「ハシブトガラ」とは異なります。
ハシブトガラス
ハシブトガラス Corvus macrorhynchos
分類
ハシブトガラス(嘴太烏、嘴太鴉、学名:Corvus macrorhynchos)は、スズメ目カラス科カラス属に分類される鳥類の一種[1]。日本で「カラス」といえば本種かハシボソガラスを指すのが一般的である。 日本では留鳥として、小笠原諸島を除き全国で、低地から山地まで幅広く分布する[2]。 全長約56cm、翼開長約100cm、体重550-750gほどで、全身が光沢のある黒色をしており、雌雄同色。ハシボソガラスに似るがやや大きく、嘴が太く上嘴が曲がっているところと、額(嘴の上)が出っ張っているところで判別できる。また、ハシボソガラスよりも澄んだ「カー」という声で鳴き、また、鳴く際は、体を水平にし、鳴き声に合わせて尾を上下に振る(ペア相手と居場所を確認し合うときのみ、翼を上に上げ、パタパタ振りながら鳴く)。なお、突然変異で白い個体が出現することもあり、これはアルビノまたは白変種と考えられる。 ※下に掲載されている写真は幼鳥のもの。幼鳥は虹彩の色が青や灰色で、口の中もピンクであるなど、成鳥との外見的相違が目立つ。 英名 "jungle crow" も示すように、元来は森林に住むカラスであり、現在も山間部など森林地帯に広く分布しているが、近年日本では都市部において急速に分布を拡げた。 食性は雑食で、昆虫や木の実、動物の死骸など、あらゆるものを食べる。特に脂質を好み、石鹸や和蝋燭を食べることもある。また、スズメなどの小鳥やネズミ、リス、昆虫、鳩、コウモリなどの生きた小動物を捕食することもある。主に電柱や高木上など高所から地上を見下ろして餌を探し、餌を見つけると下りて行ってとり、高所に戻って食べる。鋭い嘴は、つつくだけでなく咬む力にも優れており、肉なども引きちぎって食べることができる。生態が類似するハシボソガラスよりも肉食性が強い[3]。前述のとおり油脂に富んだ物を好むためマヨネーズの残りかすや切り落とされた肉の獣脂を狙い生ゴミを漁ることも多い一方、胡桃など硬い殻をもつ刮ハを割るために車道に落とし轢かせるなど知恵を働かせることもある。カラスの知能は一般の5?7歳児と同程度であるという説も存在しており、実際にIQテストなどによる証明が行われている。[4] また、知能の高さ故に「遊ぶ」という概念を持っており、木の枝にジャンプで届くかどうかのチャレンジを幾度となく繰り返すなど、捕食や採餌とは関係のない、つまり生存には直接の必要がない行動をとっている様子も確認されている。[5] 産卵期は4月頃で、主に樹林内の大木に木の枝などを用いた巣を作り、2?5個の卵を産む。抱卵日数は約20日で、メスのみが抱卵する。雛への給餌は雌雄で行い、雛は孵化してから約1か月で巣立つ。その後約1か月は家族群で行動し、独立する。若鳥は約3年間群れで行動し、その後ペアで縄張りを構える。 夜間人が立ち入る事の無いよく茂った森に集団ねぐらをとる習性があり、冬期には特に多数が集まる。 頭のいいカラスは、雪を水の代わりに浴びる「雪浴び」や、アリを羽毛になすりつけたり、巣の上に伏せてアリにたからせる「蟻浴(アリの持つ蟻酸によって、ハジラミを退治している)」、銭湯の煙を浴びる「煙浴」、洗濯用洗剤などの粉洗剤を浴びる「薬浴」など、いろいろな入浴方法を実践している[6]。 寿命は飼育下では約20年、野生下では約10年とされる。 前述のように元来は森林などに住む鳥であったが、近年都市化が進んだ日本では都市部においても分布を拡げており、「都会の鳥」としてのイメージが定着した。 何でも食糧にしうるハシブトガラスにとって都市部は食糧が豊かであったこと、止まり木代わりになる構造物が入り組んでいること、また天敵となる猛禽類が住めなくなった事などが相まって、その数は激増し、早朝に群れで生ゴミを漁る光景や、洗濯物を干す針金製ハンガーを集めて営巣する様子などが各地で観察されるようになった。 近年都会で急激に数を増やしたのには、自治体により黒色のゴミ袋に代わり透明・半透明のゴミ袋の使用が義務づけられたため、視覚により餌を探すカラスにとってゴミを漁りやすくなった事が原因の一つとして指摘されている。
分布
特徴
生態
人間との関係ハシブトガラスの頭部
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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