ハシボソミズナギドリ
ハシボソミズナギドリ Puffinus tenuirostris
保全状況評価
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ハシボソミズナギドリ(嘴細水薙鳥、学名:Puffinus tenuirostris)は、ミズナギドリ目-ミズナギドリ科に分類される鳥類の一種。
最も長距離の渡りをする鳥の一つとして知られ[1]、1年のうちに累計距離にして約32,000kmを移動する(距離の比較資料:1 E7 m)。 オーストラリア南東部からタスマニアの近郊の島々で繁殖する[2]。 非繁殖期は北上して赤道を越え、日本近海ではほぼ周年観察されるが、冬季は少ない。5-8月ごろに親鳥や若鳥が大群をなして現れ、5-6月には太平洋岸に北上する若い個体が多く見られる。大群は魚やイカ、オキアミなどを探して洋上を移動し、なかにはベーリング海を越えた北極海まで渡る群れもある。繁殖しない若鳥は通年日本近海で見ることができるが、繁殖を控えた親鳥は北アメリカ沿岸を南下した後、太平洋を横切って繁殖地へ戻る。 その渡りのルートをたどると約32,000kmとなり、太平洋の北西半分に頭の大きな「8」の字が描ける。餌の発生に合わせての北半球と南半球にまたがる渡りは、カモメ科のキョクアジサシとともに鳥類で最大のスケールである。なお、「鳥類で最長」は「飛翔動物で最長」と実質的同義である。 全長は42cm (40-45cm) で、翼開長(翼を全開したときの左右の幅)は97cm (95-100cm) になり、アホウドリ(翼開長約240cm)を半分以下に小さくしたような体形をしている。体重は480-800g[3]。 雌雄同色で、体色はほぼ全身黒褐色だが、体の下面はやや灰色がかっている。翼の下面は光線の具合によって、灰色や灰白色に見える。嘴は黒褐色で、他のミズナギドリと比べると短く(嘴峰長31.5-34.5mm[4])細めであり、これが和名の由来である。足は黒褐色。 非繁殖期は海洋に生息する。速い羽ばたきと滑翔を交互にして海面低くを飛翔し、魚類やイカなど餌の群れを見つけるとたくさん集まり、海面下に潜って採食する。海面からの飛翔時には羽ばたきながら滑走する[4]。 繁殖地はタスマニアや、バス海峡、オーストラリア南東部に散在する小島に毎年9-10月ごろ同じオスとメスが飛来し、1-2m の巣穴に草を少し敷いて[5]、11月下旬に1個を産卵する。卵は7.2-7.3cm × 4.4-4.7cm で白色無斑。抱卵期間はおよそ50日[4]。ヒナが孵化(ふか)すると、親鳥はヒナにオキアミを与えるためオーストラリアの南の海へ連日採餌に出ていくようになる。
分布
形態
生態
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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