ハッチョウトンボ
ハッチョウトンボ(オス)
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ハッチョウトンボ(八丁蜻蛉、Nannophya pygmaea)は、トンボ科ハッチョウトンボ属のトンボの一種。日本一小さなトンボとして知られ、世界的にも最小の部類に属する[2][3]。 パキスタン、インド、ネパール、中国、台湾、マレーシア、ミャンマー、タイ、フィリピン、ニューギニア、韓国、日本、ソロモン諸島、オーストラリア北部など、東南アジアの熱帯域を中心に広く分布する[1]。DNA解析により地域によって大きな差異が確認されていて、複数の種に再分類される可能性がある[4]。 日本では青森県から鹿児島県に至る本州、四国、九州に分布するが、離島には生息していない[3][5]。日本国内での分布は局所的で、さらに近年の開発や環境汚染により著しくその数を減少させている。長野県駒ヶ根市で市の昆虫に指定されている[6]。和歌山県古座川町では、町指定天然記念物に指定している。古座川町は生育地となっている休耕田を買い取ったり、防護柵を取り換えたり、盛り土を整備したりするなどの環境づくりを進めている[7]。 成虫の体長はオスが17-21 mm(腹長10-14 mm、後翼長12-16 mm)、メスが17-21 mm(腹長9-13 mm、後翼長13-16 mm)で極めて小さい[4]。一円玉(直径20 mm)の中に頭から腹端までが納まるほどの大きさである。オスの体は羽化直後は橙褐色だが成熟すると体全体が赤みを帯び[8]、羽化後20日ほどで鮮やかな赤色となる。 メスは茶褐色で、腹部に黄色や黒色の横縞がある。翅の大半は透明であるが、付け根付近は美しい橙黄色になる。幼虫(ヤゴ)も体長9 mmと非常に小さく、緑色を帯びた褐色であるが、体表が泥で被われていることが多い。 主として平地から丘陵地・低山地にかけての水が滲出している湿地や湿原、休耕田などに生息しているが、時には尾瀬ヶ原のような高層湿原でも見られることがある。いずれも日当たりがよく、ミズゴケ類やサギソウ、モウセンゴケなどが生育し、極く浅い水域がひろがっているような環境を好む[3][8]。成虫は5-9月に出現する[5]。成熟したオスは小さい縄張りを持ち、静止状態でメスを待つ[3]。 名前の由来は、尾張の本草学者・大河内存真(おおこうち ぞんしん:1796-1883)による『蟲類写集』に「ヤダノテツポウバハツチウメ」(矢田鉄砲場八丁目)のみで発見せられるために「ハツチウトンボ」の名を有する、との記載に因むとされる。
分布
特徴
形態
生態
メス成虫
オス成虫
オス成虫(未成熟)
オス成虫と五円玉
名前の由来
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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