ノトテニア亜目
コオリウオ科の1種 Channichthyidae sp.
分類
ノトテニア亜目(学名:Notothenioidei)は、スズキ目に所属する魚類の分類群の一つ。英語での発音に近いノトセニア亜目と表記されることもある。8科44属で構成され、日本で輸入食用魚として知られるマジェランアイナメ(メロ)・ライギョダマシなど125種が記載される[1]。寒冷な海での生活に適応した一群で、南極海とその周辺海域に分布する種類が多い。 ノトテニア亜目魚類のほとんどは、南極海とその周囲の寒冷な海域に分布する[1]。主に南極大陸周辺の海底付近で生活し、この領域に分布する沿岸性魚類の大半が本亜目の仲間で占められる[1]。ノトテニア亜目の仲間は底生生活に適応し浮き袋をもたないが、一部の種類は浮力を得る手段を身につけ、中層を遊泳して生活する[1]。北太平洋・北大西洋の冷たい海に分布する底生魚の一群であるゲンゲ亜目(スズキ目)と形態学的共通点を有するほか、ワニギス亜目とも近縁なグループと考えられている。 極寒の海で生活する本亜目の魚類(特にコオリウオ科)の中には、血液中に不凍タンパク質と呼ばれる糖タンパク質を蓄えることで凝固点を下げ、氷点下の海水中でも生存可能となっているものがいる[1]。これらの種類の多くは腎臓の糸球体を欠き、また血液中の赤血球やヘモグロビンをもたないこともある[1]。 鼻孔は左右に1対あり、1つしかもたないゲンゲ亜目との明瞭な鑑別点となっている[1]。側線は通常2あるいは3本だが、ボウィクテュス科では1本である[1]。浮き袋をもたない[1]。 背鰭の棘条は滑らかであることが多い[1]。腹鰭は喉の位置にあり、多くのスズキ目魚類と同様に1本の棘条と5本以下の軟条で構成される[1]。胸鰭の支持骨は3個で、4番目の支持骨はボウィクテュス科の仔魚のみに存在し、発生過程で肩甲骨に吸収される[2]。尾鰭の主鰭条はたいてい15本以下だが、最大で19本になる種類がある[1]。 肋骨の発達が非常に悪く、浮遊性あるいは完全に欠く場合がある[1]。口蓋骨の歯を欠き、ボウィクテュス科は鋤骨の歯ももたない[1]。 ノトテニア亜目にはNelson(2006)の体系において8科44属125種が認められている[1]。かつては5科のみの構成であったが、プセウダフィリティス科・ロバロ科・アルテディドラコ科の3科が新たに独立の科として扱われるようになった[1]。本亜目内におけるそれぞれの科の系統順位は、広く受け入れられたものと考えられている[1]。 ボウィクテュス科 プセウダフィリティス科 Pseudaphritidae ロバロ科 Eleginopidae ノトテニア科
分布・生態
形態
分類
ボウィクテュス科ボウィクテュス科の1種(Cottoperca gobio)
Bovichtus 属
Cottoperca 属
Halaphritis 属
プセウダフィリティス科
Pseudaphritis 属
ロバロ科
Eleginops 属
ノトテニア科マジェランアイナメ Dissostichus eleginoides (ノトテニア科)。「メロ」とも呼ばれ、輸入食用魚として日本での需要が高いライギョダマシ Dissostichus mawsoni (ノトテニア科)。南極海の中層を遊泳して生活する大型種ノトテニア科の1種(Trematomus bernacchii)
体は鱗で覆われる。背鰭は2つで、第1背鰭は3-11本の棘条のみで構成される。側線は1-3本。 ハルパギフェル科
Aethotaxis 属
Cryothenia 属
Dissostichus 属
Gabionotothen 属
Gvozdarus 属
Lepidonotothen 属
Notothenia 属
Pagothenia 属
Paranotothenia 属
Patagonotothen 属
Pleuragramma 属
Trematomus 属
ハルパギフェル科