ドナルド・E・ウェストレイク
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ドナルド・E・ウェストレイク
Donald E. Westlake
2006年、リヨン、Quai du polar
撮影&著作権者:Jean-Marie David
ペンネームリチャード・スターク
タッカー・コウ
サミュエル・ホルト、他
誕生ドナルド・エドウィン・ウェストレイク
(1933-07-12) 1933年7月12日
アメリカ合衆国ブルックリン区
死没 (2008-12-31) 2008年12月31日(75歳没)
職業小説家脚本家
ジャンル犯罪小説
代表作『悪党パーカー』シリーズ
ドートマンダー・シリーズ
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ドナルド・エドウィン・ウェストレイク(or ウエストレイク、ウェストレーク、Donald Edwin Westlake 1933年7月12日 ブルックリン区 - 2008年12月31日)は、アメリカ合衆国小説家
人物

多作家でその著書は100冊を越える。犯罪小説、時にはSFに脱線することもあるケイパー・ストーリーの名手である。エドガー賞を3度受賞したのはウェストレイクとジョー・ゴアズだけで、しかも、3度とも違う部門で受賞した(1968年は『我輩はカモである』で最優秀長編小説賞1990年は『悪党どもが多すぎる』で最優秀短編賞、1991年は『グリフターズ/詐欺師たち』で最優秀映画脚本賞)。1993年にはアメリカ探偵作家クラブ 巨匠賞も受賞した。

「Xero」といったSF雑誌にも時折寄稿している。
経歴

ニューヨーク市・ブルックリンに生まれ、まだ幼い頃にオールバニー市に移り住み、そこで育つ。チャンプレイン・カレッジとビンガムトンハーパー・カレッジに入学するが中退。大学時代には学内新聞の編集長をしたこともある。2年間アメリカ空軍に志願しドイツで働くが、その時の経験は後の小説に反映された(たとえば、ジョン・ドートマンダーや『361 復讐する男』の主人公は元・軍人である)。除隊後に巡業の劇団に入り地方を回ったり、文芸関係の機関で働きながら推理小説を書き始める[1]

妻はノンフィクション作家のアビゲイル・ウェストレイク(別名アビー・アダムス・ウェストレイク、またはアビー・アダムス)。庭師としても有名で、アップステイト・ニューヨークにあるウェストレイク家の庭園は夏には一般開放されている[2]

ウエストレイクは2008年12月31日、メキシコでの彼の妻との休暇中に心臓発作により死亡した。大晦日の夕食に向かう途中だった。
ペンネーム

ウェストレイクはいくつものペンネームを持っている。

リチャード・スターク(Richard Stark) - 1962年から1974年にかけて、非情なプロの犯罪者が主人公の『悪党パーカー』シリーズを16作執筆した。一時スタークの名前は使っていなかったが、1997年に『パーカー』シリーズを復活させ、また使い出しあと8作を出版した。

タッカー・コウ(Tucker Coe ) - ミッチ・トビン・シリーズ。

サミュエル・ホルト(Samuel Holt)

カート・クラーク(Curt Clark)

ティモシー・J・カルヴァー(Timothy J. Culver)

作風

ウェストレイクは、プロットの巧妙さと仕掛けの大胆さで知られている。文体と台詞は生き生きしている。主要登場人物たちは粋で、頼りになり、そして賢い。ウェストレイク作品を代表する2大ヒーローは、『パーカー』シリーズの非情な悪党パーカー、そして『ホット・ロック』など軽妙な犯罪小説の主人公ジョン・ドートマンダーである。

ウェストレイクの小説の多くはニューヨーク市を舞台にしている。ドートマンダー・シリーズでは、どの作品にもニューヨーク市の抜け道が詳細に描かれている。
映画

ウェストレイクの小説は数多く映画化されている。

殺しの分け前/ポイント・ブランク(1967年) - 出演:リー・マーヴィン。原作は『悪党パーカー/人狩り』。

汚れた七人(1968年) - 出演:ジム・ブラウン。原作は『悪党パーカー/汚れた七人』。

ホット・ロック(1972年) - 出演:ロバート・レッドフォード(ドートマンダー)。

警官ギャング(1973年)

組織(1973年) - 出演:ロバート・デュヴァル。原作は『悪党パーカー/犯罪組織』。

悪の天才たち 銀行略奪大作戦(1974年) - 出演:ジョージ・C・スコット。原作は『強盗プロフェッショナル』。

Jimmy the Kid(1979年) - 出演:ゲイリー・コールマン。原作は『ジミー・ザ・キッド』。

ホワイ・ミー?(1990年) - 原作は『逃げだした秘宝』。

あなたに逢いたくて(1996年) - 原作は『二役は大変!』。

エンター・ザ・イーグル(1998年) - 出演:シャノン・リー。『ホット・ロック』の2度目の映画化。

ペイバック(1999年) - 出演:メル・ギブソン。『悪党パーカー/人狩り』の2度目の映画化。

What's the Worst That Could Happen?(2001年) - 出演:マーティン・ローレンス。原作は『最高の悪運』。

斧(2005年) - コスタ=ガヴラス監督。原作は『斧』。

PARKER/パーカー(2013年) - 出演:ジェイソン・ステイサム。原作は『悪党パーカー/地獄の分け前』。

ジャン=リュック・ゴダールの『メイド・イン・USA』(1966年)はウェストレイクの『悪党パーカー/死者の遺産』の映画化だが、映画化権を獲得せずに作られたもので、ウェストレイクの訴えでアメリカ合衆国での興行はできなかった。

ウェストレイクは自分でも脚本を書く。1990年の『グリフターズ/詐欺師たち』(ジム・トンプスン原作)はアカデミー賞脚色賞にノミネートされた[3]。『W/ダブル』(1987年)のオリジナル脚本もウェストレイクで、2つの続編が作られ、(ウェストレイクは参加しないが)リメイクも進行中である。他には『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』(1997年)にも参加したが、その後で複数の脚本家が手を加え、最終的にウェストレイクのアイディアがどのくらい残っているのかは不明である[4]
代表作
ドナルド・E・ウェストレイク名義
ドートマンダー・シリーズ

ホット・ロック(The Hot Rock、1970年) - 日本語訳:
平井イサク角川文庫

強盗プロフェッショナル(Bank Shot、1972年) - 日本語訳:渡辺栄一郎(角川文庫)

ジミー・ザ・キッド(Jimmy the Kid、1974年) - 日本語訳:小菅正夫(角川文庫)

悪党たちのジャムセッション(Nobody's Perfect、1977年) - 日本語訳:沢川進(角川文庫)

逃げだした秘宝(Why Me?、1983年) - 日本語訳:木村仁良ハヤカワ文庫

天から降ってきた泥棒(Good Behavior、1985年) - 日本語訳:木村仁良(ハヤカワ文庫)

Drowned Hopes(1990年)

骨まで盗んで(Don't Ask、1993年) - 日本語訳:木村仁良(ハヤカワ文庫)

最高の悪運(What's the Worst That Could Happen?、1996年) - 日本語訳:木村仁良(ハヤカワ文庫)

バッド・ニュース(Bad News、2001年) - 日本語訳:木村二郎(ハヤカワ文庫)

The Road to Ruin(2004年)

現代短篇の名手たち3 泥棒が1ダース (Thieves' Dozen, 2004年) - 日本語訳:木村二郎(ハヤカワ文庫)短編集

泥棒はカモである(Give Till It Hurt、1993年のクリスマス向け短編) - ローレンス・ブロック、ジャスティン・スコット、オットー・ペンズラーらが作中人物として登場。ウェストレイク自身はクリスマス・パーティから抜け出せず、ドートマンダーをペンズラーの書店にポーカー仲間の代打として送りこむ設定になっている。


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