ドラフト会議_(MLB)
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メジャーリーグベースボール(MLB)におけるドラフト会議(ドラフトかいぎ)には以下の2つがある。
ファースト・イヤー(英語:The Major League Baseball First-Year Player Draft)

ルール・ファイブ・ドラフト/ルール5ドラフト(英語:Rule 5 draft)

本稿では両方について説明し、単に「ドラフト」と表記した場合はファースト・イヤーを指すものとする。
ファースト・イヤー

「ルール・フォー・ドラフト」(MLB規約の第4条に規定されていることに由来)、または「アマチュア・ドラフト」(プロ選手を指名する、後述のルール5ドラフトとの対比)とも呼ばれる。
歴史

MLBのドラフト制度は、各チームの戦力均衡を目的に1965年から導入された。豊富な資金力を背景に選手を集め、圧倒的な強さを誇っていたニューヨーク・ヤンキースにそれ以上戦力が偏りすぎるのを防ぐためでもあった。この結果、ヤンキースは1964年以降10年以上もリーグ優勝から遠ざかることとなり、この制度の成果は如実に現れた。さらに1969年からはプレーオフ(2地区制)が導入され、1972年からのオークランド・アスレチックスワールドシリーズ3連覇まで毎年違うチームがワールドチャンピオンとなっている。

だが、1960年代後半以降、代理人交渉制度が認められるとドラフト指名された有望選手にも代理人がつくようになり、契約金の高騰が起こった。結果、資金力に劣るチームは指名順位が高くても目玉選手を指名できず、指名順位が低いにもかかわらず資金力のあるチームがその選手を獲得できてしまう問題も発生した。そのため、選手に有利な契約を結ばせようと代理人が契約交渉を長引かせることを防ぐために交渉期限日を早めたり、契約金の推奨額を設定するといった対策を行なっている(後述)。
指名対象選手

以下の条件を満たす選手が指名対象となる[1]
当年にアメリカ合衆国カナダプエルトリコ、ほか合衆国領[2]いずれかの国に居住し、且つ当該国の高校短大コミュニティ・カレッジ大学独立リーグに在籍する選手。なお選手の国籍は問わない[3]

高校生は、卒業者(または見込み)で、且つ大学等へ進学しない選手のみ

4年制以上の大学生は、3年以上在学している選手、または2年以上在学している21歳以上の選手のみ


過去にMLB球団と選手契約を交わしていない

他国プロ野球でドラフト対象となっていない[4][5]

開催日程

指名対象国の学校の大半は6月に学年末を迎えるが、1986年までは1月と6月の年2回ドラフトが開催されていた[6]1987年からは年1回(6月上旬)に変更され、同年にレギュラー・フェイズ(通常部門=ファースト・イヤー)とセカンダリー・フェイズ(第2部門=いわゆる二次ドラフト。前回のドラフトで指名されながら入団しなかった選手対象)の分割システムもなくなり、それまでのドラフトで指名された選手も全てレギュラー・フェイズに組み込まれることになった[7]

2021年からは、7月の「MLBオールスターウィークエンド」期間中に開催されることとなった[8]。MLB機構はこれに伴い、ドラフト候補選手たちが一同に集まって6-8月にシーズン公式戦を行う「MLBドラフトリーグ」を創設すると発表した[9]。なお2023年現在、契約交渉権の有効期間は8月1日まで[10](4年制以上の大学卒業生、および独立リーグ所属選手は翌年ドラフト開催日まで)。
指名方式

戦力均衡が目的であるため、導入年から完全ウェイバー方式を採用しており、指名重複(抽選)や自由獲得枠といった規定はない。2022年からは、タンキング(球団側が意図的に戦力補強をせず、その結果シーズン勝率が下がることで、翌年のドラフトでより上位の指名順を得ようとする戦略)行為抑制のため、NBANHLでも採用されているロッタリー方式を以下のとおり採用している[11][12]

指名順規定(2023年現在)ラウンド指名順指名順決定方法補足
1巡目全体1?6位ポストシーズン非進出チームによる抽選★1
全体7?18位ポストシーズン非進出、かつ上記抽選に当選しなかったチーム
(前シーズンの勝率下位順に割り当て)
全体19?22位ポストシーズンのワイルドカードシリーズ敗退チーム★2
全体23?26位ディビジョンシリーズ敗退チーム
全体27?28位リーグチャンピオンシップシリーズ敗退チーム
全体29位ワールドシリーズ敗退チーム
全体30位ワールドシリーズ制覇チーム
2巡目
以降1?18番目ポストシーズン非進出チーム
(前シーズンの勝率下位順に割り当て)
19番目以降1巡目の指名順と同じ


★1:収益分配の受給対象球団は3年連続で、非受給対象球団は2年連続で、全体6位以内の指名権を獲得することはできない(その当年は、高くても全体10位以下の指名順位しか得られない)。

抽選での当選確率は、前シーズン勝率の低い球団ほど高く設定される(勝率下位3球団の当選確率は同一[13])。

★2:収益分配状況(受給球団、非受給球団、贅沢税支払い球団、の順)、分配状況が同じ場合は前シーズンの勝率下位順に上位指名権が割り当てられる。

選手に支払う年俸総額が一定額を超える球団は、ペナルティとして1巡目指名順位が10下がる(全体6位以上の指名権はペナルティ対象外。


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