ドクター・ストレンジ/
マルチバース・オブ・マッドネス
Doctor Strange in the Multiverse of Madness
監督サム・ライミ
脚本ジェイド・バートレット
マイケル・ウォルドロン
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』[3](Doctor Strange in the Multiverse of Madness)は、マーベル・コミックのキャラクター「ドクター・ストレンジ」をベースとする、2022年公開のアメリカ合衆国のスーパーヒーロー映画。監督はサム・ライミ、脚本はジェイド・バートレットとマイケル・ウォルドロン、出演はベネディクト・カンバーバッチ、エリザベス・オルセン、ベネディクト・ウォン、ソーチー・ゴメスら。『ドクター・ストレンジ』(2016年)の続編でシリーズ2作目、また「マーベル・シネマティック・ユニバース」の28作目。 ある禁断の呪文を使い、マルチバースへと接続してしまってから5か月後のある夜。ドクター・スティーヴン・ストレンジは、ある夢を見た。その夢の中でストレンジは謎の怪物から一人の少女を守っており、窮地に陥ったストレンジは少女から力を取り上げて怪物を倒そうとする。しかしその寸前のところで怪物から致命傷を負わされてしまい、その少女を怪物から逃したところで夢から覚めるのだった。その日はかつて恋仲であったクリスティーン・パーマーの結婚式。友人として参加していたストレンジだったが、突如現れた一つ目の怪物ガルガントスが暴れているのを確認すると、すぐさま対処に赴く。ガルガントスに捕らわれていたのは、前夜に夢で見た少女であった。 駆け付けた盟友ウォンとの共闘でガルガントスを撃破したストレンジは、救い出した少女アメリカ・チャベスから襲われていた理由を聞きだす。チャベスには制御不能ながらも並行世界マルチバースを物理的に渡る能力が備わっているといい、それに目を付けた何者かに狙われているという。チャベスと一緒に飛ばされてきた別のユニバースの自分の亡骸を目の当たりにして、夢の中の出来事は並行世界の自分の身に起きた出来事だと知ったストレンジは、カマー・タージにチャベスを隠し、マルチバースの知識を豊富に持っていると考えられる魔女にしてアベンジャーズのメンバーであるワンダ・マキシモフ/スカーレット・ウィッチの元を訪れる。ウェストビューでの一件を反省しているというワンダにストレンジは身の上を話し、地球でも指折りの魔法の使い手である彼女に協力を仰ぐが、ワンダが教えてもいないチャベスの名を口にしたことから、この襲撃事件の黒幕がワンダであることが露見してしまう。ウェストビューを覆っていたものと同じワンダの空間"ヘックス"はストレンジすら欺くほど強力になっており、その理由はワンダが持つ、かつてウエストビューで戦った魔女アガサ・ハークネスから奪ったダークホールドと呼ばれる禁断の書物にあった。カマー・タージに退却したストレンジは間もなくワンダが襲来することを伝えると、魔術師たちはウォンの指揮下、防御態勢に入る。ワンダとの対話が不可能だと判断したストレンジは撃破を目指すも、逆に多くの魔術師を失う結果になってしまう。ミラー・ディメンションに閉じ込めても鏡の反射を利用して脱出され、ついにチャベスが捕らわれてしまう。するとチャベスは無意識にマルチバース間の扉を開き、ワンダとウォンを残しストレンジもろとも別のユニバースへと吹き飛ばされてしまう。 ストレンジとアメリカが訪れたユニバースは、ニューヨークによく似た、しかしルールのまったく違う世界であった。その世界のサンクタムにはストレンジの像が建てられており、サノスを倒し命を落とした英雄として伝えられていた。サンクタムの守護者には、かつての兄弟子にして同胞であったが敵同士となってしまったカール・モルド/バロン・モルドが就任していた。なぜか手厚くもてなすモルドによれば、ダークホールドには意識を別のユニバースの自分自身に乗り移らせるドリームウォークという魔術が存在しているといい、ワンダがその魔術で追跡する恐れがあり、対抗手段としてヴィシャンティの書を挙げる。しかしモルドは真の脅威はワンダではなくストレンジたちだと言い放ち、そこでストレンジとチャベスの意識は途絶える。 一方、ワンダはウォンを捕らえ、ドリームウォークを用いてひとり別世界で子供たちに囲まれる自分へと意識を乗り移らせていた。その隙を突いた魔術師サラの決死の攻撃によってダークホールドは破壊され、ワンダはドリームウォークが出来なくなってしまう。逆上するワンダは魔術師たちを人質に、ウォンにダークホールドの原典があるというワンダゴア山への案内を命じる。ワンダゴア山はまさしくスカーレット・ウィッチの玉座と呼べる場所であり、ワンダはチャベスたちがいるユニバースへのドリームウォークを再び敢行する。 モルドに捕らえられたストレンジとアメリカは、謎の組織イルミナティへと連れて行かれる。そこには、その世界のクリスティーンが職員として働いていた。ストレンジはイルミナティのメンバーの前に連れて行かれ、ペギー・カーター/キャプテン・カーター、マリア・ランボー/キャプテン・マーベル、インヒューマンズの王ブラッカガー・ボルタゴン/ブラック・ボルト、そしてファンタスティック・フォーのリーダーリード・リチャーズ/ミスター・ファンタスティックがストレンジの今後を決めるという。さらに現れたミュータントのチャールズ・エグゼビア/プロフェッサーXによれば、この世界のストレンジはサノスとの戦いで勝利するためにダークホールドを頼り、誤った方法で決着をつけたがために半ば自害する形で命を絶ったという。ストレンジの処遇が決まる直前、ドリームウォークしたワンダがイルミナティを襲撃する。対峙したブラック・ボルトは攻撃手段である口を封じられて自身に衝撃波を食らって死亡、リチャーズはワンダに触れることも出来ずバラバラにされ、カーターは自分が放った盾を跳ね返され胴を穿たれて死亡してしまう。キャプテン・マーベルは善戦するも、倒れこんだところに像を落とされて殺害され、ワンダは着実にチャベスへと近寄る。ストレンジにヴィシャンティの書を探すよう伝えたエグゼビアも立ちはだかり、テレパス能力でワンダの善性を取り戻させようと奮起するが、力及ばず首を捻られ殺害されてしまう。エグゼビアが作った僅かな隙にクリスティーン共々脱出したアメリカは、モルドを撃破していたストレンジと合流、ワンダの追跡から逃げつつヴィシャンティの書を探してイルミナティの地下へと向かう。 なんとかヴィシャンティの書を手にしたストレンジだったが、直後にワンダの急襲を受け、書は焼失。更にチャベスを拘束され、その能力を悪用されてクリスティーンと共に別のユニバースへと飛ばされてしまう。まるで終末世界のようなサンクタムでは、もう一人のストレンジが待っていた。ダークホールドの守護者となっていたシニスター・ストレンジとの交渉に失敗したため、自らの手でもうひとりの自分自身を撃破したストレンジは、ダークホールドの力でマルチバースを垣間見、元の世界でチャベスから力を奪おうとするワンダを発見する。ドリームウォークによって元の世界にあったもう一人の自分の亡骸に入り込んだストレンジは、悪霊たちに阻まれ意識を飲み込まれそうになるも、クリスティーンの言葉を受けて逆に悪霊を従えることに成功。ウォンの助けもあり、ワンダを拘束する。しかし決定打にならないことを察知していたウォンはチャベスから力を奪うよう提案し、チャベスも承諾するが、ストレンジはチャベス自身がその力を発揮するよう諭す。チャベスは一人ワンダに立ち向かい、子供たちと団らんする別世界のワンダの元へのゲートを開く。別世界の子供たちからまるで悪い魔女のように扱われたワンダはついに自分の過ちに気づき、ようやく暴走を止める。そして全ての並行世界のダークホールドを全て焼き払うことを決めると、ワンダゴア山の神殿を崩壊させ、自らもその中に消えていった。
あらすじ