『滑稽雑談(こっけいぞうだん)』(1713年)には「初生の茄子の如し、また食に耐えたり、故にハマナスと云ふ」とあり、また幕末本草学者である小野蘭山の講義録『大和本草批正(やまとほんぞうひぜい)』には、「実は巾七、八分小茄子の如し、故にハマナスと云ふ」とあり、いずれも果実を初生もしくは小型のナスに見立ててハマナスと名付けたとしている[10][注釈 1]。しかし、漢字で「茄子」の字が使われているが、ハマナスはナスとはどこも似ていないという指摘もなされている[12]。 中国植物名(漢名)は、?瑰(まいかい)[5]。アイヌ語では果実をマウ(maw)、木の部分をマウニ(mawni)と呼ぶ。 学名はロサ・ルゴザ(Rosa rugosa)で、ルゴザとは皺々という意味である。葉が他のバラよりも葉脈が目立って皺々のように見える。また茎の棘も多めであるが、ロサ・スピノシシマ 東アジアから東北アジアの温帯から冷帯にかけて分布する[1][3]。サハリン、千島列島のほか[12]、日本では北海道に多く、本州の太平洋側は茨城県、日本海側は鳥取県を南限として浜辺に分布する[13][14]。石狩海岸
名称
分布・生育地
公園や庭、街路にも植えられ[16]、観賞用に栽培もされている[15]。現在では浜に自生する野生のものは少なくなり、園芸用に品種改良されたものが育てられている。 1 - 1.5メートル (m) に成長する落葉低木[6][15]。地下茎や匍匐枝を延ばして繁殖し群生する[17][4]。海岸ではやや匍匐性で高さは1 mほどの低灌木であるが、内陸では高さ2 mになる[12]。 幹は叢生して茎は枝分かれして立ち上がり、樹皮は灰黒色から次第に灰色になり、全体に短い軟毛が多く、まっすぐな大小の鋭い刺が密生する[15][4][18]。葉は長さ9 - 12センチメートル (cm) の奇数羽状複葉で互生し[3]、小葉は楕円形あるいは長楕円形などで長さ2 - 4 cm[17]、通常3対、5枚から9枚つき、葉柄には半ば合着した大きな托葉がある[1][15][4]。表面は無毛で葉脈に沿って網状に凹みがつき、裏面に凸出しており、葉縁に鋸歯がある[15][4]。葉身は厚く、針がついている[12]。全体に細かい毛や棘が多い理由は、潮風による塩分の付着を防いで生きていくための進化だと考えられている[12]。秋、寒い地方では黄色に色づいて紅葉する[13]。葉が散るときは、小葉がバラバラに散るときもあれば、葉柄ごと散ることもある[13]。
特徴