この項目では、バレエ作品について説明しています。その他の用法については「ドン・キホーテ (曖昧さ回避)」をご覧ください。
ドン・キホーテ
Дон Кихот
主人公キトリを演じるE・スポカイテ
キトリアンナ・ソベシチャンスカヤ
バジルセルゲイ・ソコロフ
ドン・キホーテウィルヘルム・ヴァンネル
ドゥルシネア姫ペラギーア・カルパコワ
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『ドン・キホーテ』(露: Дон Кихот, 仏: Don Quichotte, 英: Don Quixote)は、セルバンテスによる同名小説を翻案したバレエ作品である。本作は、振付家マリウス・プティパがレオン・ミンクスの楽曲を用いて創作し、1869年12月26日にモスクワのボリショイ劇場で初演された。1900年には、振付家アレクサンドル・ゴルスキー(英語版)が、プティパ版の大幅な改訂を行った。現在上演されている『ドン・キホーテ』の演出のほとんどは、ゴルスキーによる改訂版を基としている。
本作は、スペインのバルセロナを舞台に、主人公のカップルが親の反対を乗り越えて結婚に至るまでを描いた喜劇であり、タイトル・ロールであるドン・キホーテは脇役として登場する。クラシック・バレエの高度なテクニックのほか、スペイン舞踊やコミカルな演技が取り入れられた華やかな演目として知られている[2]。 18世紀から19世紀前半にかけて、セルバンテスの小説『ドン・キホーテ』を題材としたバレエが複数創作されている。記録上最も古い作品はフランツ・ヒルファーディング 1869年12月26日、モスクワの帝室劇場(現ボリショイ劇場)において、マリウス・プティパ振付、レオン・ミンクス作曲による『ドン・キホーテ』(プロローグ付き4幕8場)が初演された[3]。プティパは当時、サンクトペテルブルクの帝室劇場(現マリインスキー劇場)でバレエ・マスターを務めていたが、ボリショイ劇場から依頼を受けて本作を制作した[1][3]。ボリショイ劇場は、当時マリインスキー劇場の後塵を拝しており、新作バレエでの成功を狙ってプティパを招聘したのである[5]。バレエ『ドン・キホーテ』は、原作小説の一挿話であるキテリアとバシリオの恋物語を題材とし、プティパが得意としたスペイン舞踊を取り入れた作品であり、大成功を収めた[3][6]。 初演から2年後の1871年11月、プティパ自身による改訂版『ドン・キホーテ』(プロローグ・エピローグ付き5幕11場)がサンクトペテルブルクにおいて上演された[1][6]。初演版が、庶民的なモスクワの観客向けに作られた素朴な喜劇だったのに対し、改訂版は、貴族的で洗練されたペテルブルクの観客の好みを反映し、純粋な舞踊を披露することに重点が置かれた[6][7][8]。
上演史
プティパ以前の作品
プティパ版(モスクワ版とペテルブルク版)