ナイカイムチョウウズムシ
分類
ナイカイムチョウウズムシ Praesagittifera naikaiensis(内海無腸渦虫)は、瀬戸内海に生息する無腸動物の一種である。和名である「ナイカイムチョウウズムシ」の名は2015年、彦坂らにより名付けられた[1]。 体サイズは、長径約2.5 mm、短径約1 mm[1]。体型はヘチマのような形で、前部がやや細く後端が丸みを帯びる[1]。体色は共生藻 本種は5月から梅雨明けにかけて爆発的に増殖し、6-7月にその個体数はピークとなる[1]。その後海水温の上昇とともに成体の死滅が始まり、自然環境では7月下旬から11月上旬にかけて成熟個体はみられなくなる[1]。 本種は瀬戸内海のカスプ
発見と分類属の新種としてConvoluta naikaiensisとして原記載された[1][2]。1990年、KostenkoとMamkaevによりサギティフェラ科に移され、Simsagittifera属に変更された[1][3]。さらに近年、無腸綱内の系統及び分類群がリボゾーム遺伝子、ミトコンドリア遺伝子、形態形質に基づいて総合的に再検討され[4]、その結果、現在はコンボルータ科 プレサギティフェラ属に分類されている[1]。
形態
生態と分布
ワミノアムチョウウズムシ Waminoa litusは親の卵巣内で共生藻を受け継ぎ、産卵当初から共生藻を内包した胚となる垂直伝播を行うのに対し、本種はほかの多くの無腸動物と同様に雌雄同体で交接による体内受精を行い、共生藻を持たない卵を産む、共生藻の水平伝播を行う[1]。卵巣の発達状態は、T期(無卵巣期)、U期(卵黄形成初期)、V期(卵黄形成後期)の3ステージに分けられ、これはワミノアムチョウウズムシと同様である[1]。体長が2 mmを越すと、卵巣が成熟し、体の中央に黄色い卵巣が観察されるようになる[1]。卵は共生藻を含まないため山吹色を呈し、1個ずつ透明な卵殻に覆われ、さらに1-3個の卵殻がゼリー状のセメント物質で他物に生みつけられる[1]。 無腸動物は二重螺旋卵割 本種は2015年の彦坂らの研究で繁殖・飼育がなされ、人工飼育が可能となった[1]。
発生
人間との関係
脚注[脚注の使い方]^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 彦坂?片山智恵; 彦坂暁 (2015). ⇒“瀬戸内海産無腸動物 Praesagittifera naikaiensisの飼育システム”. 人間科学研究 (広島大学大学院総合科学研究科) 10: 17-23. ⇒http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public/3/39144/20160304120320110599/StudiesInHumanSciences_10_17.pdf.