高オクタン価ガソリン(こうオクタンかガソリン)とは、レギュラーガソリン(別名ノーマルガソリン)より高いオクタン価を持つガソリンのことである。一般にハイオクガソリン、ハイオクと略称される。
高オクタン価とは、石油燃料を内燃機関で燃やしたときにノッキングと呼ばれる障害の起こしにくさ(アンチノッキング性)の度合いが高いことを示しており、揮発性の有無や燃焼カロリーとは関係がない[注 1]。
ガソリンの規格は地域ごとに異なっており、高オクタン価ガソリンの名称や基準も地域ごとに異なる(ヨーロッパ規格のプレミアムガソリン、日本工業規格のハイオクガソリンなど)。日本国内でも例として無鉛高オクタン価ガソリンを要する車両の諸元表の燃料の欄には「無鉛プレミアム」などと表記される。目次 高オクタン価ガソリンは製油所内の「接触改質装置」と「接触分解装置」という2種類の異なる装置によって別々の特性を持つガソリンが製造され、求められる特性に合わせて混合される。 重質ガソリンと水素を原料に、白金系粒状触媒との接触によってオクタン価が高く芳香族を多く含んだガソリンに改質される。収量は80%と比較的良好であり反応中に新たに水素が得られる。このガソリンは高速での燃焼時にオクタン価が高い特性を持つ。 減圧蒸留で生み出された重質油を原料に、重質油の長い炭素鎖をシリカ?アルミナ系の粒状触媒との接触によって短く分解し、オクタン価が高くオレフィン分を多く含んだガソリンが作られる。 収量は40 - 50 %であまり高くない。このガソリンは低速での燃焼時にオクタン価が高い特性を持つ[1]。 燃料に高オクタン価のガソリンが指定されている車種に使用される。 この節には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証し出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2011年3月) 一般的に高性能エンジンはハイオクガソリン仕様である上に、かつて盛んに行われたハイオクガソリンの広告宣伝活動の影響もあり、「レギュラーガソリン仕様でもハイオクガソリンを入れれば性能が向上する」という説が存在するが、その説は一概に正しいとは言えない。ハイオクガソリンは燃料そのものの熱量がわずかながら高いだけであり、高出力や低燃費を得るために圧縮比を高く設定したエンジンにおいて、高温になり自然発火(ノッキング)することを防ぐために、オクタン価を高めた燃料だからである。 もともとレギュラーガソリンを使用する前提のエンジンは、レギュラーガソリンでノッキングが起こらない設計になっており、更に2000年以降の多くのエンジンはノッキングの発生を感知し(いわゆるノックセンサー また、レギュラー仕様でもターボチャージャーやスーパーチャージャーを装着しているエンジンにおいて、高回転運転を続け、エンジンの温度が高まった場合は、ノッキングが発生する可能性もある。こういった特殊な状況においては、ノッキング防止と言う点で効果は考えられるが、ノックセンサーが装備されているエンジンは多い[注 2]。一部のレギュラー仕様エンジンは、燃料のオクタン価の違いを判断し、自動的に点火時期をハイオク仕様に進角する物もあるので[注 3]、この場合は「若干の出力の向上が見込める」と期待する人もいる。 「ハイオクガソリンに含まれている添加剤によってエンジン内部や燃料系統の清浄効果が得られる」という説があるが、実際の効果は車種等によって大きく異なっており、すべての車種に対して宣伝通りの効果が得ることができるとは限らない(そもそもレギュラーガソリンでもハイオクガソリンほどではないものの清浄剤は含まれている)。 点火時期が狂っていたり、燃焼室内部にカーボンが溜まっているなど圧縮比が高くなりノッキングを起こしている場合、ハイオクガソリンを使用することによってノッキングを防げるケースはあるが、点火時期を直したりカーボンをすべて排除するなどの機能はない。内部の清浄化目的でハイオクガソリンを入れるよりは濃度の面でも別途清浄剤を添加する方が効率的であるし、燃焼状態に影響が出るほど圧縮比が高まるぐらいにカーボンの堆積が重度である場合は分解清掃する方が何より確実である。 なお、かつてはハイオクとは有鉛プレミアムガソリンのことを指していたため、1985年頃までのレギュラーガソリン仕様車には「ハイオク(プレミアム)ガソリンは使用しないこと」と書かれている場合が多いが、現在のハイオクガソリンは無鉛ガソリンであり、これらの車に現在のハイオクガソリンを給油してもまず問題はない。 前項とは逆に、ハイオクガソリン仕様車にレギュラーガソリンを入れた場合は、出力と燃費が確実に悪化するなど、様々な問題が発生する。車種にもよるが、出力は実測で5?30%ほどの低下が見られる。また上記の通りノッキングが発生する可能性があるため、場合によっては、深刻な故障の原因にもなり得る。ただし、大半の輸入車も含めた市版車のエンジンは、緊急時におけるレギュラーガソリンの一時的な使用を想定しており、その場合は即故障にまでは至らないと考えてよい。この場合は、エンジンコントロールユニット(ECU)にレギュラーガソリンを入れた時のプログラムが入力されており、レギュラーガソリンなど低オクタン価のガソリンを入れた際には、自動的にそのプログラムが作動する仕組みとなっている。ただし「レギュラーガソリンで走れる」といってもそれは緊急時(何らかの理由によりレギュラーガソリンしか入手できない事態など)の場合であり、改めて指定ガソリンを入手すべく自走可能にするための応急措置である[注 4]。 ただし、一部の車種は“ハイオクガソリン専用”を謳うエンジンが存在するため[注 5]、注意が必要である。このようなエンジンの場合、エンジンの損傷や車両火災と言ったトラブルに直結するため、ハイオク仕様の車両にレギュラーガソリンを使用することは極めて危険な行為である。 ハイオク仕様・ハイオク指定・ハイオク専用などいろいろあるが、レギュラーガソリン可のハイオク仕様エンジンだとしても、長期的に見ればノッキングによって故障が生じる恐れがあるため、ハイオク指定車種では、レギュラーガソリンを常用(継続使用)すべきではない。レギュラーガソリンの常用によりエンジンに不調をきたした場合、保証対象外になりうる[注 6]。これらは車両の取扱説明書に明記されており、ユーザーはそれに従うことが望ましい。 近年ノックセンサーなどが発達し、燃料の噴射や点火のタイミングをずらすなどの補正が行われ、ノッキングが生じにくくなってはいるが、古い車種ではノックセンサーで補正しきれずアイドル不安定・エンストなどの事例も報告されている。また、レギュラーガソリンを入れた場合、ノッキングの発生などによるエンジンの過剰な加熱による破損を防ぐために、燃料を増量させ、ピストンを加熱させないプログラムへと変更される。燃費が悪化する理由はこのためである。これらのことを勘案すると、レギュラーガソリン仕様車でも、ハイオクガソリン仕様車でも、自動車メーカーが指定していないガソリンを使用するメリットは乏しい。
1 生産法
1.1 接触改質装置
1.2 接触分解装置
2 使用する自動車について
2.1 各車種との組み合わせ
2.1.1 レギュラーガソリン仕様車にハイオクを入れた場合
2.1.2 ハイオク(プレミアムガソリン)仕様車にレギュラーガソリンを入れた場合
2.1.3 オートバイの場合
2.1.4 その他
3 ヨーロッパ規格のプレミアムガソリン
4 アメリカ合衆国のハイオクガソリン
5 日本工業規格のハイオクガソリン
5.1 規格
5.2 商品としての位置付け
5.3 その他注意点
5.4 日本国内の主な元売各社のハイオクガソリンの商品名
6 脚注
6.1 注釈
6.2 出典
7 関連項目
生産法
接触改質装置
接触分解装置
使用する自動車について
各車種との組み合わせ
レギュラーガソリン仕様車にハイオクを入れた場合
ハイオク(プレミアムガソリン)仕様車にレギュラーガソリンを入れた場合
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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