ハガキ
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この項目では、郵便において用いられる用紙について説明しています。近世日本で流通した紙幣の一種については「羽書」をご覧ください。

「ポスト・カード」はこの項目へ転送されています。メリー・ホプキンのアルバムについては「ポスト・カード (アルバム)」をご覧ください。

「絵はがき」はこの項目へ転送されています。かとうれい子のシングルについては「絵はがき (曲)」をご覧ください。

はがき(葉書[注 1][注 2]、端書、英:Postcard)は、手紙の形態の一つ。郵便葉書の略。片仮名で「ハガキ」と書く場合もある。目次

1 形式

1.1 規格

1.2 作成者

1.3 プライバシー

1.4 往復はがき


2 語源

3 日本におけるはがき

3.1 歴史


4 欧米におけるはがき

4.1 アメリカ合衆国

4.2 ドイツ


5 無地はがきと絵はがき

6 その他

7 脚注

7.1 注釈

7.2 出典


8 関連項目

9 外部リンク

形式 1895年のバイエルン王国のはがき(宛先の記名面、メッセージは裏面)

はがきは宛先と本文を一枚の厚めの紙に書いて、封筒に入れずにそのまま送付する形式の手紙である。
規格

日本アメリカ合衆国ドイツなどでは「はがき」に一定の規格・様式を設けており、郵便物の一つの区分になっている[2]。一方、イギリスフランスイタリアなどでは「はがき」は通常の書状(または小型書状)と同じ扱いであり、別の区分にはなっていない[2]
作成者

郵便事業は通常、国家事業や公社的事業であり、国家または公社(もしくは公社に準ずる事業体)が発行する郵便はがきと、民間の印刷業者などが発行する郵便はがきの2種類が存在することがある。前者は「官製はがき」または「公社製はがき」(日本では「郵政はがき」)と呼ばれるのに対し、後者は「私製はがき」と呼ばれる。

「官製はがき」の場合、はがきの表面に切手と同等の効力を持つ額面が記載された「料額印面」が印刷されており、これが料金支払済みであることを示す。他方、「私製はがき」には、そのような印面は印刷されておらず、郵便事業体から料金分の切手を購入し、はがきに貼り付けなければならない。1895年バイエルン王国の郵便はがきである右の写真を一例に説明すると、右上の料額印面はニュルンベルク(NUERNBERG)の4月27日消印で抹消され、左下には、4月28日付けのミュンヘン(MUENCHEN)の到着印が押されている。

アメリカ英語では、官製はがきをpostal card、私製はがきをpost cardと呼ぶが、イギリス英語では両者共にpost cardと呼んでいる。
プライバシー

はがきは基本的には封書と異なり、カード状となっているので、通信内容が他人に読み取られ得る状態で配達される。企業が発送する請求書領収書など、プライバシー保護などの理由で内容を秘匿したいものは、従来は封書で発送されていたが、近年では郵送費の節減を目的として、はがきを利用するケースが増加している。この場合、記載事項が見えないようにするため、目隠しシールを貼ったはがきや薄く張り合わせた接着はがき(「圧着ハガキ」や「封緘葉書」(ふうかんはがき)[注 3]と通称される)を使用する。一般家庭や個人商店用に封緘葉書を作成できるキットもある。
往復はがき

往信用はがきと返信用はがきとの2枚をつなげた往復はがきがある。発信人は半分に折って往信用はがきに宛先を書いて投函し、受取人は中央で切り離して返信用はがきを送り返すことができる。日本では、往信用はがきの宛名面の右側に返信用はがきの文面の左端がつながる[3]。折った内側となる返信はがきの宛名面には、発信人の住所氏名を記入しておくことが多い。返信を必要とする会合の通知などによく用いられる。
語源

「はがき」は「はしがき」、つまり「端・書き」から派生した言葉で「端書」・「羽書」とも書かれた。古文書学においては文書料紙の右端を「端」と称し、端部分には「端書」(はしがき)と呼ばれる覚え書き・メモ等が記されていることが多いことから、もともと「端書」は紙片等に書き付けた覚え書き、また覚え書き等を書き付けた当の紙片等をも意味した(紙片に記したメモを文書に貼り付けたものは、付箋や押紙などと呼ぶこともある)。江戸時代には、金銭関係の催促状や通知文書が、「端書」と呼ばれた。明治時代に郵便制度が出来てからは、もっぱら「郵便はがき」の意味で使われ始め「葉書」という表記が一般になったとされる。そのため、今日はがきといえば一般的に「郵便はがき」のことを指すが、「葉書」は当て字であり、「端」の代わりに「葉」を使う理由については、「タラヨウ(多羅葉)」の木から「葉書」の「葉」が来た、など諸説あり、確かなことは分かっていない。
日本におけるはがき「第二種郵便物」も参照 はがき前面、長崎県庁、明治 はがき裏面

日本では郵便はがきは第二種郵便物に区分されており(郵便法第21条第1項)[2]封書などの第一種郵便物よりも安価な郵便料金が適用される。
歴史

日本では江戸時代に全国的に諸街道が整備され、特に江戸後期には飛脚による通信網が形成され近在や遠隔地との書簡による公的・私的な情報伝達が行われていた。書簡の中には、近代以降のはがきに相当するような、書式も単純で儀礼性が薄く口頭伝達の代用手段として用いられた簡易書簡も存在した。これらは飛脚以外にも使用人や家族を介しても伝達が行われ、郵便制度の確立以前から簡易書簡による情報伝達が盛んであった[4]とみることも可能である。こうしたことと関連づけて、後の郵便制度確立以降のヨーロッパ諸国と日本の郵便物に占めるはがきの割合を比較し、ヨーロッパ諸国が5パーセントから20パーセントの割合であるのに対し日本は40パーセントを超える高い割合であることを指摘する研究もある[4]

このような近代以前の通信文化を背景に、明治に入ると交通がさらに発達するとともに政府による郵便制度が開始され、当初は切手制度(すなわち料金の支払いを示す切手、宛先を記す封筒、本文を記す便箋の三点を用意して送る封書による郵便)が先にスタートするが、まもなく一枚の紙が切手封筒便箋の三役を兼ねる官制はがき制度が導入されると簡単な内容を手軽に伝達できることで人々の間に浸透した。また、明治33年(1900年)には私製の絵葉書の発行が許可され、一般的になった。明治後期には絵葉書が流行し、はがきは私的な通信手段のみならず時候のニュースを伝えるメディアとしても発達した[5]
欧米におけるはがき

アメリカ合衆国やドイツなどでは「はがき」に一定の規格・様式を設けており郵便物の一つの区分になっているが、イギリス、フランス、イタリアなどでは「はがき」は通常の書状(または小型書状)と同じ扱いで別の区分にはなっていない[2]
アメリカ合衆国

アメリカ合衆国ではアメリカ合衆国郵便公社(USPS)が郵便事業を行っており、はがきに区分される郵便物のサイズは15.2×10.8×0.04cmまでのものである[2]。なお、料金設定には政府規制機関による承認を要する[2]
ドイツ

ドイツでは、はがきに区分される郵便物のサイズは23.5×12.5までのもので紙の坪量が150g/m2 - 500g/m2のものである[2]


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