ニホンリス
ニホンリス Sciurus lis
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
地質時代
中期更新世 - 現代
分類
ニホンリス(日本栗鼠 Sciurus lis)は、齧歯目リス科リス属に分類される齧歯類(りす)。
分布[ソースを編集]
(リス#日本のリスも参照)ニホンリスの生息地地図
日本(本州、四国、九州<絶滅?>、淡路島?)固有種[2][4][6]。淡路島では近年の生息状況は不明とされる[2]。広島県では絶滅したと考えられている[6]。
愛知県東山動植物園
井の頭自然文化園
八ヶ岳
富士山
形態[ソースを編集]
体長16 - 22センチメートル[2]。尾長13 - 17センチメートル[2]。体重0.3キログラム[2]。腹面や尾先端の毛衣は白い[2]。染色体数は2n=40[5]。
夏季は背面が赤褐色(夏毛)、冬季は耳介先端の体毛が伸長し背面が灰褐色になる(冬毛)[2]。冬毛では眼の周囲にわずかに白い体毛が生える[3]。
分類[ソースを編集]
以前はキタリスの亜種とされていた[5]。樺太経由で日本に侵入したキタリスが分岐した種だと考えられている[5]。ミトコンドリアDNAのシトクロムbの塩基配列を決定した分子系統解析では3,400,000年前に分岐したと推定され、中期更新世の地層からも化石が発見されている[5]。一方で12S rRNAの塩基配列を決定した分子系統解析では、キタリスとの遺伝的差異がシマリス属やムササビ属における個体変異レベルにすぎないとする解析結果もある[5]。
生態[ソースを編集]
平地から亜高山帯にかけての森林に生息し、低山地の松林を好む[2]。樹上棲[2]。昼行性[2]。10ヘクタールの行動圏内で生活し、行動圏はオス同士や異性間では重複するがメス同士では重複しない[2]。樹上に木の枝や樹皮などを組み合わせた球形の巣をつくる[2]。
食性はほぼ植物食[2]。夏季から冬季にかけて主にオニグルミ、マツ科のアカマツ・カラマツ・ゴヨウマツなどの種子を食べる[4]。植物の芽、花、果実、種子、キノコ、昆虫、節足動物なども食べ、食物を枝の間や地中に埋めて貯蔵することもある(貯食)[2]。春季は種子以外の植物質を食べる比率が大きくなる[4]。毒キノコであるベニテングタケを恒常的に食べていることが観察されたが、どの様に毒を無害化しているのかは分かっていない[7][8]。
繁殖様式は胎生。春季から夏季に2 - 6匹の幼獣を年に1 - 2回に分けて産む[2]。寿命は5年[2]。
人間との関係[ソースを編集]
以前は食用とされたり、毛皮が利用されることもあった[9]。以前は狩猟獣だったが第二次世界大戦以降は捕獲数が減少した[6][9]。1994年に狩猟鳥獣から除外されている[2][6][9]。
中国地方のニホンリス
開発やマツ材線虫病による生息地の破壊などにより、生息数の減少が懸念されている[6]。山口県レッドリストでは1981年以降は生息が確認されていないことから2002年現在は絶滅危惧IA類、広島県レッドリストでは1966年以降の発見例がないことから2004年現在は絶滅種と判定されている[6]。