ニンテンドウパワー
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この項目では、日本で実施されていたゲームソフトの書き換え販売サービスについて説明しています。アメリカ及びカナダで発行されていたゲーム雑誌については「en:Nintendo Power」をご覧ください。

ニンテンドウパワー
運営元任天堂
ローソン(2002年8月31日まで)
種類ゲームソフトの書き換え販売
サービス開始日1997年9月30日
サービス終了日2007年2月28日
プラットフォームスーパーファミコン
ゲームボーイ
ウェブサイトNINTENDO POWER
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ニンテンドウパワー(NINTENDO POWER)は、1997年9月30日[1]から2007年2月28日まで日本国内のローソンおよび任天堂が実施したゲームソフトの書き換え販売サービスである。フラッシュメモリを搭載した書き換え専用カセットにスーパーファミコンゲームボーイのソフトを書き込んで販売した。

当初はローソン各店舗へ設置されたマルチメディア端末機Loppi(ロッピー)で供給されるサービスの1つとして運営された。しかし需要の低下から2002年8月31日にローソンでの書き換えサービスを終了し、同年9月1日からは各地の任天堂サービスセンターへ直接申し込む形式に変更された。
サービス開始の経緯

本サービスはLoppiの主要サービスとしてゲームソフトの店頭販売を求めたローソンと、NINTENDO64発売後のスーパーファミコンをゲーム入門機と位置づけ、再活性化と旧作ソフトの安価な再供給を狙う任天堂の思惑が一致し企画・開発された[2]

任天堂はニンテンドウパワー開始以前にも類似のサービスを実施していた。ファミリーコンピュータ ディスクシステムではディスクカードへのゲームデータ書き換え販売サービスを実施し、スーパーファミコン用周辺機器サテラビューを端末としたデータ放送ではフラッシュメモリを搭載した専用の記録媒体にゲームなど受信番組データを保存した。

本サービスの目的・利点は以下の通り[3]
中古ゲームソフト販売問題の解決
当時は中古ゲームソフトの販売が一部のメーカーから問題視され始めた時期であり、メーカーは中古ソフトの販売により新品ソフトの販売利益が侵害されると主張した。しかし中古販売が禁止されることにより、消費者は過去に発売されたゲームソフトの購入が困難となる可能性があった。このサービスはメーカーに利益が渡り在庫を確保する必要のないデータ販売形式を用い、双方の利害を調整する目的のために始められた。
任天堂の利点
売り切れや在庫の心配、説明書やパッケージを製造する必要もなく、さらに問屋を介さず流通コストの低いデータ書き換えによる販売形式により、従来より手軽かつ安価にゲームを供給できる。当時1,700万台普及したスーパーファミコン市場の維持と再活性化、新しい流通形態の模索・実証を図る。
サービスの展開

スーパーファミコン用ソフトの書き換えは1997年9月30日からローソン各店でLoppi導入とともに順次開始された。ローソン以外にはスーパーマーケットのダイエー[4]、ゲームソフト販売チェーン店ブルートわんぱくこぞうの一部店舗にて試験サービスも提供されたものの、本格導入には至らなかった。
ローソン店頭サービスの利用方法Loppi端末に設けられていたカセットスロット

ローソン店内で購入、または持ち込みした書き換え専用カセットをローソン店内のLoppiへ用意されたスロットへ差し込み、書き込みたいゲームをLoppiの画面で選択する。この際書き換えカセットの空き容量が足りない場合は消去してもよいゲームも選択する。その後ゲーム選択を終えたカセットとLoppiから発行された申し込み券を店内のレジへ持ち込み代金を支払うと、店員の操作によりカウンター内のゲームライターで書き込み作業が行われた。書き換え後には購入・消去したゲームソフト名を印刷した伝票がカセットとともに渡された。
ゲームボーイサービスの開始

Loppiにはあらかじめゲームボーイカートリッジの挿入口が用意されており、ゲームボーイ用ソフトの書き換えは当初1999年11月1日から全店一斉に開始する予定だったが、同年9月に台湾にて発生した921大地震によりカートリッジの安定供給が困難となったため延期された。

書き換え開始直前の1999年10月にはゲームボーイソフトの書き換え開始を見込み、ローソンにて『スーパーマリオランド3 ワリオランド』をあらかじめ書き込んだプリライト版GBメモリカートリッジが予約販売された。しかし任天堂は予約開始後に店頭書き換えサービスの延期を決定し、予約者に対しては商品同封の文書で店頭サービスの延期を告知するとともに郵送による先行書き換えサービスを実施した。

その後2000年3月1日にローソン店頭でのゲームボーイソフト書き換えサービスが開始され、店頭では『スーパーマリオランド3 ワリオランド』のプリライト版GBメモリカートリッジが販売された。このプリライト版はサービス開始記念および延期のお詫びとして限定供給されたもので、通常品と同額で販売された。
ローソン店頭サービスの終了

書き換えサービスの利用方法やLoppiなどの機器操作が煩わしいこと、大多数の旧作ゲームはサービスを利用するよりも中古ソフトを購入したほうが安く済むため、本来の安価にゲームを供給する目的との矛盾が発生していたこと、さらに一般層へのPR不足、他社の次世代ゲーム機の台頭もあったことから、利用者は主に任天堂製のゲームやレトロゲームの愛好者、次世代機の購入が遅れた人々に限られた。

年月の経過に伴い新しいゲームソフトの供給も減少し、スーパーファミコン用新作ソフトは2000年12月の『メタルスレイダーグローリー ディレクターズカット』、ゲームボーイ用新作ソフトは2002年1月の『Loppiパズルマガジン ひらめくパズル第3号』が最後となった。

その後任天堂は2002年5月31日にローソン店頭サービスおよび書き換え専用カセット販売の終了を公表[5]、Loppiの画面上や店頭配布のカタログ、任天堂のホームページにて終了告知がされた。そして2002年8月31日をもって店頭サービスは終了した[6]

店頭サービスの終了に至った理由は以下の通りである。

中古ゲームショップと大手ゲームソフトメーカー間で争われていた裁判の判決にてゲームソフトの中古販売が合法と認められ、書き換えサービスの存在意義が薄くなったこと。

スーパーファミコン、ゲームボーイとも旧機種となり、今後の需要増加が見込めないと判断されたこと。サービスの終了を決定した時点ですでにゲームボーイアドバンスニンテンドーゲームキューブが発売されていた。

任天堂による書き換えサービス

ローソン店頭サービスが終了した翌日の2002年9月1日からはカセットの所有者へ向けた措置として、任天堂サービスセンターへ直接カセットを発送または持ち込みし、申し込む形式に変更された。代金の支払方法は合計金額により2つの方法に分かれた。税込999円以下の場合にはカセットとともに書き換え代金と同額の切手を同封し発送した。税込1,000円以上の場合には発送時に切手を同封する必要はなく、返送時にカセットが代金引換便として発送され、運送業者へ書き換え代金を支払った。ただし、切手による支払いは後に廃止され、代金引換のみへ一本化された。

この形式によりサービスは継続されたが、2007年2月初頭、任天堂ホームページ内のニンテンドウパワーのページにおいて終了の告知がされ、2月28日受付分をもってサービスは終了した[7]。任天堂は利用者へ送付した文書において、電子機器環境の変遷によりサービスの維持継続が困難となったことを説明した[8]
ハードウェア
書き換えサービスを構成する機器

Loppi以外の機器はすべて店員が操作した。店頭サービス終了後、ゲームライター、ゲームチェッカー、ゲームボーイコンバータはすべて任天堂により回収された。
Loppi
ローソン店内に設置されており、チケットやグッズの予約、各種代金支払い申込みなどができるマルチメディア端末機。ゲーム書き換えではカセットをLoppiの画面下に用意された差し込み口に接続し、購入または消去するゲームを選択する役割を担った。Loppiではゲームデータの書き換えを行わないため、選択終了後に発行されるレシート状の申込券をカセットとともにレジへ持ち込み、書き換え作業を済ませる必要があった。カセットには最大7作までのゲームを書き込むことができるが、伝票発行システムの都合上1回の操作で書き込めるゲームタイトルは5作までとされた。サービス終了後、既存店機のカセット差し込み口は撤去されずそのままにされた。一方、新規開店や故障交換などで新たに設置されたLoppiには差し込み口部分にカバーが施された。なお2009年以降は全店舗にて差し込み口のない新型Loppiに置き換えられた。
ゲームライター
カセットへのゲームデータ書き込み、消去を行う機器。サービス開始時には書き換え用ゲームデータがCD-ROMで供給され、ゲームライターの本体下部へ用意されたCD-ROMドライブに格納された。システム改修により店内へサーバが設けられた後にはCD-ROMの挿入・交換作業は不要となった。なお、CD-ROMには特殊プロテクトが施されているとされる。書き換え操作はPOSレジスターでの書き換え代金の精算が完了した後に可能となる。この後の店員の操作はカセットを差し込み開始スイッチを押すだけで、ゲームタイトルの選択などは必要としない。書き換えには3分ほどかかる。
ゲームチェッカー
書き換えが正常に行われたかを確認するための機器。スーパーファミコンとスーパーゲームボーイの機能を内蔵し、前面にゲーム画面を映し出すための液晶画面、底面にスピーカー、右側面にゲームボーイ用コネクタ、上面には電源やスーパーファミコンとゲームボーイの機能を切り替えるためのスイッチ類、操作ボタンとスーパーファミコン用のコネクタが付けられた。上部の操作ボタンは配置、配色ともスーパーファミコンコントローラと同一だが、X、Y、L、Rボタンは付いていない。
ゲームボーイコンバータ
GBメモリカートリッジをゲームライターに差し込むための機器。ゲームライターにはスーパーファミコン用のコネクタのみ用意されていたため、ゲームボーイの書き換えの際にはゲームボーイコンバータにGBメモリカートリッジを差し込み、さらにそれをゲームライターに差し込む必要があった。形状はスーパーゲームボーイに類似する。
プリンター
LoppiやPOSレジと連動して伝票やチケット類を印刷・発行する機器。ゲーム書き換えでは購入・消去したゲームタイトル、購入店舗などを記した利用者引き渡し用と店舗用の伝票が発行された。
カートリッジSFメモリカセット(左)とGBメモリカートリッジ(右)SFメモリカセットのパッケージ

スーパーファミコンソフトの書き換えサービスを利用するにはSFメモリカセット(エスエフ メモリカセット)が、ゲームボーイソフトの書き換えサービスを利用するにはGBメモリカートリッジ(ジービー メモリカートリッジ)が必要であった。SFメモリカセットは税抜3,980円、GBメモリカートリッジは税抜2,500円であり、これらの書き換え用カセットはローソン店内のレジカウンターで常時販売されたが、店頭書き換えサービス終了の2か月前となる2002年6月30日をもって販売を終了した[5]
特徴

形状は通常のスーパーファミコン用カセット、ゲームボーイ用カートリッジと同一で直接ゲーム機本体に差し込むことができる。いずれも識別のために外装プラスチックは白色に統一され、価格を抑えるため台湾にて製造された。ラベル部には番号付きのマス目が印刷されており、ここには同梱の手書き用タイトルラベルや、雑誌付録などで配布されたタイトルシールを貼ることができた。

内部にはゲームソフトの記録に使用されるフラッシュメモリと、ゲームの進行状況や得点などの情報を保存するためのバッテリーバックアップ機能に使用されるS-RAMコイン形リチウム電池が搭載された。

フラッシュメモリとS-RAMの容量はブロックと呼ばれる独特の単位で管理された。フラッシュメモリは「Fブロック」の名称で8単位に、S-RAMは「Bブロック」の名称で16単位に分割され、書き換えソフトが使用するデータ容量もすべてブロックの数で表現された。1つのカセットには最大で7つまでのゲームタイトルを記録することができた。

Fブロック×8
フラッシュメモリFFFFFFFF
Bブロック×16
バックアップS-RAMBBBBBBBBBBBBBBBB


SFメモリカセットには32Mビットのフラッシュメモリと、256kビットのS-RAMが搭載された。よって1ブロック当たりの容量はFブロックが4Mビット、Bブロックが16kビットである。

GBメモリカートリッジには8Mビットのフラッシュメモリと、1024kビットのS-RAMが搭載された。よって1ブロック当たりの容量はFブロックが1Mビット、Bブロックが64kビットである。

メニュー画面

電源投入時にはどのゲームで遊ぶかを選択するためのメニュー画面が表示される。ただしFブロックを8つすべて使用するソフトが書き込まれている場合メニュー画面は表示されず、すぐにゲームが開始される。

メニュー画面にはゲームの選択機能の他、各々のゲームが占有する容量や空き容量の確認機能、画面下部の文字スーパーによるメニューの操作方法、人気ゲームタイトルの紹介機能も用意された。このメニュー画面のプログラムはFブロックを1つ消費するため、1つのカセットに書き込めるゲームの最大数は7タイトルまでとされた。ゲーム中にリセット動作をしてもメニュー画面には戻らないため、他のゲームを選択する場合は一度本体の電源を切り、再度電源を入れてメニュー画面からゲームを再選択する。

ゲームボーイ版は、ゲームボーイもしくはゲームボーイカラーそれぞれで起動すると、メニュー画面表示が変化し、BGMも変化する。
プリライト版

あらかじめゲームデータを書き込んだ状態で販売されたSFメモリカセットやGBメモリカートリッジを「プリライト版」という。プリライト版はゲームボーイサービス開始時の『スーパーマリオランド3 ワリオランド』を除きLoppiでの限定予約販売形式が取られ、店頭カウンターでの販売はされなかった。遊び方シートより詳細な情報が掲載された説明書が同梱され、さらにゲームソフトによっては予約特典としてメモリカセット貼付用のタイトルシール、ポストカードなどのオリジナルグッズが付属し、店頭での書き換え開始日より数日早く受け取ることができた。箱は通常品と同一だが書き込み済みであることを示すタイトルシールが貼られた。

価格は店頭で新たにカセットやカートリッジを購入し書き換えをする場合よりもやや安く済むように設定された。ただし『ファイアーエムブレム トラキア776』はオリジナルカードをセットにしたプリライト版のほか、ぬいぐるみやVHSビデオなども追加した特別版「DXパック」が9,800円にて限定予約販売された。
ソフトウェア詳細は「ニンテンドウパワーのゲームタイトル一覧」を参照

販売されたソフトはサービス開始前にロムカセットで市販された「旧作ソフト」と、書き換えサービスのために供給された「新作ソフト」の2種が存在した。ラインナップに投入するソフトの選考や企画は任天堂とリクルートが共同で設立し、中小ゲームソフトメーカーへの開発販売支援を主業務としたマリーガルマネジメントが担当した。

旧作ソフトには多数の企業がゲームソフトを供給し、『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』『遊☆戯☆王』などの外部版権を題材としたキャラクターゲーム権利関係上の理由により、極小数ながら供給された。一方、特にRPGのヒット作を抱えるエニックスおよびスクウェアは参入せず、書き換えカセットの仕様上特殊チップを搭載したソフト、書き換えカセットを上回るデータ容量を持つソフトの投入はなされなかった。

新作ソフトにはこのサービスのために制作されたゲームに留まらず、『すってはっくん』や『SFC版ドクターマリオ』などのサテラビュー用放送番組として制作されたゲームの流用作品、『スーパーファミコンウォーズ』など、完成はしていたものの販売時期を逃しお蔵入りとなっていた作品、『スーパーパンチアウト!!』『スーパーマリオブラザーズデラックス』『バルーンファイトGB』などのように海外での発売に留まり、日本での発売が見送られていた作品もラインナップに加えられた。


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