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肺魚類
生息年代: デボン紀 - 現世 Pre??OSDCPTJKPgN
オーストラリアハイギョ
Neoceratodus forsteri
分類
ハイギョ(肺魚)は、肺や内鼻孔などの両生類的な特徴を持つ魚で、肉鰭亜綱・ハイギョ下綱に属する。
約4億年前のデボン紀に出現し、化石では淡水産・海産を合わせて約64属280種[注 1][注 2]が知られるが、現生種は全て淡水産で、オーストラリアハイギョ1種、ミナミアメリカハイギョ1種、アフリカハイギョ4種の、計6種のみが知られる。「生きている化石」の1つに数えられる。
特徴Protopterus dolloi 呼吸のため、水面に顔を出したところ
空気呼吸と夏眠
ハイギョは他の魚類と同様に鰓(内鰓)を持ち、さらに幼体は両生類と同様に外鰓を持つ[注 3]ものの、成長に伴って肺が発達し[注 4]、酸素の取り込みの大半を鰓ではなく肺に依存するようになる[注 5]。数時間ごとに息継ぎで水面に上がる必要があり、その際に天敵のハシビロコウやサンショクウミワシなどの魚食性鳥類に狙われやすい。その一方、呼吸を水に依存しないため、乾期に水が干れても次の雨期まで地中で「夏眠」と呼ばれる休眠状態で過ごすことができる[注 3]。なお夏眠については、少なくともペルム紀の頃には行われていた[1]。
この夏眠の能力により、雨期にのみ水没する氾濫平原にも分布している。アフリカハイギョが夏眠する際は、地中で粘液と泥からなる被膜に包まった繭の状態となる。「雨の日に、日干しレンガの家の壁からハイギョが出た」という逸話はこの習性に基づく[2]。 硬骨魚類は肉鰭類と条鰭類の2系統に分かれており、四足類は肉鰭類から進化したとされる。肉鰭類の魚類は現在シーラカンスとハイギョのみである。かつての総鰭類(肉鰭類から肺魚類を除いた群)は分岐学に基づいて妥当性が見直され、さらに、現生種に対して分子遺伝学手法が導入された結果、シーラカンスよりもハイギョが四足類に近縁とする考えや、それに基づいた分類が用いられるようになった。 もともと肺は海以上に酸欠になるリスクがはるかに高い淡水の川で発達して生まれたもの。進化生物学でヒトを含む現在の多くの脊椎動物の祖先と取り上げられることが多いユーステノプテロンも肺を持っていた。また、現在ハイギョ以上に地球に生息している肺を持たずに鰾を持っている魚の鰾は肺が進化して生まれた。 ハイギョには該当しないが、ピラルクやガーなどの鰾は肺としての機能を失っておらず、肺呼吸で他の魚以上に持久力を維持できるのも一億年以上絶滅を免れることができた理由の一つでもある。 化石目を含めるとポロレピス目Porolepiformes(ポロレピス下綱Porolepimorpha)に近縁と考えられており、肺魚形類Dipnomorphaとしてまとめる説もある[3]。 現生種をオーストリアハイギョ目Ceratodontiformes(オーストリアハイギョ科1種)とミナミアメリカハイギョ目Lepidosireniformes(ミナミアメリカハイギョ科1種とアフリカハイギョ科4種)の2目に分ける説もある[4][5]。
産卵
オーストラリアハイギョが水草にばらばらに卵を産み付けるのに対し、その他のハイギョでは雄が巣穴の中で卵が孵化するまで保護する。ミナミアメリカハイギョの雄は繁殖期の間だけ腹鰭に細かい突起が密生し、酸素を放出して胚に供給する[注 6]。
内鼻孔
ハイギョは陸上脊椎動物と同様に外鼻孔と内鼻孔を備えている。正面からは吻端に開口する1対の外鼻孔が観察でき、口腔内に開口している内鼻孔は見えない。肺魚類と四足類は内鼻孔を持つという共通項から内鼻孔類とも呼ばれた。
食性と消化器官
ハイギョの歯は板状で「歯板」と呼ばれる。これは複数の歯と顎の骨の結合したもので貝殻も砕く頑丈なものである。獲物をいったん咀嚼を繰り返しながら口から出し唾液とともに吸い込むという習性を持つ。現生種はカエル、タニシ、小魚、エビなどの動物質を中心に捕食するが、植物質も摂食する。頑丈な歯板は化石に残りやすいため、歯板のみで記載されている絶滅種も多い。ハイギョの食道には多少の膨大部はあるものの、発達した胃はない。このためにじっくりと咀嚼を繰り返す。ポリプテルス類、チョウザメ類、軟骨魚類と同様に、腸管内面に表面積拡大のための螺旋弁を持つ。総排出腔は正中に開口せず、必ず左右の一方に開口する。糞はある程度溜めた後に、大きな葉巻型の塊として排泄する。
系統・進化
分類
現生種オーストラリアハイギョ Neoceratodus forsteri
オーストラリアハイギョ科 Ceratodontidae
ネオケラトドゥス・フォルステリ Neoceratodus forsteri (Krefft, 1870)
オーストラリア北東部に分布する。全長約1.5m。対鰭は葉状で、発達した肉質部を持つ。幼魚の体色は黒色だが、成長と共に褐色へ変化する。ワシントン条約で保護されている。