ニーベルングの指環_(漫画)
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この項目では、松本零士の漫画について説明しています。その他の漫画については「ニーベルングの指環#関連作品」をご覧ください。

『ニーベルングの指環』(ニーベルングのゆびわ)は、松本零士による日本漫画リヒャルト・ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』をモチーフにした作品。本項では、これを原作としたOVA作品『ハーロック・サーガ ニーベルングの指環』についても記述している。
概要

若き頃よりワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』の漫画化を構想していた松本がキャプテンハーロックを中心に換骨奪胎して描いた作品である。当初は新潮社の雑誌『中古車ファン』の1990年10月10日号から1991年11月25日号にかけて連載が行われたが、休刊により第一部で終了となる。第一部では掲載誌に合わせトチローが移動に使用する車が宇宙空間でも走ることが出来るベンツ190SLであるなど、かつての名車が登場している。

その後新潮社のWEBマガジン『Web新潮』1997年4月号より連載を再開するも第四部の途中で連載が途絶えており、単行本も第三部の刊行で止まっている。Webでの連載に移行してからはPCモニタでの見栄えを重視した構成となり、単行本で見るとほとんどのページが上下半分に分かれたコマ割りとなっていた。

また当時としては珍しいWeb連載形式を生かす試みとして、読者からの感想や(キャラクターへの)応援メールを「20世紀末から届いたクリスマスプレゼント」と称して第3部『ジークフリート』本編で2000年のクリスマスに一斉公開し、ハーロック・トチロー少年や幼いメーテル・エメラルダス姉妹を喜ばせるキャンペーンもあった。
物語
第一部
ラインの黄金
手にした者は全宇宙を支配できるという指輪、その材料となる惑星ラインの黄金がニーベルングの首領アルベリッヒに奪われてしまう。黄金の指輪を手にしたアルベリッヒは支配者ヴォータンの治めるワルハラへの侵攻を開始、一方神話の時代に起きたことが再び始まるというミーメの警告に従いハーロックとトチローもアルカディア号でワルハラへ向かう。
第二部 ワルキューレ
時間を超越する力を持つヴォータンは、ワルハラを襲う前の時代でハーロックとトチローを抹殺するため自らの娘であるワルキューレの9人姉妹を送り込む。時は戻り西暦2964年。地球は第一次星間大戦に敗北し、ヴォータンに支配される暗黒の時代。グレート・ハーロックとドクター大山、そしてその一党は密かに建造したデスシャドウ1号艦で地球を飛び立つ。デスシャドウ1号艦で惑星メタブラディに降り立ったグレート・ハーロックとドクター大山は、自らの命を狙うメタノイドの女戦士ヘルマザリア、ワルキューレの長女ブリュンヒルデと酒を酌み交わす。一方謎の宇宙船を見つけたハーロックとトチローはその中に招かれる。そこにはその宇宙船クイーン・エメラルダス号に導かれて来た999号に乗って旅する姉妹エメラルダスとメーテルがいた。
第三部 ジークフリート
ヴォータンによりクリスタルの棺に封じ込められたワルキューレを助けるため惑星ラインに向かうデスシャドウ号、そこにはヴォータンの手の者が待ち構えていた。巨大戦闘艦「火龍」及び「無の宇宙」より訪れたハーゲンを退けたデスシャドウ号であったが艦内の物理法則が崩壊し艦体全体が凍り付く危機を迎えるもののブリュンヒルデの命をかけた行動により危機を脱する。その後暗黒女王の侵略にいち早く気づき、この宇宙(有の宇宙)全体と息子達の未来を守るためにファンタズマ艦隊と刺し違え、グレートハーロックとドクター大山は伝説となる。
第四部 神々の黄昏
海賊島に遺されたハーロックとトチローは更なる力(アルカディア号)を求め、かつて父が地球に遺した短剣[注釈 1]を得るためにデスシャドウ2号艦を急造する。閉鎖された地球の総督府、ハーロックとトチローはついに短剣を発見し、アルカディア号建造の為の大きな一歩を踏み出した。所変わって舞台はワルハラ、グレートハーロックに利用された惑星ラインの偉大な力とオルガンが気に入らず、アルベリッヒを差し向け惑星ごと破壊を試みるが、アルカディア号を建造し、経験を積んだ若きハーロックとトチローの前にアルベリッヒは完膚なきまでに打ちのめされる。更に2度にわたって「ラインの黄金」を狙ったことでラインの乙女達の怒りによってアルベリッヒは完全に息の根を止められる。自身の使える駒の多くを失ったヴォータンは最後の手段として嫌われ者のクリームヒルトをワルハラへ呼び寄せる。以降は連載中断の為に未公開であり、2010年をもって公開サイトであった『Web新潮』もサービスを終了したために、現在第四部を閲覧する術は存在しない(松本が2023年に没し、後を継ぐという作家の名乗りも見られない)。
登場人物

声はOVA版。
ハーロック
声:山寺宏一
トチロー
声:山寺宏一本作でもすでに病に犯されている。アルカディア号の中にある四畳半ほどの私設研究室兼個室を拠点としている。
ヤッタラン副長
声:千葉繁親子二代にわたってアルカディアの副長を務める男。容姿は短足かつ肥満体ではあるが少年時代より波動砲のミニチュア製造を行うなど有能な面も描写されている。成長したその容姿は父親である「オールド・ヤッタラン」と瓜二つである。
メーテル
声:池田昌子999号で宇宙を巡る黒い服を着た女性。台場正に「黄金」の加工を依頼する人物に気を付けるように忠告する。幼少期では惑星メタブラディの「ホテル・メタブラディ」内でヘルマザリアに姉のエメラルダス共々見込まれ伝説の船の眠る谷を教えられる。そこで眠る船の下でハーロックとトチロー少年と邂逅する。
エメラルダス
声:勝生真沙子宇宙に名をとどろかす自由交易人にして女海賊。『ラインの黄金』時点ではクイーンエメラルダス号ではなくトチローが設計した大帆船で宇宙を駆ける。幼少期は妹のメーテルと共に999号に乗って宇宙をさすらう少女であり、メタブラディの一件以降、クイーンエメラルダス号に真の主として認められる。
台場正
声:関俊彦宇宙に名高い機械工。その技術は亡き父から受け継いだものであり、アルベリッヒに命令されて黄金の指環を作成することとなる。
台場工場長
正の父。グレートハーロックやハーロックと共に宇宙を旅しておりNo.0の戦士の銃を愛用。ミーメを救いハーロック一党に迎えたのも彼である。
グレートハーロック
ハーロックの父。デスシャドウ号で地球から旅立つ。ジークフリートの再来と言われる。
ドクター大山
トチローの父。グレートハーロック共に地球を旅立つ。
ニーベルング族

神々に匹敵する知識と技術力を有していたが生存競争に敗れ、神々によって生存圏ごとブラックホールに投げ込まれ根絶やしにされた一族。
ミーメ
声:
弥永和子ニーベルング族の娘、悠久の時を生きており北欧神話に登場するミーメその人。
アルベリッヒ
声:安原義人ミーメの兄、ニーベルング族はこの兄妹が最後の生き残りである。ヴォータンの走狗であったが黄金の指環を手にし反旗を翻す。
ワルハラの神々

重力オルガンの力を「ラインの黄金」にぶつけ、その反響による揺らぎを用いて自身の体の老化を抑え悠久ともいえる時を生きてきた一族。
ヴォータン
声:石田太郎北欧神話のオーディンその人。宇宙の全てを治めるものと自称する。
フライア
声:篠原恵美ミーメと並ぶ重力オルガンの演奏者。彼女に触れたいとするファゾルト兄弟の求めに応じたヴォータンにより二人の前に「報酬」として差し出される。
フリッカ
声:上田みゆきヴォータンの正妻でフライアの姉の美の女神。巨人族の見た目の醜悪さからフライアを差し出す契約を反故にするようにヴォータンに働きかけた張本人。ブリュンヒルデのことは女神としては一目置いているが、自身にとっては妾の娘であるため内心は良く思っていない。
ブリュンヒルデ
ヴォータンと知の女神エルダの娘でワルキューレの長女。母親譲りの聡明さと勇猛を兼ね備えた偉大な戦乙女。グレートハーロックたちとの交流によって自身の真に進むべき道を悟り、ハーゲンの影響で「無限零度[注釈 2]」に陥ったデスシャドウ1号艦を、自身が煌々と燃え盛る「焔」となることで救い消滅する。
エルダ
声:K'[1]ヴォータンの愛人である知の女神。聡明かつ思慮深い女性でハーロック達を「勇者」と認めヴォータンに対し常に忠告と内省を訴えるものの聞き届けられず、近く「神々の黄昏」があることを予感している。第四部『神々の黄昏』では最悪の状況に直面してなおクリームヒルトを召喚するという悪手を指そうとするヴォータンの前に「喪服[注釈 3]」で現れ、神々との決別を表してワルハラから立ち退く。
ローゲ
アルベリッヒの忠実な下僕と自称する火の神。高い技術的視点を有しアルベリッヒの参謀・相談役として登場するものの、ニーベルング族に対しては内心「奴隷」と思っているようで無意識のうちに侮蔑的な言葉が口に出る。第二部以降作中に登場せずその後の様子や生死不明。
その他の重要人物
ファゾルト・
ファフナー兄弟
声:子安武人三木眞一郎ヴォータンとの契約によりワルハラを守護する巨大要塞を建造する偉大なマイスター、その技術力の高さは『ラインの黄金』時点の齢を重ねたトチローも心からの賞賛を送るものである。醜悪な見た目とは裏腹に誠実で実直な人柄の兄弟であり、お互いにフライアのことを心から愛しているが巨人族であるため決して交われないことも理解している。
ヘルマザリア
第二部『ワルキューレ』で登場。『銀河鉄道999』エターナル編で登場したメタノイドの百人隊長かつ地獄の聖母騎士。人もメタノイドも分け隔てなく勇敢な者を称え、愚者には鉄槌を下す公正な騎士。幼いメーテルとエメラルダスの勇敢さと優しさを称えメタブラディに眠る「伝説の船」の在処を教える。
ハーゲン
第三部『ジークフリート』にて、本作ではアルベリッヒとクリームヒルトの息子として登場する。こちら側の宇宙を裏切って暗黒女王の走狗として暗躍することからグレートハーロック・ワルキューレ・ワルハラのいずれの勢力からも「卑怯な愚か者」の烙印を押された男。ブリュンヒルデになりすまし、グレートハーロックとドクター大山を騙し討ちして暗殺しようとするも、即座に二人に見抜かれておめおめと正体を露見させられる。本人が知らない内にヴォータンによって脳内に反陽子爆弾が仕込まれており、デスシャドウを暗黒爆発で消滅させようとして乗り込んだ直後、ヴォータンの手によって無線操作で反陽子爆弾も起爆。


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