ハシリドコロ
ハシリドコロ
分類
ハシリドコロ(走野老、莨?、Scopolia japonica)は、ナス科ハシリドコロ属の草本。別名、キチガイイモ、キチガイナスビ、オニヒルグサヤ。目次 日本の本州から四国・九州にかけて分布する多年草。山間の日陰などの湿った木陰に群生する。早春に葉に包まれた新芽を出し、全長は40 - 50 cm程度に成長する。花期は4月から5月。釣鐘状の暗紫紅色の花を咲かせる。夏先には休眠状態に入るため枯れる。夏から冬までは見ることができない典型的な春植物である。 和名は、食べると錯乱して走り回ること、また、根茎がトコロ(野老)に似ていることから付けられた。 アルカロイド類のトロパンアルカロイドを主な毒成分とする有毒植物で、全草に毒があり根茎と根が特に毒性が強い。中毒症状は、嘔吐、下痢、血便、瞳孔散大、めまい、幻覚、異常興奮などを起こし、最悪の場合には死に至る。これは、同じナス科のベラドンナなどと同様の症状である。また、ハシリドコロに触った手で目をこすると瞳孔が開き、眩しく感じられる[1]。 ハシリドコロのトロパンアルカロイドの成分は、l-ヒヨスチアミンやそのラセミ体であるアトロピン(dl-ヒヨスチアミン)、他にノルヒヨスチアミン 日本では、江戸時代にフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトが薬効に気付いたのが契機となり、以降ベラドンナの代用品として用いられている。中国では「東莨?(とうろうとう)」と呼んでいる(「莨?」はヒヨスの変種シナヒヨス Hyoscyamus niger var. chinensis を指す)。 専門家が所定の用法・用量で使用すれば有用であり、成分の強い根茎と根はロートコン(莨?根、Scopoliae Rhizoma)という薬品として日本薬局方にも収められている。ロートコンに含まれるアトロピンは硫酸アトロピンの原料になり、ロートコンの成分を水またはエタノールに浸出させたものはロートエキスと呼ばれる。 なおロート製薬の胃腸薬「パンシロン」シリーズにもロートエキスを含む製品があり、これが同社の社名の由来になっているという俗説がある。しかし実際は目薬の処方を手がけた当時の眼科医界の権威・井上豊太郎のドイツ留学時代の師であるミュンヘン大学教授アウグスト・フォン・ロートムントの名前にちなむものであり、ロートコンがロート製薬の社名の由来というわけではない。 早春に土から顔を出す新芽はハンゴンソウ、フキノトウ、オオバギボウシと間違える事があり[2]、葉は青々として食べられそうに見えるため誤食されやすい。 ハシリドコロの葉
1 特徴
2 毒性と利用
2.1 利用
3 間違えやすい山菜
4 ギャラリー
5 出典
6 参考書籍
7 関連項目
8 外部リンク
特徴
毒性と利用
利用 ロートコン
間違えやすい山菜
ギャラリー
出典^ 羽根田治『新装版・野外毒本:被害実例から知る日本の危険生物』山と渓谷社 2014年、ISBN 9784635500357 p.170.
^ ⇒間違えやすい有毒植物 長野市食品衛生係