ドラゴンランス
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『ドラゴンランス』シリーズ(Dragonlance)は、テーブルトークRPGアドバンスト・ダンジョンズ&ドラゴンズ』(AD&D)の設定を基盤として書かれたファンタジー小説の連作。および、その小説の世界を再現するAD&D用設定集とシナリオのシリーズ。それまでのAD&Dにおける世界設定やシナリオを刷新するものとして企画された。

小説は主としてマーガレット・ワイストレイシー・ヒックマンが執筆した。ワイスとヒックマンによる『ドラゴンランス戦記』三部作(邦訳は全6巻)に始まり、『ドラゴンランス伝説』三部作などの続編が多数発行され、全世界で累計5千万部以上を売り上げる等大ヒット作品となり、エピックファンタジー小説ブームの火付け役ともなった。

過去には富士見書房より邦訳版が発行されていたが、米国の版元であるTSR社ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社に買収されるなどの事態により長らく絶版となっていた。現在は、『ドラゴンランス』と改名され、日本語翻訳も新訳として文体を変えてアスキー・メディアワークスより出版されている。そのため『ドラゴンランス戦記』とは固有名詞が多数変わっている。2010年現在はこの新訳版も大半(第1シリーズ - 『夏の炎の竜』)が絶版になっているが、角川つばさ文庫から第1シリーズが復刊中である。

小説やゲームシナリオ以外にも、コンピュータゲーム(ジャンルはRPGアクション戦略SLGなど多岐にわたる)やゲームブックカードゲームなどさまざまな作品が発売された。
あらすじ
ドラゴンランス(戦記)

1984-1985年出版。

世界規模の災害〈大変動〉が起こり、神々が荒れ果てた地上を見捨てたとされてから340年以上が経った。それぞれの旅を終えて5年ぶりに集結したハーフ・エルフ、丘ドワーフ、ケンダー、人間(魔導士、戦士、騎士)からなる冒険者一行は、成り行きから、〈大変動〉で失われたとされる癒しの力を持つ不思議な杖を携えた平原人の男女を怪しげな軍勢から守るはめになる。それが、伝説上の存在だと思われていたドラゴンや悪の女神〈暗黒の女王〉との、世界の命運をかけた戦いにつながっていくのだった。
ドラゴンランス伝説

1986年出版。

先の戦争を勝利に導き、いまや英雄と呼ばれる主人公たち。ところがキャラモンは、黒衣(悪)の大魔術師となった双子の弟レイストリンを忘れられず、酒びたりになっていた。一方、理想に燃えるパラダインの僧侶クリサニアはレイストリンを改心させようと説得に赴くが、逆に丸め込まれて彼の手助けをすることに。あくまでも弟を取り戻そうとするキャラモンは、レイストリンの野望をくじこうとする魔術師たちの力で、タッスルホッフと共に過去の時代へ送り込まれる。
セカンドジェネレーション

1994年出版。

平和が訪れたように思える世界に、新たな危機が迫っていた。野心と欲ではなく、信義と誓いによって結ばれた悪の騎士団がひそかに勢力を伸ばしつつあったのだ。変わり行く時代に英雄たちの第二世代が登場する。父キャラモンの体躯と戦闘力を受け継いだ2人の兄とは対照的に叔父レイストリンの力を受け継ぐ魔術師パリン、自らに流れる善と悪の血に苦悩する暗黒騎士スティール、そしてタニスとローラナの間に生まれた病弱な青年ギルサス……。彼らを待ち受ける運命の序章が語られる。
夏の炎の竜

1996年出版。

各地で勝利を重ね、世界制覇を目前にする暗黒騎士団。しかし彼ら自身も知らない大きな力がその背後で動いていた。秘宝に封じられていた混沌の神が解き放たれ、何もかも無に帰そうとする今、世界を守るためには悪の手によってでも地上の勢力を統一するしかないのだ。
魂の戦争

2000-2002年出版。

神々が世界を離れ、新たに〈人の時代〉が始まった。しかし新時代は理想にほど遠く、どこからともなく飛来した巨大なドラゴンたちによって地上は支配されていた。そんな中、〈唯一神〉の教えを説く少女ミーナが現れ、暗黒騎士の一団を奇跡的な勝利に導く。
主な登場人物
ドラゴンランス(戦記)
タニス・ハーフ=エルヴン (Tanis Half-Elven)
本名タンサラス。
ハーフエルフ。リーダー的存在で、弓と剣の名手。彼の母親はクォリネスティ・エルフの王女だったが、人間の戦士に暴行されて彼を身ごもった。幼少時はエルフたちの間で育ったが、出自のせいでギルサナスには「私の父の妻の息子」と呼ばれる等疎んじられ、長じて森を出奔した。純血のエルフには決して生えない髭を生やしているのはコンプレックスの現れである。しかしその一方で、エルフ特有のアーモンド形の目は隠していない。フリントと共に、キャラモン、レイストリン、スタームを育てる。キティアラとは恋仲であったが、ドラゴン卿となっていた彼女に偶然再会。後にキティアラへの恋は本当の愛から来るものではない事に気が付き、ローラナとの真摯な愛に目覚める。
スターム・ブライトブレイド (Sturm Brightblade)
人間。高潔なソラムニア騎士。騎士道が形骸化している中にあって、騎士の掟と名誉を第一に考える真の騎士。彼の父も高潔なソラムニア騎士だったが、ある戦の前に幼い彼と妻を連れて逃亡、その後消息が絶たれ死んだものと思える。しかし彼は父を尊敬しており、彼の鎧や剣は父の形見である。これらの事情を知っているグンター・ウス・ウィスタンら父の友人の騎士達は彼に暖かく接する。物語序盤は正式なソラムニア騎士ではない従士(スクワイヤ)であり、タルシスでのデレク・クラウンガードとの会話から騎士を詐称していたことが明かされ、騎士団の騎士審理により一旦は有罪となり父の鎧を身につけることを禁じられる等の処分を受けるが、最終的に〈冠〉の勲爵士団に迎えられ、大司教の塔防衛戦では冠勲爵士団の司令官に任ぜられるが、その経緯から薔薇勲爵士団の指揮官であったデレクが発狂するに至り、デレクや剣勲爵士団の指揮官アルフレッドら上級の騎士とは軋轢が絶えなかった。最終的にこのデレクの狂気が原因となって騎士団は決裂し、出撃したデレクらは囮作戦にひっかかって壊滅、大司教の塔の兵力はほとんどが失われ、わずかな兵とともに塔を守ったスタームはドラゴン卿キティアラとの一騎討ちで破れ死亡した。以後騎士団ではスタームこそ真の騎士の姿であると崇拝される。シルヴァネスティ・エルフの女王アルハナ・スターブリーズからは慕われており、〈スタージュエル〉を受け取る。
フリント・ファイアフォージ (Flint Fireforge)
丘ドワーフ。頑固だが腕の良い細工師で、頼もしい戦士でもある。「子供たち」のお目付け役をもって任じている。持病と年齢のせいで身体に衰えがきているが、仲間の手前意地を張っている。タッスルホッフとは軽口をたたきあう仲。タニスとは旧来の親友。最後は神宿りへの旅のさなか寿命が尽きて病死し、レオルクスの御許に引き取られた。
タッスルホッフ・バーフット (Tasslehoff Burrfoot)
ケンダー。通称タッスル。いたずら好きだが、軽い身のこなしで偵察を行ったり、地図で道を示したりと冒険には欠かせない男。いろいろな地図を持っている。


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