ハコフグ科
ハコフグ Ostracion immaculatus
分類
ハコフグ科(箱河豚、Ostraciidae)は、フグ目に属する海水魚の科の1つ。 皮膚に骨板が発達し、多数が絡み合って全身を装甲する硬い甲羅を構成している。全体は箱状となる。フグ科魚類と同様に体型は丸みを帯びる。色も美しく、体型や泳ぎの様子の愛らしさから観賞魚として飼育されることもある。 歯はフグ科やハリセンボン科、マンボウ科、ウチワフグ科のように全部が融合してペンチ状の歯板を形成することはない。むしろ同じフグ目のカワハギ科などと同様、くちばし状の吻の先端に鑿状の歯が集まった形状になっている。 焼くと骨板は容易にはがすことができるため、一部の地方では昔から美味として好んで食用にされてきた。例えば長崎県の五島列島ではカトッポ(「かどっぽ」とも。五島の方言で魚を「ぼっぽ」と言う)と呼ばれ、焼いて腹部の甲羅をはがしてから味噌や薬味を入れ、甲羅の中で身と和える調理法が知られる。元は漁師料理で、現在では観光客らにも提供されている。同地では「米を5合食べられるほどおいしい」という意味で「ゴンゴブ」と称される。毒を含むことがあるぬめり(後述)を落とすため、皮をタワシなどで洗ってから調理される[1]。 一般的にフグ毒として知られるテトロドトキシンは持たない。だが、パリトキシンに類似した毒性物質を体内に蓄積していることがある。これはアオブダイやソウシハギなどと同様に、食物連鎖を通じて蓄積されると推測される。この物質は後述のパフトキシンと違い食用部分に存在しており、重篤な中毒を起こす事がある。厚生労働省から2002年(平成14年) - 2007年(平成19年)に、このパリトキシン様毒を持つ個体による5件9名、死亡1名の食中毒例が報告されている[2]。 また骨板による装甲とともに、サポニンに類似し溶血作用のあるパフトキシンという物質を皮膚から粘液とともに分泌し、捕食者からの防御を行っている。そのため、水槽内での不用意な刺激によって毒が海水中に放出され、他の魚が死滅することがある。その毒で自分も死ぬことがある。 食品衛生法に基づく厚生労働省通知(処理等により人の健康を損なうおそれがないと認められるフグ21種類及び部位)ではハコフグ(ハコフグ科)について肝臓及び卵巣、皮を食べられない部位としている[3]。
特徴
毒性と食用
分類 Bleeker, 1865 ツノハコフグ属
Lactophrys
クレード2 - 主にインド太平洋に生息する。体断面は四角形に近い。
Lactoria Jordan & Fowler, 1902 コンゴウフグ属 - 3種 コンゴウフグ、ウミスズメ、シマウミスズメ
Tetrosomus Swainson, 1839 ラクダハコフグ属 - 4種 ラクダハコフグ、ハマフグ
Ostracion Linnaeus, 1758 ハコフグ属 - 10種 ハコフグ、クロハコフグ、テングハコフグ、ミナミハコフグ、ヒョウモンハコフグ
Paracanthostracion - 1種
出典
ハコフグ 長崎大学 附属図書館 グラバー図譜
⇒ハコフグ科 下関市立しものせき水族館「海響館」
脚注[脚注の使い方]^ 【仰天ゴハン】かっとっぽ(長崎県・上五島)愛嬌者ハコフグの味噌焼き『読売新聞』朝刊2018年12月9日よみほっと(別刷り1面)。
^ 厚生労働省統計。「資料3 貝毒以外の海洋性自然毒 p.3 p.21」(会議資料詳細 第8回食品安全委員会かび毒・自然毒等専門調査会)
^ ⇒ふぐの内臓は食べられません!! 大分県、2019年10月24日閲覧。
^ Froese, Rainer, and Daniel Pauly, eds. (2006). ⇒"Ostraciidae" in FishBase. April 2006 version.
^ Santini, Francesco and Sorenson, Laurie and Marcroft, Tina and Dornburg, Alex and Alfaro, Michael E (2013). ⇒“A multilocus molecular phylogeny of boxfishes (Aracanidae, Ostraciidae; Tetraodontiformes)”. Molecular phylogenetics and evolution 66 (1): 153-160. ⇒http://specifyassets.nhm.ku.edu/Ichthyology/originals/sp66483766177392227050.att.pdf.