ニホンザル
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ニホンザル
ホンドザル Macaca fuscata fuscata
保全状況評価[1][2][3]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
ワシントン条約附属書II
地質時代
中期更新世 - 現代
分類

ドメイン:真核生物 Eukaryota
:動物界 Animalia
:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
:哺乳綱 Mammalia
:霊長目 Primates
:オナガザル科 Cercopithecidae
:マカク属 Macaca
:ニホンザル M. fuscata

学名
Macaca fuscata (Gray, 1870)[4]
シノニム


Macacus speciosus I. Geoffroy, 1826[5]


Inuus fuscatus Blyth, 1875[5]

Macacus fuscatus Blyth, 1875[5]

Macaca speciosus Palmer, 1913[5]

Innus speciosus japanensis Schweyer, 1909[5]

Pithecus fuscatus Elliot, 1913[5]

Lissodes fuscatus Sowerdy, 1943[5]

和名
ニホンザル[4][5][6][7][8][9]
英名
Japanese macaque[5][6][8]


ニホンザル(学名:Macaca fuscata)は、オナガザル科マカク属に分類されるサルの一種。
分布

日本本州四国九州および周辺の島嶼屋久島[8]種子島[5][4]茨城県では絶滅[7]

ヒトを除いた霊長目の現生種では、最も北(下北半島)まで分布する[5][8]。「北限のサル」も参照
形態

頭胴長(体長)オス53 - 60センチメートル、メス47 - 55センチメートル[4]。尾長オス7 - 11センチメートル、メス6 - 11センチメートル[8]体重オス6 - 18キログラム、メス6 - 14キログラム[8]。東北地方や中部地方山岳部の個体群は、西日本の個体群よりも大型(例として志賀高原個体群は幸島個体群の倍近く体重がある)[8]。体毛は寒冷地では長く密に被われ、温暖地では短く薄く被われる傾向がある[5]。背面の毛衣は赤褐色や褐色、腹面の毛衣は灰色[5]。種小名 fuscata は「暗色がかった」の意[6]

顔や尻は裸出し、赤い[4]

幼獣は体毛が密に被われるが、成長に伴い密度は低くなる[5]。オスは犬歯が発達する[5]
分類

本種は元々ニホンザルとして記載されていた[5][6]。後に M. speciosus が誤ってベニガオザルを指す学名とされ[6]、本種に対応する学名として後に記載された Macaca fuscata が主に用いられるようになった[5]。先取権は M. speciosus にあるものの、混乱を防ぐために M. speciosus を無効とする提案が1967年になされ、1970年に動物命名法国際審議会の強権により M. fuscata が本種の学名として用いられている[5][6]

本種の化石は中期更新世以降の地層から発見されている。最古の化石として、山口県美祢市から本種のものと思われる歯の化石が発見されている[5][10]。この化石はトウヨウゾウやナウマンゾウと伴出しておりトウヨウゾウと同時期の化石であれば最古のものとなるが、一方でこれらは石灰岩の割れ目に堆積したもの(トウヨウゾウとナウマンゾウでは年代が異なるとされるため)でより新しい時代の化石である可能性もある[10]千葉県袖ケ浦市から本種の上腕骨を思われる化石が、ナウマンゾウと伴出した例がある[10]

属内では陰茎の亀頭の形態などからアカゲザルカニクイザルタイワンザルに近縁と推定され fascicularis グループを形成する[5]。最も近縁なのはアカゲザルで500,000年前に分岐したと推定されている[7]

基亜種と亜種ヤクシマザルは170,000 - 180,000年前に分岐したと推定されている[7]。ミトコンドリアDNAの分子系統解析では、主に近畿地方と中国地方を境界として2系統に分かれる。
Macaca fuscata fuscata Gray, 1870 ニホンザル、ホンドザル、ホンドニホンザル[6]
本州、四国、九州[8]
Macaca fuscata yakui Kuroda, 1940 ヤクザル、ヤクシマザル、ヤクシマニホンザル[6]
屋久島[5][4][6][8]。体毛が長く[5]、毛衣が暗褐色がかる[4][7]。頭蓋が小型[5]。眼窩が縦長で、眼窩間の幅がより狭い[5]
生態

常緑広葉樹林落葉広葉樹林に生息する[4]。地表でも樹上でも活動する[4]昼行性だが[4]、積雪地帯では吹雪の時は日中でも活動しない[7]。群れは1 - 80平方キロメートルの行動圏内で生活する[8]。行動圏は常緑広葉樹林では狭く落葉広葉樹林内では広くなる傾向があり[4][8]、照葉樹林では1頭あたり1.4 - 6.4ヘクタールだが落葉樹林では1頭あたり9 - 79ヘクタール[5]。複数の異性が含まれる十数頭から100頭以上の群れ(亜種ヤクシマザルはほぼ50頭以下)を形成して生活する[4]。群れは母系集団で、オスは生後3 - 8年で産まれた群れから独立し近くにある別の群れに入ったり遠距離移動を行うと推定されている[5]。他の群れとの関係は地域変異があると推定されており、例として屋久島の個体群は群れの間で優劣関係があり群れ同士が遭遇すると争うが、白山の個体群は群れ同士が避けあい時に混ざることもあるという報告例がある[7]

主に果実を食べるが、植物の葉、種子キノコ、卵、昆虫なども食べる[5]。京都府の嵐山では、192種の食物を食べていたという報告例がある[5][7]。亜種ヤクシマザルは、カエルトカゲも食べた例もある[5]。下北半島の個体群は食物が少ない時期に樹皮、海藻貝類なども食べる。春季は花や若葉、夏季は漿果、春季から冬季にかけては果実や種子を食べる[7]長野県松本市上高地では、冬季に魚類を日常的に食べている[11]。哺乳類としては比較的大型で動きの機敏な本種に天敵は少ないが、捕食者としてクマタカが挙げられる[12]。また、絶滅したニホンオオカミも本種を捕食対象としていた。

肉食の報告例として2015年には北アルプスライチョウの幼鳥を捕食している姿が観察されている[13]

繁殖様式は胎生。主に秋季から冬季にかけて交尾を行う[5][4][7]。妊娠期間は161 - 186日[7]。この時期以外にメスが発情期に発情することは少なく、月経もまれ(月経があっても無排卵月経[5]。春季から夏季に1回に1頭(まれに2頭)の幼獣を1回産む[4]。出産間隔は2 - 3年だが[4]、栄養状態によってはより長くなることもある[8]。授乳期間は11 - 18か月[7]。メスは生後5 - 7年で性成熟する[4][8]。野生下での寿命は主に25年以下(幼獣の死亡率が高い)だが[4]、一方で餌付けされた個体群では30年以上の生存が推定されている個体や生後26年で出産した例もある[7]


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