ナチス・ドイツの勲章
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ナチス・ドイツの勲章(ナチス・ドイツのくんしょう)では、ナチ政権下のドイツ国1933年 - 1945年)で制定もしくは授与された勲章について記述する。
概説

ドイツ帝国時代では、ドイツ皇帝ではなく諸邦の君主によって地位や戦功による勲章が授与されており、鉄十字章などの戦功勲章もドイツ皇帝としての資格ではなく、プロイセン国王であり、帝国軍の総司令官としての地位から授与されていた[1]ヴァイマル憲法109条は栄典や勲章の授与、国民が外国から授章することを禁止したが、175条の規定により第一次世界大戦の戦功に関するものの授与は認めており、鉄十字勲章と傷痍軍人勲章についてはしばらく授与が行われていたが、1925年3月7日の通達により禁止された[2]

ナチ党の権力掌握後の間もない1933年4月7日、称号勲章法が制定され、国家代理官や州政府によって勲章や称号を与えることが認められた[3]。1937年の改正称号勲章法によって勲章・称号授与の権限は総統に独占的に認められることとなった[3]。ナチス時代においてはナチズムの見解に基づく勲章・称号が多数創設され、第二次世界大戦の勃発後には多数の戦功勲章が設立された。

ドイツの敗北後、各地の占領軍は軍事的なものやナチズムに基づく勲章の佩用を禁止する措置を執った。1949年9月21日の連合国高等弁務官会議法7号によってこの措置は撤回されたが、実際には帝国時代のものを含めた勲章の佩用禁止は続いていた[4]

ドイツ連邦共和国基本法は勲章や称号の授与を禁じていなかったが、ナチス時代の称号勲章法が有効かどうかについては議論があった。1953年5月13日の連邦内務大臣の通達により、外国からの授与についての規定と、罰則の規定のみが有効とされ、その他の規定は無効とされた[5]。1956年6月21日、連邦政府は称号勲章法案を提出した。連邦議会では第一次世界大戦の勲章と、第二次世界大戦における戦功勲章については存続を認め、ナチズムの見解による勲章については廃止・佩用を禁止した[6]。存続する勲章についてもナチス時代の象徴であるハーケンクロイツは除去されるべきだが、ドイツ帝国時代の象徴である黒・白・赤のリボンについては存続を決定した[7]。この勲章法(ドイツ語版)は1957年7月26日に施行された。
勲章の一覧
最高位勲章

大鉄十字星章大鉄十字章金柏葉・剣・ダイヤモンド付
騎士鉄十字章
剣付黄金騎士戦功十字章黄金騎士
戦功十字章ドイツ十字章
ダイヤモンド章一級ドイツ勲章


優れた軍功により与えられる勲章

柏葉・剣・ダイヤモンド付
騎士鉄十字章
柏葉・剣付騎士鉄十字章柏葉付騎士鉄十字章騎士鉄十字章


その他の軍功により与えられる勲章

ドイツ十字章金章一級鉄十字勲章
1939年章
二級鉄十字勲章
1939年章
一級鉄十字章略章二級鉄十字章略章

陸軍名誉鑑章空軍名誉鑑章海軍名誉鑑章

剣付騎士戦功十字章騎士戦功十字章ドイツ十字章銀章

剣付一級戦功十字章一級戦功十字章

剣付二級戦功十字章二級戦功十字章二級戦功十字章メダル

ダイヤモンド付
スペイン十字章金章剣付スペイン十字章金章剣付スペイン十字章銀章スペイン十字章銀章剣付スペイン十字章銅章スペイン十字章銅章


戦闘等により与えられる勲章

戦争参加者名誉十字章
前線戦士名誉十字章
近親者名誉十字章1938年3月13日記念メダル1939年3月22日
メーメル返還記念メダル
1938年10月1日
記念メダル


1941年/1942年
東部戦線冬季戦記章
ドイツ防壁名誉章[8]伊・独
アフリカ共同作戦
従軍メダル
(de)


勤続章

特等
国防軍勤続章1等
国防軍勤続章2等
国防軍勤続章3等
国防軍勤続章4等
国防軍勤続章

1等
RAD勤続章2等
RAD勤続章3等
RAD勤続章4等
RAD勤続章

1等
親衛隊勤続章2等
親衛隊勤続章3等
親衛隊勤続章4等
親衛隊勤続章1等
警察勤続章2等
警察勤続章3等
警察勤続章


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