ハイペロン
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ハイペロン(: hyperon)は、ストレンジクォークを含むが、チャームクォークボトムクォークおよびトップクォークを含まないバリオンである[1]。言い換えると、ストレンジネスを持つが、チャームボトムネストップネスを持たないバリオンである。
性質

すべてのハイペロンは、バリオンでありフェルミオンである。すなわち、それらは半整数スピンを持ちフェルミ=ディラック統計に従う。それらはすべて強い核力を経由して相互作用し、ハドロンを形成する。それらは三つの軽いクォークから構成され、少なくともその一つはストレンジクォークである。ストレンジクォークを含むため、それらはストレンジバリオンである。ハイペロンは パリティ非保存弱い崩壊をする。

寿命は10-10?10-8秒と、核子に比べきわめて短命であり、その質量は核子より数割重たい。また、1つの核子と、1つまたはいくつかの中間子に崩壊する。個々のハイペロンの性質についてはバリオンも参考のこと。
種類バリオン8重項。最上段のn・p以外のΣ・Ξ・Λがハイペロンである。Qは電荷、Sはストレンジネス。バリオン10重項は、全スピンが3/2になる三つのu、dまたはsクォークの組合せで構成される。最上段のΔ以外の下の六のつΣ*・Ξ*・Ωがハイペロンである。

ハイペロンの種類には、Σ粒子、Ξ粒子、Λ粒子、Σ*粒子、Ξ*粒子、Ω粒子がある。アイソスピンの第3成分を考慮に入れる(アップクォークとダウンクォークを区別する)と、全部で12種類が存在する。

シグマハイペロンは、Σ+
 、Σ0
 およびΣ−
 の三種類が存在する。それらは、約1190 MeVの静止エネルギーおよび約1×10?10 秒の寿命を持つ。Σ0
 は例外でその寿命は1×10?19 秒以下である。

ラムダハイペロンは、Λ0
 の一種類が存在する。それは、1115 MeVの静止エネルギーおよび2.6×10?10 秒の寿命を持つ。

グザイハイペロンは、Ξ0
 およびΞ−
 の二種類が存在する。それらは、1315 MeVおよび1320 MeVの静止エネルギーと2.9×10?10 秒および1.6×10?10 秒の寿命を持つ。

オメガハイペロンは、Ω−
 の一種類が存在する。それは、1670 MeVの静止エネルギーおよび8.2×10?11 秒の寿命を持つ。
8重項sdd = Σ-(sud + sdu) / √2 = Σ0uus = Σ+dss = Ξ-uss = Ξ0(sud - sdu) / √2 = Λ0
10重項(sdd + dsd + dds) / √3 = Σ*-(uds + sdu + usd + dsu + sud + sdu) / √6 = Σ*0(uus + usu + suu) / √3 = Σ*+(dss + sds + ssd) / √3 = Ξ*-(uss + sus + ssu) / √3 = Ξ*0sss = Ω-
崩壊反応

ストレンジネス強い相互作用によって変換されるので、基底状態ハイペロンは強い崩壊をしない。しかしながら、それらは強い相互作用に関与している。
Λ崩壊Λ0
  → p+
  + π−
 Λ0
  → n0
  + π0
 

Λ0
 も次の過程により滅多に起こらない崩壊をする:Λ0
  → p+
  + e−
  + ν 
eΛ0
  → p+
  + μ−
  + ν 
μ
Σ崩壊Σ+
  → p+
  + π0
 Σ+
  → n0
  + π+
 Σ0
  → Λ0
  + γΣ−
  → n0
  + π−
 
Ξ崩壊Ξ0
  → Λ0
  + π0
 Ξ−
  → Λ0
  + π−
 

Ξ粒子は、"カスケード"ハイペロンとしても知られる。それらは最初にΛ0
 へ崩壊しπ±
 を放射することで核子へ崩壊する二段階カスケード崩壊を起こすことからこの名前が付いた。
Ω?崩壊

Ω−
 は、
バリオン数+1および超電荷-2を持ち、そのストレンジネスは?3となる。それは陽子または中性子へ崩壊する多重フレーバー変換弱崩壊を起こす。マレー・ゲルマンSU(3)モデル(ときに八道説と呼ばれる)はこのハイペロンの存在、質量および弱崩壊のみが可能であることを予測する。

その存在に対する実験的証拠は、1964年にブルックヘブン国立研究所で発見された。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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