ニューヨーク市の交通
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ニューヨーク市の交通(ニューヨークしのこうつう)ではアメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市における交通について説明する。
概説1807年のマンハッタン区におけるグリッドプラン

ニューヨーク市はアメリカ国内で最も人口の多い都市であり、世界最大の路線網を持つ地下鉄であるニューヨーク市地下鉄を筆頭にジョン・F・ケネディ国際空港ラガーディア空港ニューアーク・リバティー国際空港(ニュージャージー州に位置)、スチュワート国際空港といった大小様々な空港群、ニューヨーク市内5つの地区に張り巡らされた広大なバス路線網、ロープウェイ、市内を多数走る黄色い車体のタクシーイエローキャブ)など多くの交通機関が複雑に張り巡らされている。
歴史

ニューヨーク市における交通の歴史はオランダ植民地時代のニーウアムステルダムの港から始まった。港にはいくつかの道路が接続しており、そのうち周囲の都市との"通勤" (commuter) に使われる道路はピーター・ストイフェサントの命令により1658年までに舗装された道路もある[1]

第二次産業革命はニューヨークの交通機関の発展にも繋がった。1825年にエリー運河が開通するとニューヨークからヨーロッパへ向けての海運が盛んとなり、1867年から1904年にかけては高架鉄道 ('El trains') と地下鉄 ('subways') が建設され、1904年に地下鉄の初列車が運行された[2]。実用的な自家用車が登場し始めた1930年頃からは都市に新たな変化が訪れた。特に1927年に開通したニューヨーク市マンハッタン区ニュージャージー州ジャージーシティを結ぶホランド・トンネルにより交通機関の在り方は大きく変わることになった。人々の移動手段が鉄道などの公共交通機関から自動車へと移り変わる時代となり多数の道路やトンネル、橋が建設されるようになった。特に"マスタービルダー"ロバート・モーゼスが416マイル(約669 キロメートル)のパークウェイ、その他多数の主要道路、7つの大きな橋を建設しニューヨーク市の道路網の拡大に大きく貢献した[3]
公共交通機関と自動車2006年のニューヨーク市で通勤に公共交通機関を利用する労働者の割合とアメリカ国内主要都市における交通機関での移動時間の平均

ニューヨーク市は他のアメリカ国内の主要都市に比べて市民1人辺りの自動車所有台数が少なく公共交通機関が重要視されている。2006年のニューヨーク市における労働者が通勤に公共交通機関を使用する割合は54.2%と非常に高くなっている[4]。アメリカ国内にいる鉄道員の約3分の2はニューヨーク市とその周辺に住んでいるほどに公共交通機関の利用率が高くなっている[5]。このためニューヨーク市は市内全家庭のうち半数以上が自動車を所有していない唯一の都市となっている(マンハッタン区内の自動車非所有率は更に高く75%、全国的に見ると非所有率は8%である)[6]
環境・社会問題

先述の通りニューヨーク市は公共交通機関の利用率がずばぬけて高いためエネルギー効率が非常に良い都市の1つとなっている。今日のニューヨーク市におけるガソリン消費量は1920年代の全米平均とほぼ同じ数値となっている[7]。ニューヨーク市は公共交通機関の利用により2006年には約18億ドル分の石油を節約し、46億ドルのガソリンを節約している。この数値は全国で公共交通機関により節約された石油のうちの半分を占めている。

使用石油量の減少により、1年辺り約1,180万メトリックトンの二酸化炭素の排出を抑えることに成功している[8]。ニューヨーク市は市民1人辺りの二酸化炭素排出量が2005年においてアメリカ国内で4番目に低い都市とされ、これを上回るのはホノルルロサンゼルスポートランドの3都市のみとなっている[9]日曜午後、ニューヨーク市地下鉄F系統の列車に乗る人々

また、都市における環境がその場所に住む人々の通勤方法に差を作ることがわかった。コロンビア大学の科学者が市の5つの区域の大人13,102人から通勤方法を聴き、通勤方法と住民の居住区を調査するとニューヨークの建設環境と公衆衛生との相関関係を発見した。人口密度が高いが歩行者に優しい街作りが行われている地区に住むニューヨーカーは他の地区に住むニューヨーカーよりもボディマス指数 (BMI) が大幅に低く、同じく人口密度は高いが住居の他に商業店も位置し地下鉄駅やバス停が近い位置に住むニューヨーカーはBMIが高いことがわかった[10][11]
通勤利用ブルックリンスタテンアイランドを結ぶヴェラザノ=ナローズ・ブリッジ

ニューヨーク市で働く全ての労働者のうち、地下鉄を利用するのが41%、単独で自動車利用が24%、バス利用が12%、徒歩が10%、通勤電車が2%、相乗りで自動車利用が5%、タクシー利用が1%、自転車利用が0.6%、フェリー利用が0.2%となっている[12]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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