ドクター・スリープ
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ドクター・スリープ
Doctor Sleep
著者
スティーヴン・キング
発行日2013年9月24日
発行元スクリブナー
ジャンルホラー
アメリカ合衆国
言語英語
ページ数531
コードISBN 978-1-4767-2765-3

ウィキポータル 文学

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『ドクター・スリープ』(原題:Doctor Sleep)は、スティーヴン・キング原作のホラー小説2013年発表。「シャイニング」の40年後を描いた続編[1]。2013年ブラム・ストーカー賞小説部門受賞[2]。邦訳は2015年に文春文庫より出版(白石朗・訳)。2019年に映画化。
あらすじ

前作「シャイニング」での事件後、母ウェンディが怪我から徐々に回復していく中、ダニー・トランスの心理的なトラウマは残り続けている。237号室の腐敗した女性の亡霊も含めたオーバールックホテルの亡霊はダニーを現在も追跡しており、いつか彼の能力シャイニングを貪ろうとしている。オーバールックホテルのシェフであったディック・ハロランはダニーに対し、以前のホテルのオーナーであるホレース・ダーウェンの霊も含めたホテルの亡霊達を、ダニーの心にある虚構の箱に封印するよう伝える。

その後成人したダン(ダニー)は、父の短気な性格とアルコール中毒を受け継いでいた。ここ数年間アメリカ各地を放蕩していたが、最終的にニューハンプシャー州に定住しアルコールを断つことを決断する。小さな町であるフレージャーに住み、観光名所やホスピスで働き、アルコール中毒者支援団体に参加する。長年に渡りアルコールの力で抑えられていたダンの超能力が再度目覚め、死の縁にある患者に慰めを行う。死に向かっている患者を感じることができる猫アジーの助けもあり、ダンは「ドクター・スリープ」のニックネームを得る。

一方、2001年に誕生した少女アブラ・ストーンは、アメリカ同時多発テロ事件を予見し、自身の超能力を示し始める。徐々に無意識のうちにダンとテレパシーで交信を始めるが、成長するに従って意識的かつ自発的なものとなり、やがてシャイニングの能力はダンの能力よりも強力になる。ある夜、アブラはその能力により、半不老不死のカルト集団トゥルー・ノットによる少年への拷問虐殺の儀式の目撃者となる。彼らはそれぞれが自身の能力を持っており、シャイニングの能力を持った者が苦痛を伴って死んだ際に抽出される生気を求めて、アメリカ全土を彷徨い、定期的に生気を貪っていた。トゥルー・ノットのローズ・ザ・ハットはアブラの存在に気づき、無限の生気を得るために彼女を拉致しようと企てる。

トゥルー・ノットは、直近の犠牲者から感染した麻疹により死へと向かいだし、アブラの生気が病を完治させると信じ始める。アブラから助けを求められたダンは、アブラの父デイビッドや医者ジョン・ダルトンに対して二人の関係を明らかにする。始めは怒りをあらわにし懐疑的であったデイビッドであったが、徐々にダンを信じるようになり、アブラを守るため計画への参加に同意する。ダンの友人であるビリー・フリーマンの協力を得て、ローズの恋人であるクロウ・ダディ率いる一向の計画を挫き一味の多くを殺害した。しかし、ダンはローズが容赦なくアブラを復讐のため追跡してくることを悟る。ダンはアブラの祖母であり癌のため死の瀬戸際にいるコンセッタを訪れ、テレパシーによってダンとアブラの母が異母兄弟であることを知る。そしてコンセッタが亡くなると、彼女の病に冒された生気を自身に取り込む。一方トゥルー・ノットでは、ローズがアブラに執着していることに加えて内部の階級対立が発生したことによりグループは分断され、ローズに従うメンバーは激減した。

その後アブラはローズを、コロラド州ロッキー山脈内の、現在トゥルー・ノットのキャンプ地となっており、かつてオーバールックホテルが建っていた場所へおびき寄せる。ダンとビリーは直接現場へ向かい、アブラは肉体から分離させた精神を送ることで二人に助力する。ダンはコンセッタから得た生気を放出しトゥルー・ノットの残党の殺害に成功する。そしてダンとアブラを待ち伏せしていたサイレント・サリーに対してはホテルの亡霊を解放することによって殺害する。二人はローズと念能力で対決する。父ジャックの亡霊やビリーの協力を受け、ダンはローズを展望台から突き落とし殺害する。キャンプ地を離れる前に、ダンは父が自身に別れを告げるのを目にし、遂に平穏を手にしたことに気づく。

その後、ダンは断酒15年を祝い、アブラの15歳の誕生日会に出席する。アブラにアルコール中毒の症状や家族に働いた暴力的態度についての過去を打ち明け、飲酒や怒りに服従することによって過ちを繰り返さないよう警告する。アブラは節度を保つことを約束するが二人の会話が終わる前にホスピスから連絡が入り、ダンはかつて対立していた瀕死の同僚を見送るためにホスピスへと向かう。
製作背景

キングは、著作『アンダー・ザ・ドーム』のプロモーション・ツアー中である2009年11月19日に、『シャイニング』の続編を描く考えを示した。オンタリオ州トロントにあるキャノン・シアターで映画監督デヴィッド・クローネンバーグが司会を務める中、キングは続編について、前作のキャラクターを踏襲し、ニューハンプシャー州ホスピスの従業員となり、死期が近い患者に対して超能力で援助する40代のダニー・トランスが主人公となることを明かした。

2009年12月1日、キングは公式サイトにて、次の作品として、『ドクター・スリープ』か「ダークタワーシリーズの続編」のいずれを書き上げるべきか、訪問者に対してアンケートを行った。同年12月31日に投票は終了し、『ドクター・スリープ』が5,861票を獲得し、ダークタワーシリーズの続編『The Dark Tower: The Wind Through the Keyhole』の5,812票を上回った[3]。しかし結果的には、ドクター・スリープが後発作品となった。

2011年9月23日、キングはバージニア州フェアファックスジョージ・メイソン大学にてメイソン賞を受賞した際に、『ドクター・スリープ』のあらすじを語っている[4]。その後、2011年11月上旬に、初稿を書き終えた[5]。2012年2月19日には、ジョージア州サバンナで行われたサバンナ・ブック・フェスティバルにおいて、キングが第一章を朗読した[6]。また、2012年4月24日に発売されたオーディオブック版の『The Dark Tower: The Wind Through the Keyhole』には、『ドクター・スリープ』の序章が収録された。

エンターテイメント・ウィークリー』によるインタビューの中で、キングは『シャイニング』と『ドクター・スリープ』の間の継続性について取り組むために、キング自身の研究者であるロッキー・ウッドを雇ったことを明らかにした。

この作品のストーリーは、死期が近づいている患者を予見する猫オスカーに影響を受けている。キングは「自分自身のことを考えた。「このストーリーを書きたいと。」そしてホスピスで働く大人になったダニー・トランスとの繋がりを作った。それが全てであり、それで私はこの本を書こうと考えた。この猫は物語に必要であった。物語が進むためには二つとも必要であった。まるで猫がトランスミッションであり、ダニーがモーターであるように」と語っている[7]
出版

2012年5月8日、キングの公式サイトでは『ドクター・スリープ』の暫定的な発売日が2013年1月15日と発表され、同日に予約注文の受付を開始した。しかし、次の日に発売日は未定となり、予約特典は取り消された。キングは現時点での草稿に満足しておらず、多くの編集が必要であると感じていた。2012年9月18日、発売日が2013年9月24日と発表された[8][9]

出版社Cemetery Danceは、三種類の限定版も発売した。1750部限定のギフトエディション、700部限定のリミッテッド・エディション、52部限定のレター・エディションが発売され、後者の二種は、キングとイラストレーターのサイン入りであった[10]。2013年3月1日、キングの公式サイトでは、ブックカバーが発表された[11]

2013年8月に、イギリスの出版社Hodder & Stoughtonは、200部限定でキングによるサイン入りのコレクターズ・エディションの発売を発表した[12]

2013年9月13日に、エンターテイメント・ウィークリー・マガジンによって、抜粋版が発表された[13]
映画

ドクター・スリープ
Doctor Sleep
監督
マイク・フラナガン
脚本マイク・フラナガン
原作スティーヴン・キング
製作トレヴァー・メイシー
ジョン・バーグ
製作総指揮ロイ・リー
スコット・ランプキン
アキヴァ・ゴールズマン
ケヴィン・マコーミック
出演者ユアン・マクレガー


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