ナナカマド
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ナナカマド
ナナカマド
分類APG IV

:植物界 Plantae
階級なし:被子植物 angiosperms
階級なし:真正双子葉類 eudicots
階級なし:バラ類 rosids
:バラ目 Rosales
:バラ科 Rosaceae
:ナナカマド属 Sorbus
:ナナカマド Sorbus commixta

学名
Sorbus commixta Hedl. (1901)[1][2]
シノニム


Sorbus commixta Hedl. var. sachalinensis Koidz. (1917)[3]

Sorbus americana Marshall subsp. japonica (Maxim.) Kitam. (1974)[4]

和名
ナナカマド
英名
Japanese Rowan
変種


var. commixta ナナカマド

var. rufoferruginea サビバナナカマド

var. wilfordii ツシマナナカマド

ナナカマド(七竈[5][6][7]・花楸樹[8]学名: Sorbus commixta)は、バラ科落葉小高木高木[5][1]。別名では、オオナナカマド[2]、エゾナナカマド[2]、ヤマナンテン[9]ともよばれる。赤く染まる紅葉果実が美しいので、北海道東北地方では街路樹や公園樹としてよく植えられている[5]。材はかたく、備長炭の代用になる。
名称

「ナナカマド」という和名は、異説がいくつかある[10]
よく知られるのは、「大変燃えにくく、7度竃(かまど)にくべても燃え残る」ということから付けられたという説が広く流布している[11][12][13][7][14][10][15][9]

「7度または7日間竃で焼くと良質のになる」という説もある[13][10]

「この材で作った食器は7世代も使えるほど強い」という説もある[10]

牧野富太郎は『牧野日本植物図鑑』で本種の項に以下の通り記している[16]。材ハ燃エ難ク、竈ニ七度入ルルモ尚燃残ルト言フヨリ此和名ヲ得タリト伝フ。

ただしこれは現実的には正しくないようで、実際にはナナカマドの薪は良く燃えるとの記述もある。例えば『植物名の由来』で中村浩は以下の通り記している[17]。わたしは越後の山荘で何度か冬を過ごしたことがあるが、よくナナカマドの薪をたいて暖を取ったものである。この木の材はよく燃えて決して燃え残る事は無い。

中村の説によるとナナカマドの木炭は火力が強く、これを作るには7日間炭焼きのかまどに入れておく必要があったため「七日かまど」と呼ばれており、それが詰まってナナカマドになったという[11]。鶴田知也は『草木図誌』で同様に事実を経験として述べ、『名前の由来には別の意味がある』可能性を示唆している。

植物学者の辻井達一は著書『日本の樹木』で、「青森、秋田ではサクラアズキナシのことをナナカマドと呼ぶことがあり、これらは必ずしも燃えにくい樹ではない。そうなるとナナカマドの名は別の由来があるのかもしれない。」と指摘している[18]

地方による別名として、オヤマノサンショウ、ヤマエンジュなどともよばれていて、いずれも葉の形状からついた名とみられている[18]。木材としては、カタスギの名でもよばれる[18]。種類としては、小葉が大形のものは、エゾナナカマド、あるいはオオバナナカマドとして区別されることがあるが[18]、米倉浩司・梶田忠「BG Plants 和名?学名インデックス」(YList)ではナナカマドと同種(別名)として扱っている[2]

ナナカマド[注 1]英語で Rowan(ローワン)とよばれるが、ローワンは元々スカンディナヴィア地域の言葉で、古くからイギリスに入ってケルト語系の名として伝わった[19]ケルト人は、この堅い樹がなかなか燃えないので「灰にならない樹」として神秘的な存在として見立てたといわれている[19]

学名の属名 Sorbus (ナナカマド属)は、ビールの一種である Cerevicia に基づくともいわれ、その実から酒が造られたことに由来する[19]
分布・下位分類

南千島を含む[20]北海道本州四国九州の冷温帯の山地帯の上部および亜高山帯の林地に自生する[5][1]樺太[20]朝鮮半島[20]などアジア東北部に分布[6][21]。山地のミズナラブナ林から亜高山の森林限界まで普通に分布する[5][22]

北海道や東北地方では、街路に植栽されているものも多く見かけるが、東京以西の低地では暑すぎるため育たない[23]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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