ニュートリノ
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この項目では、素粒子について説明しています。音声合成ソフトについては「NEUTRINO」をご覧ください。

ニュートラリーノ」とは異なります。

ニュートリノ
型数3(ν 
e
ν 
μ
ν 
τ

組成素粒子
粒子統計フェルミ粒子
グループレプトン
世代第一、第二、第三世代
相互作用弱い相互作用
重力相互作用
反粒子ν 
e、ν 
μ、ν 
τ
記号ν 
e、ν 
μ、ν 
τ
質量あり
電荷0
カラー持たない
スピン.mw-parser-output .frac{white-space:nowrap}.mw-parser-output .frac .num,.mw-parser-output .frac .den{font-size:80%;line-height:0;vertical-align:super}.mw-parser-output .frac .den{vertical-align:sub}.mw-parser-output .sr-only{border:0;clip:rect(0,0,0,0);height:1px;margin:-1px;overflow:hidden;padding:0;position:absolute;width:1px}1⁄2
バリオン数0
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ニュートリノ(: neutrino[注釈 1])は、素粒子のうちの中性レプトンの名称。中性微子(ちゅうせいびし)とも書く[1]電子ニュートリノミューニュートリノタウニュートリノの3種類もしくはそれぞれの反粒子をあわせた6種類あると考えられている。ヴォルフガング・パウリ中性子β崩壊エネルギー保存則角運動量保存則が成り立つように、その存在仮説を提唱した。「ニュートリノ」の名はニュートラルから来ておりβ崩壊の研究を進めたエンリコ・フェルミが名づけた。フレデリック・ライネスらの実験により、その存在が証明された。
性質

標準モデルにおける
ニュートリノの分類
フェルミオン記号質量**
第一世代
電子ニュートリノ ν e {\displaystyle \nu _{e}} < 2.5 e V {\displaystyle <2.5\,\mathrm {eV} }
反電子ニュートリノ ν ¯ e {\displaystyle {\overline {\nu }}_{e}} < 2.5 e V {\displaystyle <2.5\,\mathrm {eV} }
第二世代
ミューニュートリノ ν μ {\displaystyle \nu _{\mu }} < 170 k e V {\displaystyle <170\,\mathrm {keV} }
反ミューニュートリノ ν ¯ μ {\displaystyle {\overline {\nu }}_{\mu }} < 170 k e V {\displaystyle <170\,\mathrm {keV} }
第三世代
タウニュートリノ ν τ {\displaystyle \nu _{\tau }} < 18 M e V {\displaystyle <18\,\mathrm {MeV} }
反タウニュートリノ ν ¯ τ {\displaystyle {\overline {\nu }}_{\tau }} < 18 M e V {\displaystyle <18\,\mathrm {MeV} }
電子ニュートリノ」、「ミューニュートリノ」、および「タウニュートリノ」も参照

ニュートリノは電荷を持たず、 1 2 ℏ {\displaystyle {\begin{matrix}{\frac {1}{2}}\hbar \end{matrix}}} のスピンを持つ。また、質量は非常に小さいが、ゼロではない。

標準模型によれば、ニュートリノには電子ニュートリノ ( ν e {\displaystyle \nu _{e}} )、ミューニュートリノ ( ν μ {\displaystyle \nu _{\mu }} )、タウニュートリノ ( ν τ {\displaystyle \nu _{\tau }} ) の3世代とそれぞれの反粒子が存在する。これらは電子ミュー粒子タウ粒子と対をなしている。
相互作用

標準模型のニュートリノは強い相互作用電磁相互作用がなく、弱い相互作用重力相互作用でしか反応しない。ただ、質量が非常に小さいため、重力相互作用もほとんど反応せず、このため他の素粒子との反応がわずかで、透過性が非常に高い。

そのため、原子核電子との衝突を利用した観測が難しく、ごく稀にしかない反応を捉えるために高感度のセンサや大質量の反応材料で構成されるニュートリノ検出器を用意する必要があり、他の粒子に比べ研究の進みは遅かった。

4世代目以降のニュートリノとして重力相互作用しかしないステライルニュートリノを仮定する理論もあるが、その存在はまだ実験的に確認されてはいない。
反粒子

物理学の未解決問題ニュートリノはそれ自身の反粒子でもあるのか?ニュートリノはマヨラナ粒子か?

電荷を持たない粒子であるため、中性のパイ中間子のようにそれ自身が反粒子である可能性がある。ニュートリノの反粒子がニュートリノ自身と異なる粒子であるか否かは現在でも未解決の問題である。
仮説と検証の歴史米国アルゴンヌ国立研究所に設置されたZero Gradient Synchrotronの水素泡箱で観測された(水素泡箱による観測としては)史上初のニュートリノ(1970年11月13日)。ニュートリノは電荷を持たず泡箱に軌跡を残さない。写真右手中央の黒い影の右側で3つの軌跡が突然始まっている。この位置でニュートリノが陽子に衝突した。同時に生成したミュー粒子は非常に見分けにくいが、ほぼ直線状に軌跡を残している。短い軌跡は陽子。

アルファ崩壊の場合、アルファ粒子(アルファ線)と新しく出来た原子核の質量との合計は、崩壊前の原子核の質量よりも小さくなる。これは、放出されたアルファ粒子の運動エネルギーが、崩壊前の原子核の質量から得られているためである。

ベータ崩壊の場合は、崩壊後の運動エネルギーの増加が質量の減少より小さかった。そのため一部のエネルギーが消えてしまったように見え、研究者の間で混乱が生じた。ニールス・ボーアは放射性崩壊現象ではエネルギー保存の法則が破れると主張した。

一方、ヴォルフガング・パウリは、エネルギー保存の法則が成り立つようにと、β崩壊では(観測されない)電荷については中性の粒子がエネルギーを持ち去っているという仮説を1930年末に公表した[注釈 2]。また、1932年中性子が発見されたのをきっかけに、エンリコ・フェルミはベータ崩壊のプロセスを「ベータ崩壊は原子核内の中性子が陽子と電子を放出しさらに中性の粒子も放出する」との仮説を発表した。また、質量は非常に小さいか、もしくはゼロと考えられた。そのため、他の物質と作用することがほとんどなく、検出には困難を極めた。

ギュラ・チカイ(ハンガリー語版)はベリリウムを中性子で照射して得たヘリウム6を霧箱に導く装置を開発し、ヘリウム6がβ崩壊 6 H e → 6 L i + e − + ν ¯ e + 3.6 M e V {\displaystyle ^{6}\mathrm {He} \rightarrow ^{6}\mathrm {Li} +e^{-}+{\bar {\nu }}_{e}+3.6\,\mathrm {MeV} } する過程を撮影することに1956年10月に成功した[2][3][4]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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