この記事は英語版の対応するページ
を翻訳することにより充実させることができます。(2023年10月)翻訳前に重要な指示を読むには右にある[表示]をクリックしてください。ドーパミン
IUPAC名
4-(2-アミノエチル)ベンゼン-1,2-ジオール
別称ドパミン, DA
2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)エチルアミン
3,4-ジヒドロキシフェネチルアミン
3-ヒドロキシチラミン
Intropin Revivan
オキシチラミン
識別情報
CAS登録番号51-61-6
KEGGD07870
SMILES
NCCc1ccc(O)c(O)c1
特性
化学式C8H11NO2
モル質量153.178 g/mol
融点
128 ℃ (401 K)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
ドーパミン(英: dopamine)は、中枢神経系に存在する神経伝達物質で、アドレナリン、ノルアドレナリンの前駆体でもある。運動調節、ホルモン調節、快の感情、意欲、学習などに関わる。セロトニン、ノルアドレナリン、アドレナリン、ヒスタミン、ドーパミンを総称してモノアミン神経伝達物質と呼ぶ。またドーパミンは、ノルアドレナリン、アドレナリンと共にカテコール基をもつためカテコールアミンとも総称される。医学・医療分野では日本語表記をドパミンとしている[1]。合成された注射製剤が循環器科[2]、救急[3]、集中治療医学[2]、麻酔科学[4]等の領域で頻用されている。 統合失調症の陽性症状(幻覚・妄想など)は基底核や中脳辺縁系ニューロンのドーパミン過剰によって生じるという仮説がある。この仮説に基づき薬物療法で一定の成果を収めてきているが、一方で陰性症状には効果が無く、根本的病因としては仮説の域を出ていない。覚醒剤はドーパミン作動性に作用するため、中毒症状は統合失調症に類似する。強迫性障害、トゥレット障害、注意欠陥多動性障害 (ADHD) においてもドーパミン機能の異常が示唆されている。 一方、パーキンソン病では黒質線条体のドーパミン神経が減少し筋固縮、振戦、無動などの運動症状が起こる。また抗精神病薬などドーパミン遮断薬の副作用としてパーキンソン症候群が起こることがある。 中脳皮質系ドーパミン神経は、とくに前頭葉に分布するものが報酬系などに関与し、意欲、動機、学習などに重要な役割を担っていると言われている。新しい知識が長期記憶として貯蔵される際、ドーパミンなどの脳内化学物質が必要になる[5]。陰性症状の強い統合失調症患者や、一部のうつ病では前頭葉を中心としてドーパミンD1の機能が低下しているという仮説がある。 下垂体漏斗系においてドーパミンはプロラクチンなどの分泌抑制因子として働く。そのためドーパミン作動薬は高プロラクチン血症の治療薬として使用され、逆にドーパミン遮断薬(抗精神病薬など)は副作用として高プロラクチン血症を誘発する。 ドーパミン部分作動薬のアリピプラゾール(エビリファイ)は低プロラクチン血症を誘発することが分かっており[6]、高プロラクチン血症の治療効果もある。その副作用として異常性欲や性的倒錯があり[7]、アメリカ食品医薬品局(FDA)は添付文書で黒枠の警告をしている[8]。 ドーパミンの前駆体はL-ドーパである。L-ドーパはフェニルアラニンやチロシンの水酸化によって作られる。
概要
生合成過程ドーパミンの生合成経路
チロシン→L-ドーパ(L-ジヒドロキシフェニルアラニン)
チロシン水酸化酵素 (tyrosine hydroxylase, TH) EC ⇒1.14.16.2
L-ドーパ→ドーパミン
ドーパ脱炭酸酵素
さらに一部のニューロンにおいては、ドーパミンから、ドーパミン-β-モノオキシゲナーゼ (dopamine beta hydroxylase, DBH; あるいは dopamine beta-monooxygenase) EC ⇒1.14.17.1によってノルアドレナリンが合成される。
ヒトの脳内におけるカテコールアミン類の生合成経路[9][10][11] L-フェニルアラニンL-チロシンL-ドーパアドレナリンフェネチルアミンp-チラミンドーパミンノルアドレナリンN-メチルフェネチルアミンN-メチルチラミンp-オクトパミンシネフリン3-メトキシチラミンAADCAADCAADC主経路PNMTPNMTPNMTPNMTAAAHAAAH脳内