ネーミングライツ
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2003年日本公共施設として初めて本格導入した東京スタジアム味の素スタジアム)

命名権(めいめいけん)は、人間や事物、施設キャラクターなどに対して命名することができる権利である。1990年代後半以降、スポーツ文化施設等の名称に企業名を付けることがビジネスとして確立した。ネーミング・ライツ(英語:Naming Rights)とも呼ばれる。科学の世界においても、新発見の元素天体に対して発見者が、生物学名は記載者が、それぞれ命名権を持つ慣習がある。

狭義としては単体で命名権を購入して行使したものを「命名権」と呼び、不動産などと共に購入した命名権は含まない。
人の命名権

世界の多くの地域では、または親から委託を受けた者が新生児命名している。
日本の人名.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

中世以降、日本ではその人の成長や変化に従い改名襲名する慣習があり、命名権について本人固有のものとする一般観念があった[1]。その後、明治維新を経て、居住移転の自由職業選択の自由に伴う社会の流動化と戸籍制度の確立と共に、個人の特定のための氏名の固定化が進み、同時に子に対する命名権が親固有の専権のような理解となっていった[2]

命名に関する現行制度として、戸籍法第50条第1項の「子の名には、常用平易な文字を用いなければならない。」等の規定はあるが、民法家族法)には関連する明文規定がなく、命名権が誰にあるか、その法的根拠はどこにあるかは明確ではない[3]

命名権が誰にあるかの学説判例については、次のように体系化される[4]
命名権親権者固有説
子(命名される者)の命名権は親権者の親権の1つ(身上監護権)とする立場[5][6]。多くの学説と判例はこの立場を取る[5]
命名権子固有説(事務管理的代行説)
子の命名権は子本人の人格権の1つであるが、子は出生時に権利行使できないので、親権者がその子のために事務管理的に代行するという立場[7]
命名権子固有説(親権者代行説)
子の命名権は子本人の人格権の1つであるが、子は出生時に権利行使できないので、親権に基づき親権者が代行するという立場[7]

ただし、上記のいずれの立場を取るとしても、社会通念に照らして明らかに不適切な名や、名の持つ本来の機能を著しく損なう名を命名することは命名権の濫用として、戸籍事務管掌者(市町村長)は出生届の受理を許否することが許されるとされる[8]。「悪魔ちゃん命名騒動」を参照

また、棄児については、戸籍法第57条第2項において、市町村長がその棄児に対し氏名を付けなければならないとされている[9]
科学分野での命名権

元素については、名称が未確定な新元素はIUPACの命名法による元素の系統名で呼ばれる。IUPAC及びIUPAPによって発見が認定されると、発見者に命名権が発生し、IUPACによる承認を経て最終的に名称が確定する。

天体については、小惑星についてのみ発見者に命名提案権が与えられており、IAUの小天体命名委員会による審査を経て命名される(小惑星#命名規則参照)。準惑星については命名規則は定められていないが、エリスの場合には発見者グループが提案した名称が採用されている。

生物学名は、記載者が命名権を持つ(学名#命名参照)。
スポーツ、文化分野での命名権

従来から、スポーツ大会などにスポンサーの名称を冠する形での命名権ビジネスは存在していたが、1990年代後半頃から、アメリカにおいてスポーツ施設等の名称に企業名を付けるビジネスが広がった。まず、メジャーリーグでクラシカルな新球場が多く建設されたとき、その名称に企業名が命名され始め、高い費用対効果が認められたことから、他のスポーツ種目やヨーロッパのスポーツ界へと広がっていった。

日本においては、2000年代前半から赤字の公共施設の管理運営費を埋め合わせる手段のひとつとして導入され、その範囲はスポーツ施設や文化施設、路面電車の停留所、公園のトイレ、橋梁、桟橋など多方面に及んでいる[10]。ちなみに地方自治法において命名権売却は「公有財産の処分」にあたらないため、各自治体の議会での議決は必要ない[11]

施設等の管理者にとっては、命名権を販売することにより収入が得られるメリットがあり、命名権を購入する企業にとっては、スポーツ中継やニュースなどで命名した名称が露出する機会を得られ、宣伝効果が見込まれる。

なお、命名権に限らず、一般的にイベント主管団体の規定(オリンピックやFIFAワールドカップ等の大会)により商標が使用できない場合がある。この場合、命名権に商標を導入している施設については施設名に商標の入っていない正式名称を使用することが義務付けられる。正式名称そのものに商標が含まれているケース等では、別称を付けて対応することとなる。

大会やリーグの冠スポンサーと命名権を取得した業者が競合する場合、主催者側では命名権名称を使用せず正式名称で案内することがある。

NHK放送法第83条により広告放送が禁止されていることを踏まえ、取材・政策の基本姿勢を示した『NHK放送ガイドライン』において企業名の取り扱いについて「本質的に必要なのか、その他の表現に置き換えることは出来ないのか」等の観点から判断しており、(施設)命名権に基づく名称については『施設の名称である以上、放送に使用することはやむをえないが、名前の一部に企業名などが含まれているため、ニュースや番組の中では繰り返しを避けて、抑制的に名称を用いる」とした上で、「企業名などを除いた施設名が定着している場合には、企業名などを除いた名称を使うこともある」としている[12]。独自に名称の差し替えを行っている例としては大相撲中継のケースがあり、本場所の会場で命名権が導入されている大阪府立体育会館(春場所、2013年から)と愛知県体育館(名古屋場所、2018年から)の名称を、主催者(日本相撲協会)が使用(併記)している命名権名称ではなく、従来からの「大阪府立体育会館」「愛知県体育館」の正式名称で表記している[注釈 1]。ただし、大相撲以外の他の競技やイベントをNHKがこの2会場から中継する場合(B.LEAGUEにおける大阪エヴェッサおよび名古屋ダイヤモンドドルフィンズのホームゲームや、音楽ライブなど)は、他の命名権導入会場からの同種の競技・イベントの中継と扱いを合わせて「抑制的に名称を用いる」基準で命名権名称を使用する場合もある。


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