ネイト
Neith
戦いの女神 知恵の女神
頭の上に軍神の象徴である交差した矢と盾をのせ、手にはアンクとウアス杖を持っている
ヒエログリフ表記
ネイト
ヒエログリフで表示
信仰の中心地サイス, エスナ
配偶神クヌム
子供セベク, ラー, アペプ
ネイト(Neith, Ni, Ne, Neit)は、エジプト神話の戦いの女神。目次 ナイル川三角州西部にあるサイスの守護神として祀られておりエジプト第1王朝のころから信仰されていた[1]。古代エジプト人は、サイスをザウ(Zau)と呼んでいた。 また古代エジプト南部の町タ=セネト(Ta-senet)または、イウニト(Iunyt)の3柱の守護神の1つでもある。この町は今は、エスナ(アラビア語: ????)と呼ばれている。他にもラトポリス(Λατ?πολι?)、ポリス・ラトン(π?λι? Λ?των)、ラトン (Λ?ττων)、ラト(Lato)と呼ばれており、ルクソールからナイル川を上流に55キロメートルほど遡った西岸にある。 ネイトは、戦いと狩猟の女神であり、軍神として戦士の武器を作り、戦士が死んだ時、その遺体を守るとされていた。 ネイトという名前は、「水」を意味すると見られている。このためネイトをエジプト創世神話の原初の水を擬人化したものと見做す場合、創世の大いなる母神とされる。 絵や彫刻では、頭に織り手の杼を載せ、手に弓と矢を持った姿で描かれることがある。他には、ライオンの頭を持つ姿、ヘビ、牝牛などの姿で描かれることもある。 ネイトは、赤ん坊のワニに授乳する女性として描かれることもあり「ワニの乳母」とも称される。またオグドアドの創世神話における原初の水の概念を人格化した神としては、ネイトには性別がなかった。さらにラーの母として描かれることもあり「ラーを生み出した偉大な牝牛」とも呼ばれる。 ネイトの象徴として交差した2本の矢と盾を重ねたものがある。またこの象徴は、サイスの町も表している[2]。ネイトの姿を描く際、エジプトでは、その頭の上にこの象徴を載せた。 このネイトの象徴とその名をヒエログリフで表した時の一部が織機に似ていることから機織りの女神ともされた。その場合の名が "Neith" すなわち「織り手」を意味するようになった。それによって水神であることを基本とした創造神だったものが織機で世界とそこに存在するもの全てを織り上げる神へと性質が変化した。 サイスのネイト神殿では、「矢を射る者」、「道を切り開く者」として戦勝祈願がなされた。また同じ肩書きを持つウプウアウトと共に戦場に出ると信仰された。 織り手と家事の女神としてのネイトは、女性と結婚の守護神とされたため王家の女性は、ネイトに敬意を表してネイトにちなんだ名を名乗った。 軍神でもあるため死との関連も強く、ミイラを覆う包帯や屍衣 水神と見なされた場合、ナイル川を司るクヌムの妻、クロコダイルの姿のセベクの母と見なされることもありナイル川の水源とも結び付けられた[3]。ナイルパーチとも結び付けられ、その信仰の中心地では、3柱の守護神(クヌム、ネイト、彼らの子であるHak)の1柱とされている。 オグドアド神話においてネイトは、ラーとアペプの母とされた。創造と機織りの女神としてネイトは、毎日世界を織機で織り直しているとされる。エスナにあるネイトの神殿の内壁には、ネイトがヌンの原初の水域から最初の大地を作り出したことが記録されている。ネイトが考えて生み出したものには、30柱の神々も含まれる。夫とされる神は、知られていないためネイトは、「処女の地母神」とされてきた。 「神秘的で偉大な唯一の女神。はじまりをもたらし、すべてをそうあるようにした。……水平線に輝くラーの神聖な母……[4]」 プロクロス(412年-485年)は、サイスの現存しないネイトの神殿の至聖所に次の碑文が刻まれていたと記している。 「私はかつてあり、今もあり、これからもある全てである。
1 概要
2 象徴
3 信仰
4 神話
5 習合関係
6 脚注・出典
7 関連項目
概要
象徴
信仰
神話 下エジプトの王冠であるデシュレトを被ったネイト像。デシュレトにはウアジェトのコブラ(蛇形記章)が付いている。