この項目では、狭義(種として)のイノシシについて説明しています。広義(科として)のイノシシについては「イノシシ科」をご覧ください。
イノシシ
イノシシ Sus scrofa
保全状況評価
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
イノシシ(日本語:猪・豬、英名:Wild boar、学名:Sus scrofa)は、鯨偶蹄目イノシシ科の動物の一種。本種を家畜化したものがブタである[1]。 学名は「Sus scrofa」であり、「Sus(イノシシ属)」+「scrofa(雌豚)」という意味でリンネによる命名である。ウシやウマなど他の家畜の学名では野生種より前に家畜種に命名されている例が多々あり、先取権の点から問題となった(審議会の強権により解決された)が、イノシシとブタの間ではそのような問題は起きなかった。なおブタの学名は「Sus scrofa domesticus」であり、「domesticus(家畜の)」と家畜化されていることが強調されている。 英語では boar であるが、「去勢していない雄豚」という意味で使われることもあるため[2]、区別するために wild boar や wild pig とも呼ばれる。 日本語の古い大和言葉では「ヰ(イ)」と呼んだ。イノシシは「ヰ(猪)のシシ(肉)」が語源であり、シシは大和言葉で「肉」を意味する(「ニク」は音読みの呉音)。現代中国語では、「猪(豬 / 猪)」の漢字は主にブタの意味で用いられており、イノシシは「野猪(野豬 / 野猪)」と呼んで区別する。同様に、朝鮮語の固有語においても「豚」は「テジ(??、dwaeji / twaeji)」、イノシシは「メッテジ(???、metdwaeji / mettwaeji)」と接頭辞で区別される。なお、十二支の亥年もイノシシとなるのは日本のみであり、他の東アジア漢字文化圏においてはブタとなる。 元来は、アジアやヨーロッパなどを中心に生息していた。人間によってイノシシまたはその家畜化されたブタが再野生化したものが、アメリカ大陸やオーストラリア大陸などにも放され、爆発的に生息域を広げることになった。 分布地域によって個体に大きな差があり、米国アラバマ州では体長約2.8m、体重約470kgもある巨大なイノシシが過去には仕留められている。中国東北部やロシアのイノシシも体重300kg以上に達する個体がある。 日本にはニホンイノシシとリュウキュウイノシシの2亜種、ないしは八重山諸島のグループをさらに分けた3亜種が分布する。いずれもイノシシの亜種ではなく、別種として分類すべきとの議論もなされている。 欧米やロシアのイノシシと比べると、日本のイノシシはサイズが小さく、手足も短いため雪の上で移動することが難しいこともあり、雪原地帯での生息が難しいと考えられる。しかし、近年の温暖化に伴って、東北地方におけるイノシシの生息域が広がっている。 山形県では、100年以上にわたってイノシシの生息が確認されていなかったが、2002年に天童市で1頭が捕獲されて以降、各地で出没が相次いでいる。2018年度末の推定個体数は約7800頭とされ、わずか10年間で20倍近くに膨れ上がっているとみられる。2019年度には約2000頭を捕獲したものの、イノシシによる農作物被害は約7400万円に上っている。 長らく「北海道にはイノシシは生息していない」というのが定説となっていたが、2003年に行われた環境省の調査で道東エリアに生息していると確認された。これは1980年?1988年頃に、イノブタの養殖のために本州から持ち込まれた数頭の個体が逃げ出し、野生化したものと考えられている。 北海道では「豚の放牧」が冬場にも行われ、足寄町ではイノブタが野生化し問題となっている[3]。1980年頃から足寄町でイノブタが飼育されるようになった。
名称
生息域
東北地方の生息域の拡大
北海道にはイノシシは生息しているのか?
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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