ドライデッキ・シェルター
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原子力潜水艦ダラス (SSN-700)。セイル後方(手前側)に設置されているのが、ドライデッキ・シェルター。後部ドアを開放した状況が分かる。原子力潜水艦フィラデルフィア (SSN-690) に搭載されたドライデッキ・シェルターの内部とSEAL輸送潜水艇チーム2(SDVT-2)要員。

ドライデッキ・シェルター(: Dry Deck Shelter, DDS)は、潜水艦が潜行状態において、ダイバーの容易な出入艦を可能にするエアロックと、小型潜水艇などの格納庫を組み合わせた、潜水艦に着脱可能なモジュールである。
アメリカ海軍におけるDDSの概要

アメリカ海軍で使用されているDDSは、全長 11.6m (38フィート)、高さ及び幅 2.7m (9フィート)であり、ホスト潜水艦のセイルの後方の船体背部(ドライデッキ)上に搭載され、水中排水量を約30トン増加させる。DDSは、数台のトラック、またはC-5 ギャラクシー輸送機で輸送可能である。ホスト潜水艦はDDSを装着できるように、あらかじめ、適切な接合ハッチ配置、電気的接合、および換気、ダイバー呼吸用空気、排水用の各配管を伴う、特別の改造を受ける必要がある。この改造を受けた潜水艦へのDDSの設置には、テストを含めて、1日から3日を要する。

DDSは、ガラス繊維強化プラスチック (GFRP) 製フェアリング(水流抵抗減少用カバー)の下に、HY-80合金鋼製の3つの区画を持っている。最前部には、負傷したダイバーに処置を施すための、球形の加圧チャンバーがあり、その後ろに、これよりやや小さな、球形の入出艦トランク(エアロック)があり、最後部には、両端が半球形の、円柱状の格納庫がある。これら3つの区画は、内部で連絡穴により人員が行き来でき、格納庫の後端の半球部分は、開閉可能な外部ドアになっている。

格納庫にはSEAL輸送潜水艇 (SDV) を格納可能であり、4名のNavy SEALsがSDVに乗船し、SEAL輸送潜水艇チーム(Navy SEALs 、アメリカ海軍ダイバー、技術者の混成部隊)が、DDSを操作してSDVを射出する。または、20名の Navy SEALs が、4隻の戦闘用ゴムボート(Combat Rubber Raiding Craft ; CRRC) で出撃する場合もある[1]

現在、アメリカ海軍第3特殊戦闘群の下に、2つのSEAL輸送潜水艇チーム(SDVT-1 及び SDVT-2)が所属している[2]

補注: 信頼できる情報筋によれば、SDVT-2 は2008年8月8日に廃止され、その任務は第3特殊戦闘群麾下の、もっと小規模なドライデッキ・シェルター分遣隊が引き継いでいる模様である。SDVT-1 については従来通り存続の模様[3]

アメリカ海軍では、現在、6基の着脱可能なDDSを使用している。この中の最初のものは、1982年に、ジェネラル・ダイナミクス・エレクトリック・ボートで建造され、DDS-01Sと命名された(「S」は格納庫の外側ドアが「右舷」(Starboard)側に開くことを意味する)。残りの5基、DDS-02P (「P」は「左舷」(Port)側に開くことを意味する)、-03P、-04S、-05S および -06P は、1987年から1991年にかけてノースロップ・グラマン・ニューポート・ニューズで建造された。[4]

これらのDDSの保守は、チームに常駐している海軍ダイバーと、メンテナンス会社である Oceaneering International社の共同作業で行なわれている。各DDSの可用年数は、40年程度に達すると見込まれている[5]
DDSを搭載可能なアメリカ海軍原子力潜水艦原子力潜水艦ダラス (SSN-700)の背部に設置されたDDSにマーク8改1型SDV格納しているところ。原子力潜水艦アーチャーフィッシュ (SSN-678)。1993年の演習時の模様。横から見たドライデッキ・シェルターの形状が分かる。

サム・ヒューストン - USS Sam Houston (SSN-609) †‡

ジョン・マーシャル - USS John Marshall (SSN-611) †‡

カメハメハ - USS Kamehameha (SSN-642) †‡

ジェームズ・K・ポーク - USS James K. Polk (SSN-645) †‡


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