ハイイログマとホッキョクグマの雑種
[Wikipedia|▼Menu]

ハイイログマとホッキョクグマの雑種
Polar/brown bear hybrid at Osnabruck Zoo
分類

ドメイン:真核生物 Eukaryota
:動物界 Animalia
:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
:哺乳綱 Mammalia
:食肉目 Carnivora
:クマ科 Ursidae
:クマ属 Ursus
:ホッキョクグマ U. maritimus x ヒグマ U. arctos
亜種:ハイイログマ U. a. horribilis x ホッキョクグマ U. maritimus

学名
Ursus maritimus
Phipps, 1774
x
Ursus arctos horribilis
Ord, 1815
和名
ピズリーベア
グローラーベア
英名
grolar bear
pizzly bear
zebra bear
grizzlar,
nanulak

Grizzly bear x Polar bear
生息域

ハイイログマとホッキョクグマの雑種は、自然界に生息するクマ科雑種動物である。2006年、カナダ北極圏で発見された奇妙な外見のクマのDNA鑑定によって、この雑種が自然界に見られることが裏付けられた[1]。それより以前にもこの雑種は動物園で生まれていたが、自然界においては存在しない生物ではないかと考えられていた。 ホッキョクグマとヒグマの交雑種(ロスチャイルド動物学博物館
自然界における出現

上記のDNA鑑定により確定した一件の例とその他のそれらしき目撃例から[2]、動物学者たちは野生の交雑種がいかにして誕生したのかについて仮説を立てた。2つの種は遺伝的に近く縄張りも共有しているが、お互いを避ける傾向がある。またお互いに占める生態的地位も異なる。グリズリー(また他のアラスカに生息するアラスカアカヒグマなどは全てヒグマ Ursus arctos の一種)は陸上で生活、繁殖する傾向がある。一方、ホッキョクグマは水中や氷上で生活し、繁殖も氷上で行う。一説によれば地球温暖化により氷が薄くなり、ホッキョクグマが彼らのもとの生息域で狩りをすることができなくなったのではないかと言われている[3]。彼らが内陸に入り込んできたために、雑種の生まれる頻度が高くなったのである。1864年に発見されたクリーム色の巨大グマ、マクファーレンズ・ベア(英語版)の標本が示すように、ハイイログマとホッキョクグマの雑種は今までにも時折出現していたようである。
2006年の発見

2006年4月16日アイダホ州からやってきたハンターのジム・マーテル (Jim Martell) は北米カナダバンクス諸島のサックスハーバー (Sachs Harbour) でハイイログマとホッキョクグマの雑種を狙撃した[1]。マーテルは5万ドルを支払い正式な許可証を持ってホッキョクグマの狩りをしているところであり、その動物についてもホッキョクグマのつもりで射殺したのだった。この生物はホッキョクグマに特徴的な白っぽいクリーム色の薄い毛皮と長い、丸く盛り上がった背中と彫りの浅い顔をもちながら、眼の周り、背中と足にはハイイログマの毛色である茶色い斑紋が見られ、当局は関心をもった。もしこのクマがグリズリーであると判断されれば、マーテルは1000カナダドルの罰金と1年の懲役を科せられるところであった[4]

DNA鑑定はブリティッシュコロンビア州の Wildlife Genetic International で行われ、鑑定の結果これはホッキョクグマの母とハイイログマの父の雑種であると認められた[1]。この交雑は生物学的に可能であり動物園では過去にも生まれていたが、野生で確認されたのはこれが初めてであった[5]

議論のさ中、このクマはマーテルに返還された[6][7]
この雑種の名前クマ科の異なる種間での交雑の可否。上もしくは左から順に A. melanoleuca ジャイアントパンダ、H. malayanus マレーグマ、M. ursinus ナマケグマ、T. ornatus メガネグマ、U. arctos ヒグマ、U. thibetanus ツキノワグマ、U. americanus アメリカグマ、U. maritimus ホッキョクグマ


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:20 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef